クエンティン・タランティーノと言うヒットメーカーが1990年代、彗星の如くハリウッドに現れました。この人、1963年3月生まれ。だから日本の学年で言えば小生と一緒。ハリウッドには小生と同い年でビッグマネーを稼いでいる人はおねんやねー。益々情けない...。
とまあ、ジェラシーは横に置いといて、彼の登場以降、なんか映画の流れが変わりました。技法が似ている監督、プロデューサー、明らかに影響を受けていると言う映画が多くなりました。時にはその残虐性やグロテスクなシーンが批判されることも多い人気プロデューサーです。しかし、彼と仕事をしたいと言う俳優たち、それも大御所級の役者たちが多いことも、そして作品自体も評価されていることもこれまた事実。賛否両論はあるけど観客も入る。マニアも多い。かく言う私も「うわー、画面がきったねぇ」と思うこともしばしばですが、どちらかと言うと好きな部類。どっちかって言うと薬にも毒にもならない左翼系の映画よりはよっぽどいいと思います。
そんな彼の影響を受けてるなぁと思ったのがこの作品「Maxxxineマキシーン」。主人公はポルノ女優、しかもストーカー相手に銃を咥えさせ、ハイヒールで〇〇を踏み潰すと言うなんともパンチのきいたヒロイン!これだけ聞いただけでも観に行きたくなると思いますが...。
1985年のハリウッド。ポルノ女優のマキシーンは大手映画会社のハリウッドの巨大セットの中にいた。本格的女優としてデビューするためホラー映画の続編「ピューリタンⅡ」のオーディションにやって来たのだ。ちょうどその頃、ロサンゼルスでは連日連夜、「ナイトストーカー」と呼ばれるシリアルキラーの報道で持ちきりだった。マキシーンの周りでも仲間のポルノ女優たちが次々と死体となって発見された。ウィリアムズとトレスと言う二人のロサンゼルス市警の刑事がマキシーンの元へ事情聴取に来るが彼女はけんもほろろに追い返してしまう。彼女には6年前テキサスの農場で殺人鬼夫婦の魔の手からただ一人生き残って逃れてきたと言う過去のトラウマがあった。「警察は当てにならない」そんな思いが今もマキシーンの胸に残る。
数日後、マキシーンの元へオーディションに合格したと言う連絡が入る。ついに主役の座を射止めたのだ。彼女を強く推したのは監督のエリザベスだった。だがこの頃からジョン・ラバットと言う胡散臭い私立探偵が彼女の周りをうろつき始める。自分の依頼者に一度会えと言うが徹底して彼女は拒み続ける。しかしマキシーンが唯一、心を許していたビデオ店の店長レオンが惨殺される。犯人は「ナイトストーカー」なのか、それとも...。
この作品はシリーズの続編であり「Pealパール」「Xエックス」と言う前二作があります。自分は前二作は観ていません。大まかに言うと「Pealパール」は後にマキシーンのトラウマとなる殺人鬼パールの誕生。「Xエックス」はマキシーンがその恐怖と対峙することになるテキサスの農場での惨劇。本作同様、まあどんな作品かは言うに及ばず、スプラッターホラーである。ざっとあらすじだけ見れば「悪魔のいけにえ」の類似作品だと思うのだが。
本作も含めてこのシリーズで主演を務めたミア・ゴス。ロデオドライブで歩いても多分、普通の女の子だと思う。顔いっぱいのそばかすに、そんなに美人とも思わないけど...しかしなんか魅力的、観ている者に強烈な印象を残します。ポルノ女優からメジャーのハリウッドスターへ、と言うとトレイシー・ローズを思い出します。洋物ポルノに別に興味はなかったけど、ポルノ好きじゃなくても彼女の名前は有名。1980年代はエロの象徴。人気だけでなくスキャンダルでも爪痕を残しました。なんと年齢詐称で15歳でポルノに出ていたことが発覚、18歳で引退。いやあ随分、アメリカのゴシップ記事を賑わせていました。よって共演した男優陣はおろか監督や製作者まで戦々恐々。アメリカはこういう児童福祉法なんかには日本よりも随分うるさいですからね。ハワイへ行ったってショットバーやコンビニだってベビーフェイスなら必ず身分証の提示を求められます。「知らんかった」って言うのが通用せんからね。知らんかってもオーナーや店側の人間は後ろに手が回ります。一瞬、まさか彼女がモデルかなとも思いました。
「ぐちゃっ」「ぐしゃっ」なシーンが多い作品ではありますが、ところどころに映画マニア、映画オタクへのオマージュがいっぱい。一つは何といってもあの「サイコ」の「ベイツモーテル」のセット、それからケビン・ベーコンが演じた悪徳私立探偵、白のスーツに鼻の絆創膏、これはモロ、「チャイナタウン」のジャック・ニコルソンです。
この作品、結構いい役者が出演しているんですよね、ケビン・ベーコンに「ミッション・イン・ポッシブル」シリーズのミッシェル・モナハン、リリー・コリンズ等々、ケビン・ベーコンの私立探偵が圧縮機で車ごと圧縮されるシーンは「ハエ男」を思い出しました。けど私が一番衝撃的だったのが前述したあのシーン、素っ裸にされた男が腹ばいになりまさに〇〇を「破壊」されるシーン、あれはあかんわ~、リアルすぎるぅ。