オーメン/ザ・ファースト | kazuのブログ

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1973年、今までとは全く違った恐怖を観る者に与えたオカルト映画が誕生しました。まさにオカルト映画の金字塔。「エクソシスト」はドラキュラ、フランケンシュタイン、狼男などモンスターが闊歩する映画ではない、人の心に忍び寄る闇、人と悪魔の壮絶な戦いを描き世界中に一大オカルトブームを巻き起こしました。それを追うように三年後の1976年、波に乗るように誕生した「悪魔の子」を主人公にした作品が「オーメン」。またまた大ブーム。「悪魔の子」「666」キーワードがいっぱい。「オーメン!」漫才師が連日のようにギャグにしてました。「エクソシスト」の出来が素晴らしかっただけにこの作品は結構、賛否がわかれました。けど作品は大ヒット。その後、Ⅱ、Ⅲと続編が出来ました。成人に成長した「悪魔の子」が人類との最終決戦までなるに至りましたが私も見た記憶がありやなしや。「続編は駄作」と言うジンクスの御多分に漏れず、一作目ほどの話題にはなりませんでした。そして一作目から48年。今回「オーメン/ザ・ファースト」と題して悪魔の子ダミアンの誕生秘話が映画となりました。何を今更...と思う反面、映画ファンにとってはこれは興味津々です!

孤児として育った修道女見習いのアメリカ人女性マーガレットは教師としてローマの教会内の女子孤児院に赴任してきた。教会に奉仕することによって修道女としての道が開かれる。着任早々、ルームメイトとなった同じ修道女見習いのルスに「最後の夜だから」と強引に誘われ夜の街に繰り出し若い男性と意気投合したのだが酔いつぶれて気が付くと翌朝、自分の部屋のベットで目覚めた。

孤児院で働き始めた初日、彼女は問題児として監禁部屋に閉じ込められている少女カルリータと出会う。マーガレットは孤独で誰も寄せ付けないカルリータの姿をかつての自分と重ねるのだった。何かとカルリータのことを気に掛けるマーガレットだったがなぜかシルヴァ修道院長ら教会の修道女たちはそれを良く思わないらしい。だがマーガレットがこの孤児院に来てからと言うもの彼女の身の回りで不可解な怪死事件が起こり始める。ちょうどその頃、一人の神父がマーガレットの元を訪れる。彼の名はブレナン神父、彼はカトリック教会から破門された神父である。ブレナンはマーガレットに教会の陰謀を打ち明ける。昨今、人々の信仰心は薄れ神を蔑ろにするようになった。人々の心を再び教会に向けるためには民衆に恐怖心を与えなければならない。ならばその恐怖の象徴が必要である。恐怖の象徴、それは悪魔の子を誕生させること...。今の教会は反キリスト派が多数入り込んでいると言うのである。その先頭に立つのはローマ教皇に次ぐ権力を持つ大幹部ローレンス枢機卿。悪魔の子、その母になるのはカルリータなのか...だがマーガレットの想像を遥かに超える戦慄の真実が彼女を待ち受けていた。

 

本作の所々に一作目のオマージュがあります。まず、今は亡きグレゴリーペックが最後に写真で登場。それから悪魔の子、ダミアンの家庭教師が首にロープをかけて屋上から飛び降りるシーン、新聞記者に扮したデビットワーナーの首がガラスで切断されるシーンともうマニアなら「あっ、これっ」って一発でわかります。けど一作目「オーメン」を作ったリチャードドナー監督はこの作品を「ホラー映画を作ったつもりはない、サスペンス、ミステリーの要素がミックスされた作品」と言ってます。まあ一作目には確かに怪奇現象、もしくは偶然とも取れるシーンばかりです。「エクソシスト」のように悪魔そのものは出てこないし、勿論モンスターも出てこない。考えてみればサスペンスとホラーの境界線。それが本作では悪魔崇拝の信仰者たちが事の発端と描かれています。そしてこの作品では悪魔らしきもの、禍々しきものがちらりちらりと見え隠れします。信仰心を復活させるため悪の象徴をと言うのはどこかこじつけのような気もしますがなかなかに、それなりに面白かったと思います。48年後の「悪魔の子」の真実。世情も反映してああ、こういう時代だったのかと1970年代の不安な世界情勢を思い起こしました。