名探偵ポアロ :ヘネチアの亡霊 | kazuのブログ

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アガサクリスティが生んだ不世出の名探偵エルキュールポアロ、シャーロックホームズと並び称されるこの天才探偵が今回挑む相手は幽霊...?

ケネスブラナーがメガホンをとり、自ら主役のポアロを演じる第3作目。アルバートフィーニーやピーターユスチノフを散々、少年時代、青年期に観た自分としてはようやくブラナー=ポアロに慣れてきたところ。なんかちょっとヘンコで厳しい、ケネスブラナー演じるポアロの良さがわかって来ましたかな?それに加えて小説も読んで何度も何度も観た、前二作とは違いこの A HAUNTING IN VENICE=ベネチアの亡霊 は読んだこともないし、観たこともない。原作は当然アガサクリスティ。彼女の60作目の作品だそうで原題名は「ハロウィーンパーティー」だそうう。当然、映画でもハロウィーンパーティーは出てきましたが、なんとケネスブラナーはこの原作の内容を大幅に変更。舞台も原作のロンドンからベネチアへ。この人、役者としてもシェイクスピア舞台の叩き上げやし、作り手としても最高峰。筋書きを知ってしまっている今までと違って楽しみもありました。ポアロVS幽霊。それだけでワクワクします。

 第二次大戦後のイタリア・ベネチア。数々の難事件を解決し、名探偵の誉れも高いエルキュールポアロは一戦を引くことを決意し、この水の都で隠遁生活を送っていた。だが今でも彼の名声を聞きつけ難問を解決してもらおうと遠方より駆け付ける依頼者たちは後を絶たなかった。そんな依頼者たちを遠ざけ、ポアロのボディガードと世話を引き受けるのは地元の元警官ヴィターレポルトフィリオだった。

ある日の朝、ポアロの元に旧知の女性作家オリヴァ女史が訪ねてきた。年に一度のハロウィーンの夜に元オペラ歌手のロウィーナドレイクが自らの屋敷で子供たちをハロウィーンパーティに招待し、子供たちを返した後の深夜に降霊会を開くと言う。指揮を執るのはジョイスレイノルズと言う霊能者。霊能者の存在を認めないポアロは当然断るが強引なオリヴァはポアロを無理やり連れていく。だがロウィーナの屋敷には子供の幽霊が出ると言う噂があった。一年前、病を患った末、飛び降り自殺をしたと言うロウィーナの娘アリシアは子供たちの幽霊に殺されたのだと言う噂が絶えなかった。ポアロが重い腰を上げたのは霊能者のペテンを暴いてやろうと言う思いとアリシアの死に興味を持ったからである。

ポアロが屋敷に到着したのは子供たちがハロウィーンパーティ真っ最中の時、やがてパーティーが終わり子供たちの賑やかな声が消え静寂に包まれた屋敷に残ったのは屋敷の主ロウィーナと彼女のメイドでアリシアの世話をしていたオルガ、アリシアの主治医だったフェリエ医師とその幼い息子レオポルド、アリシアが病になった原因とされる元婚約者のマキシム。そして作家のオリヴァ女史とポアロのボディガードのポルトフィリオ。程なく霊能者ジョイスレイノルズ女史が女性の助手を伴って到着。降霊会が始まった。すると勝手にタイプライターが動き出す。だがまもなくポアロはトリックを見破り、暖炉に助手の弟が隠れているのを発見。だが次の瞬間、霊能者ジョイスの椅子が勝手に回り出し、彼女の口から若い女性の声が漏れる。

降霊会が終わると参加者たちは信じられぬ思いに駆られていたが外は嵐がやって来て船は朝まで出れそうにない、

その時、女性の悲鳴が聞こえた。皆が駆け付けると霊能者ジョイスが無残な死体で発見された。ポアロは他殺と断定。ポアロは全員を屋敷に留めるが、ポアロの目に見えないはずのものが映り、子供の声が聞こえてくる。天才ポアロの自信が僅かながら揺るぎ始める...。

 

へぇー、天才でも自信が持てなくなることもあるんや-。ポアロの目にずぶ濡れのアリシアの姿が映り、少女の姿が映る、そしてどこからか子供たちの笑い声が...。ポアロの「科学で、推理で、解決できぬものはない」と言う彼の哲学、自信が僅かながら崩れかけるわけです。このあたりがなかなか秀逸でした。こうなったら彼が原作をどう変えたか、実際はどんな原作だったのか。読んでみたいですね。しかし若い時の様に本を読まなくなってしまいました。相変わらずの睡眠不足で、睡眠不足だけなら若い時なら眠くもなりませんが細かい字を見てると暫くしたら眠うて、眠うて。あきませんなあ、年を取ると言うのは。しかしいつかは原作読んでみたいですね。

それにしても自分が若い頃のポアロシリーズもそうでしたが最初は綺羅星の如くのキャスティングでした。「オリエント急行殺人事件」はね。列車内の12名の容疑者。ショーンコネリー、イングリットバーグマン、ローレンバコール、リチャードウィドマーク、ジャクリーンビゼットにマイケルヨーク、サージョンギールガッドもおったなあ。二作目の「ナイル殺人事件」は、あっ、ボンドガール、ミアファロー...。まあそんなもんか。続くブラナー編は最初がジョニーデップ、ペネロペクルス、ジュディデンチ、ミッシェルファイファー、ウィレムデフォー...オリジナルの格には逆らえませんがよう集めました。次はガルガドットの後は名前が出てきません。そして本作、霊能者だか霊媒師だかミッシェルヨー。彼女よう出てます。オスカー獲得後は「トランスフォーマー」にも声の出演。こんな捻くれた観かたもあります。