マッドマックス:フュリオサ | kazuのブログ

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惚れちゃいますよ、フュリオサ...。メルギブソンから27年の時を経てトムハーディにバトンタッチされたシリーズ、「マッドマックス 怒りのデスロード」に登場した新たなキャラクター、フュリオサ。主演のマックス=トムハーディを完全に食ってしまい、爆発的な人気を博したキャラクターのスピンオフ作品「マッドマックス:フュリオサ」がついにお目見え。「怒りのデスロード」公開後、早速スピンオフ作品の噂が流れました。暴力集団の男たちを束ねる、ダークヒロインを前作でシャーリズゼロンが強烈なインパクトで演じた時は「スピンオフを作るならフュリオサは彼女しかいない」と感じたもの。だからフュリオサ役は彼女ではないと知った時は少なからずショック。だがどうしてどうして、この山猫のような若い女優アニャテイラージョイはこの大役を見事すぎるほど演じ切ってくれました。

崩壊した世界に咲いた強烈なとげを持つバラのような少女、フュリオサの数奇な運命。極悪非道の長、イモータンジョーとの出会い、どうして大隊長まで上り詰めたのか、彼女の故郷は?  彼女の義手は?彼女の心の奥底にあったものは?「怒りのデスロード」で彼女の虜になった者たちに捧ぐ、崩壊した世界に咲く一輪のバラ。正直、今は本家本元のマッドマックスよりこっちの方がええわ。「マッドマックス:フュリオサ」、魅了されますよ。

近未来、崩壊した世界。法も秩序も消え去り、延々と広がる荒野と砂漠だけが残った。そこには暴力と略奪が蔓延り、武器と力あるならず者たちだけが弱きものを牛耳る世界。牛耳られるものは抹殺されるか従うしかなかった。そんな殺伐とした荒野の中にたった一つだけ水が沸き、木々が生い茂り、果実が実る土地があった。そこは「緑の地」と呼ばれる唯一のオアシスだった。「緑の地」に住む人々は平和に暮らしていたが外部からやってくる侵略者に対しては高い戦闘能力でこの地を守り通していた。10歳の少女フュリオサはそんな地で生まれ育ったのだった。

ある日、フュリオサが森の中で木の実を獲っているとならず者のバイカーが現れた。そのバイカー集団にフュリオサが連れ去られた。フュリオサが連れ去られたことを知った母のメリーシャバサはその高い戦闘能力で馬と敵から奪ったバイクでフュリオサの後を追う。特にスナイパーとしての腕は超一流だった。

一方、フュリオサが連れ去られた先は極悪非道なディメンタスが率いるバイカー集団の野営地だった。彼らは行く先々で略奪と殺戮を繰り返していた。そして資源豊富な「緑の地」を手に入れようと捕らえたフュリオサから聞き出そうとしたのだが向こうっ気の強いフュリオサは絶対に口を割らない。そこへメリーシャバサが乗り込み一旦は娘を奪還したのだが多勢に無勢、闘争の途中に二人はディメンタスに捕らえられフュリオサの目の前でメリーシャバサは惨殺される。「何があろうと、どんなに時間がかかろうと、約束して、必ず家に帰ると」と言い残して...。

ディメンタスはフュリオサを娘と称して略奪と殺戮の旅に同行させたが事実上は織の中に入れられた捕らわれの身だった。目の前で略奪と殺戮が繰り返される。ディメンタスのバイカー集団は日を追うごとに増えていき、気づけば大軍隊になっていた。ある日、ディメンタスは荒地の渓谷の合間に「砦(シタデル)」と言う水や物資、エネルギーも豊富なところがあることを知る。当然の如くディメンタスは砦を奪いに向かった。だがそこにはイモータンジョーと言うディメンタスを凌ぐ残虐な当主とジョーのためなら命をも投げ出す全身白塗りの若いならず者たちウォーボーイズを中心とした戦闘集団が陣取っていた。委細かまわず攻め入ろうとしたディメンタスの軍団はこともなく退けられた。だがどうしても砦を諦めきれないディメンタスはジョーの所有する巨大なタンクローリーを奪い、ジョーが持つエネルギー資源の補給地「ガスタウン」を奪取し居座ってしまう。ディメンタスは言葉巧みにジョーに交渉を持ち掛け、ガスタウンの責任者となり代わりにフュリオサは砦に残ることとなる。ジョーは子孫繁栄のためだけに各地で略奪した女たちを捉えハーレムのような館に監禁していた。「ジョーの子供を産むためだけの女たち」。フュリオサは「妻」の一人として館に放り込まれた。その夜、ジョーの息子の一人に襲われるが機転を利かせて館を脱出。そのまま、ジョーの戦闘集団の中に潜り込んだ。彼女はメカニックと銃器の扱いに優れていた。そして頭の良さ、戦闘能力の高さ、なによりもその度胸の良さで数年後、警護隊長にまでのし上がって行く...。

 

いやあ見事なアクション作品です。マッドマックス生みの親、ジョージミラーの斬新なスタント、映像。刺激が強いばかりではありません。キャラクターがしっかりしているんやなあ。崩壊後の世界、強いものが弱いものを支配する。当然、時代は逆行し女性は虐げられています。その最たるものがイモータンジョーの「一夫多妻制」。いやそんな甘いもんやない、性奴隷、セックススレイブ、いやどっかの国の議員が言ったように「子供を産む機械」として描かれていることです。その館へ放り込まれかけた彼女が自分の才覚だけでのし上がって行く。これこそ「女性映画」やおまへんか?ええ、その辺でピーチクパーチク騒ぎ立てる似非フェミニストの方々さん。こんな上司なら女性でも年下でも私はついて行きますよ。女やったら何でもええ、って言う今の風潮。これは痛切にこの映画を観ると感じますね。

全てが破壊しつくされ、法も秩序も道徳もない世界で力ないものは虐げられる。そんな世界だからこそ女性であるフュリオサと言うキャラクターは生まれました。生きていかねばならない、生き残らねばならない、その生存本能と目の前で繰り広げられる殺戮の中で彼女は育っていきました。この崩壊した世界で当然彼女のような存在は稀です。たっぷり彼女の存在を堪能させて頂きました。スピンオフのキャラクターでもダークなヒロインでも近年味わうことの出来なかった見事なアクション作品であり女性映画でした。唯一、難点を言わせて頂ければジョージミラーの描いた画像に、斬新なアクションにあまりにも入りすぎて所々、ストーリーが頭に入って来ないって言うとこかな(笑)。凄すぎるんよ映画が...。