ザ・ガーディアン/守護者」 | kazuのブログ

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サラリーマン社長のムービートラベル

主演チョンウソン。よう聞きますなー、この名前。韓国じゃ人気俳優らしく、今回は自らメガホンをとった監督・主演の一作目だそうです。組織のボスを手にかけて10年の刑務所から帰ってきた男。かつての恋人に会いに行くと子供ができていたことがわかる。「この二人のためにやり直そう」男は思うのだが、過去が男を離してくれない。自分の命に代えても大事なものを守ろうとする。すると知らず知らずのうちに...。ようある話です。日本でもお得意の任侠もの。「義理と人情量りにかけりゃ、義理が重たいこの世界」。高倉健と鶴田浩二の東映仁侠路線がまあ懐かしい。そんな「古典」を韓国を舞台に繰り広げるアクション作品。うん、まあまあ男の子の好きな映画です。パンフレット(たっかいねぇー)開けりゃ「トロント映画祭騒然❕」???そこまで大そうな...。

組織のボスを手をかけ、10年の刑期を終えたスヒョクが出所してきた。出所したその日に元恋人のところへ行くと娘ができていたことを知る。「平凡な父親になれる?」彼女の言葉が胸を突く。スヒョクは10年前「先が見えない」と自らの組織のボスのやり方に嫌気がさし殺害。だがその後「先が見えない」と言った組織は巨大企業となりスヒョクの兄貴分だったウングクが会長となり、弟分だったカンが理事の座に収まっている。殺しの腕が立ち度胸もあるスヒョクをウングクがほっておくはずがなかった。その組織「カイザーグループ」は大企業となったのは表向きで悪質な方法で土地を買収し、歯向かう者は始末すると言うやり方は今も昔も変わらなかった。スヒョクはきっぱりと断ったがウングクは激怒しカンに「スヒョクから目を離すな」と命令する。だがカンは自分と度量も腕っぷしも器の違う、スヒョクに嫉妬し自らの手駒である若いアベックの殺し屋ウジンとジナにスヒョクの命を狙わせる。

スヒョクが病で倒れた恋人を病院へ連れて行こうと車で走らせていた時、ウジンとジナが急襲。恋人は命を落としてしまった。絶望感に襲われたスヒョクだったが尚もウジンとジナはスヒョクに襲いかかる。スヒョクはウジンを捕らえたが、今度はジナがスヒョクの娘を人質に取る。追いつ追われつの戦いが繰り広げるが、それに業を煮やしたカンが新たな殺し屋を差し向ける。スヒョクが守るべき者はただ一人、自らの命を懸けて彼は自らの過去を清算しようと戦いに臨む。

 

うーん、正直言ってやや消化不良。ラスボスはそのままやし。まさかこの程度と言っちゃ悪いけど続編ができるとは思わんのですが難しいんやね、アクション作品の監督・主演は。シーンのアイデア出して自らは飛んだり跳ねたり、カメラをチェックせなあかんのやから。けどこの作品の題材は何も韓国でなくてもできるテーマ。日本でもハリウッドでもね。まあ男が好きなテーマやねんけれど。韓国映画には日本やハリウッド、ましてや東西の壁が崩れたドイツのあるヨーロッパだってそう。南北に分断された国を持つ国民の怒りや悲しみは我々には計り知れないものがあります。だからそんな題材がテーマになった時の韓国映画は無類の面白さ、感動を与えてくれます。そんな中で近年の韓国は目覚ましい経済発展を遂げてきました。日本の力も大きいんやけどね。文化もそう、K-POPや韓流映画だってそう。中国に飲み込まれてしまった香港映画にとって代わってその指定席は今や韓流映画です。この作品にも出てきます。アベックの殺し屋が近代化された複合施設の並ぶ地域の大スクリーンを見ながら「ここは俺が子供の頃ドヤ街だったんだ。俺はばあちゃんとここで暮らしていた」おそらく江南地区なんやろね。自分が旅行業界に入ってきたころは江南地区はまさにその通り、今や高級ホテルがバンバン建ってます。けどそういう急激な経済発展の歪で過激な若者が生まれてきます。かくいう日本だってそう。大戦の敗戦後、我々の親の世代は必至で働き、その勤勉さと技術力の高さでこんな小国が敗れた大国に今度は経済力でタイマンを張れるようになりました。けどその「高度経済成長期」と呼ばれるその時代になにが起こったかと言うと「安田講堂事件」を始めとする学生運動。その果てに生まれたのが赤軍派、連合赤軍と言った過激派組織。先日も出てきましたなあ、50年も逃げ回っていた過激派組織の爆弾犯。癌になって最後は本名で死にたいって。何を勝手なこと言うとんねんですわ。まじめに働く一般庶民からするとね。その前には過激派組織の最高幹部が刑を終えて出所してきてその公演をうっとりと眺めている左翼思想のメディアや学者の姿が画面に映し出されてました。まだ病んどりますなこの国は。

まあこの作品とは全く関係ない話ではありましたがこのアクション作品のそんなワンシーンを観て矢継ぎ早にそんなことを考えてしまいました。話の筋が大きくそれてしまいましたね。でも近年の韓国映画の勢いは凄まじいものがあります。それに加えてここ1~2年の日本映画も面白い作品が上映されています。こうやってコミック一辺倒のような感じのハリウッド映画に刺激を与えてお互い切磋琢磨してほしいもんです。そしていつの日か日韓の間の様々な問題を片方の一方的な思想や意見だけを描くのではなく公平に描いた作品が日韓合作で描かれることを切に願います。しかし、今の状況じゃあ無理やね。