チャレンジャーズ | kazuのブログ

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今や飛ぶ鳥を落とす勢いのハリウッドの若きトップ女優ゼンデイヤの制作・主演。彼女の熱の入れようは相当なもの、二人の男を同時に愛せるのか、それとも本当に愛したのは彼ら自身なのかそれともその才能なのか。監督は超美青年ティモシーシャラメを世に送り出したルカグァダニーノ。官能的、それでいてスポ根映画。女一人と男二人の13年間を描きます。

テニス界で将来を嘱望されたジュニアの天才女子プレイヤーが大怪我で選手生命を断念。同時に彼女の前に現れた二人の男子プレイヤー。二人の男子プレイヤーは雌豹のような彼女の虜になります。ジュニアから大学、そしてプロへ。しかし甘~い青春映画なんてもんじゃありません、ドロドロです。友情、恋愛、三角関係、そして妬み、嫉妬。けどそれがあるからアスリートたちは一流プレイヤーになれるんですよね。

連敗中のプロテニスプレイヤー、アートドナルドソンと今や落ちぶれてしまい見る影もないパトリックズワイクは全米トーナメントの出場をかけたニューロシェルのチャレンジャー大会の決勝で顔を合わせることになる。二人を見つめるアートの妻、タシ。3人には13年間にも及ぶテニスと愛の葛藤の日々があった。

2006年アートとパトリックはジュニアの大会のダブルスで優勝し将来のプロへの道が開けようとしていた。意気盛んな2人だったがこの大会での注目は何といってもシングルで圧倒的な強さを見せ優勝した女子プレイヤーのタシダンカン。既に将来を嘱望された彼女はその夜のパーティーではスポンサーに囲まれまさに今大会のクィーンであった。この時とばかり彼女に近づいたアートとパトリックは自分を売り込んだ。二人を軽くあしらったように見えたタシだったが深夜、二人の部屋へ忍んできた。3人はテニスに対する思いや将来のことを語り合ったが、何とも妖しい雰囲気になる。だがあわやと言うところですかした様にタシは部屋を出て行った。

その後、タシとアートはスタンフォード大学へ、パトリックはプロの道へ歩んだがタシが相手に選んだのは実直にテニスに打ち込むアートではなく女にだらしなくプレイボーイで自堕落なパトリックだった。だが遂にタシはパトリックに対して遂に怒りが爆発、大事な試合を前にして部屋から追い出す。そしてその試合でタシは大怪我をし選手生命を絶たれてしまう。まともな精神状態ではないタシは駆け付けたパトリックを寄せつけなかった。失意の彼女に寄り添ったのはアートだった。アートは大学からプロへ、そしてタシと結婚。タシはアートのサポートに回りコーチ兼マネージャーとして彼を支えた。

チャンピオンまで上り詰めたアートだったが2019年、彼は不調のどん底にあった。何とかスランプから脱出させようとしたタシは彼を全米オープンの出場権をかけたニューロシェルのチャレンジャー大会に出場させる。だがその大会にはプロになりながら名声も財産も失くしすっかり落ちぶれてしまったパトリックも再起をかけてエントリーしていたのだった。二人は順当に勝ち進み遂に決勝戦で顔を合わせることになった...。

 

清く美しい、「ああっ汗って、青春って素晴らしい!」と言われるスポーツの世界でも妬み、嫉妬は存在します。いや、それがあるからこそ一流と言われるアスリートたちはそれを糧にし、エネルギーに変え、その階段を登りつめようとします。

この物語はこれに恋愛感情、三角関係と言うものが絡んできますから余計に澱んだ物語になります。ゼンデイヤ、まさに雌豹と呼ぶにふさわしい魅力を振りまきます。男たちの数段上を行きます。2人のどちらを本当に愛していたのか、それとも同時に愛することができたのか、本当は2人の才能を愛していたのではないか、それとも愛していたのはテニスそのものだけだったのか? 何ともわからないまま映画は終わってしまいます。まあ男はこんな女性にはぞっこんになってしまうことが多々あります。何もかも手取り足取りやってくれる、男は気使うことがありません。おまけにゼンデイヤ、言うことがありません。けどひとりもんの俺が言うのもなんやけど、俺は嫌やね、全部管理されているみたいで、気が楽なようで気楽にはなれんわ。えっ、ゼンデイヤ相手にお前が気にせんでええて?全くその通りでございます。

一つガックリ来たのはラスト。せっかくスポ根ドロドロドラマで満喫していたのにラストのあの甘ったるすぎるネット越のストップモーション。そんな爽やか青春友情ドラマで終わらんでも。ドロドロでええドロドロで。