惚れますよ、これ。アナ・デ・アルマスに!衝撃てす!可憐にして、強烈!美しくて、狂気!か弱くて、最強!真逆のインパクト!どんな形容もし難い、このアンバラス!「バレリーナ」。原題にはFrom the world of JHON WICK の副題がつきます。その名の通り、伝説の殺し屋「ジョン・ウィック」の世界。そうキアヌ・リーブス主演の人気シリーズ、そのスピンオフ作品です。このおとぎ話のようなアンダーワールドは新たに美貌と残虐性を持った、イブ・マカロと言うダークなニューヒロインを世に送り出しました。まさに華麗で獰猛な獣。ガン・フーとかガン・カタとかっていう彼女のアクションに見惚れてしまう125分。とにかく惚れてまう、可愛い、イカす、ほんまにのぼせあがってしまいます。
少女イブ・マカロは父と孤島の邸宅にひっそりと暮らしていた。その静かな幸せは突然破られる。正体不明の武装集団が邸宅に潜入。父は娘を守ろうと必死にたった一人で応戦する。だが娘を逃がした後、激闘空しくついに力尽きる。物陰から見ていた彼女は首魁らしき男が、父にこう告げるのを目撃した。
「裏切ったのはお前だ...」
警察に保護され、絶望に打ちひしがれるイブ。彼女が持っている物はただ一つ、バレリーナのオルゴール。そんな彼女に一人の紳士が声をかけた。
「踊りは好きか?よければ学校を紹介しよう」
紳士はアンダーワールドの処刑人たちが集うニューヨーク・コンチネンタルホテルのオーナー、ウインストン。イブが連れていかれたのはバレリーナの養成所〝ルスカ・ロマ〟だがもう一つの顔はロシア系犯罪組織、暗殺者の養成所である。暗殺者としての素質を見込まれた彼女は〝ディレクター〟と呼ばれる首領の元、教官のノギに暗殺者としてのすべてを叩きこまれる。12年後、死と隣り合わせの試練を耐え抜いたイブに初めての仕事が与えられる。それはルスカ・ロマの支援者である大富豪の娘の護衛。娘を連れ去ろうとした集団をイブは激闘の末に倒す。その後、イブには次々と指令が舞い込む。ある時、倒した殺し屋の腕に父親を殺した武装集団の男たちと同じ紋章あることに気付く。そのことをディレクターに問い詰めるとヨーロッパのある殺人教団のものであり、ルスカ・ロマとは相互不干渉の協定を結んでいるから手出しをするなと厳命される。だがコンチネンタルホテルのウィンストンに情報を提供してもらい、その教団の暗殺者ダニエル・パインがプラハのコンチネンタルホテルに滞在していることを知る。プラハに飛んだイブはかつての自分同様、パインが娘のエラを連れて教団を抜けようとして首に懸賞金が掛けられていることを知る。イブが到着するとロビーの暗殺者たちが一斉に動き出す。暗殺者たちが襲いかかりパインは銃弾に倒れ、娘は連れ去られたがイブに娘を助けてほしいと懇願する。エラを救うため、父の復讐を果たすため、イブは教団のアジトがある雪に包まれたオーストリア山麓の町に向かう。一見静かで穏やかな町。だがそこは千年続く、住人全員が教団の暗殺者と言う殺し屋の町だった。町ごと敵に回したイブのためルスカ・ロマと教団との数百年に渡る協定が破られようとしていた。イブを裏切り者と認定したルスカ・ロマは事態の収拾を図るため、は伝説の暗殺者を町に送り込む。
昔メグ・ライアン、今アマ・デ・アルマス!還暦過ぎたジジイが見惚れてしまう、まだあどけなさの残るその顔で周りを血の海にする。彼女はその海に浮かぶ一輪の花。ジョン・ウィックは熟した完璧なまでに強い処刑人だが、彼女は強いが、まだ青くどこかに脆さがあり危さが残る処刑人。ハラハラするけどそこが何ともたまりません。
彼女が「デビュー」するクラブでの「痛ないの?」って声をかけたくなるような激闘シーンから、「こんなん観たことない」クライマックスでの火炎放射器の激射、悪党も町もみんな焼き尽くしてしまうような超過激、猛烈な炎上シーンまで、ヤバイ、エグイの連続です。久々にみたムッチャクチャ面白いハリウッドのアクシヨン映画。「リーサルウェポン」「ダイハード」「トゥルーロマンス」「フェイスオフ」...だいたい、3年周期、5年周期には痛烈に痺れるようなおもしろいアクション映画が上陸してたんやけどこのところ、とんとご無沙汰やったから寂しかった。これは上々。これがまたシリーズ化されたら面白いんですが...。「ジョン・ウィック」だって前作、第4作で御臨終...のような表現の仕方だったのが何やら第5作目があるらしい。どんな蘇り方?どんな展開?今からワクワクです。できることならイブ・マカロの参戦を望みます。
〝The world of JHON WICK〟やはりこの「あり得ない」アンダーワールドの世界が魅力的です。これは闇のおとぎ話。「ジョン・ウィック」シリーズの1作目から描かれているように、実在するマフィア、シンジケートを超越する「首席連合」と言う裏社会。それに属する犯罪組織ルスカ・ロマ、殺し屋だけが宿泊できるコンチネンタルホテル。そのホテルには「掟」がありホテル内での殺しは厳禁。これがまた一般のホテルのように宿泊約款、宿泊規約のように扱われているのが何とも言えないブラックユーモア。ただ一般のホテルのように注意や罰金ではすまない。罰金の代わりに「死の制裁」です。日本に来る横暴な観光客、特にあの国の観光客にもこんな制裁を課せることはできんのかね。罰金さえ取らんとこもあるもんね。この漫画かおとぎ話のような世界観が我々をダークな世界へ引きずり込んでくれます。本作は「ジョン・ウィック」シリーズの時系列で言えば3作目と4作目の間たそうです。イブはそこに誕生した魅力的なキャラクターです。それに今回は脇に回ったジョン・ウィックを始め、コンチネンタルのオーナー、ウィンストンに扮するイアン・マクシェーンやフロント係りのシャロンを演じたランス・レディック(この人、この作品が遺作となってしまいました。合掌)も魅力的。そして今回、教団の主宰を演じた敵役のガブリエル・バーン、うまいなぁ、この役者は何やっても。加えて出演シーンは僅かながら教団に追われるノーマン・リーダス。最後に控えしは〝ディレクター〟を演じた貫禄のアンジェリカ・ヒューストン...作品を支える脇役陣が結構凄い!おもろないわけがない!
だけどとにもかくにもアナ・デ・アルマス、何はともあれアナ・デ・アルマス。次回作はどんな作品でも彼女の出演作なら観に行きたい。この作品を観てから一週間、一日一回はYouTubeで彼女の暴れっぷりを鑑賞してます。