題名の「エア/AIR」ってスポーツメーカー、NIKEの人気シューズ、「エアジョーダン」のこと。現在、若い人らに大人気のエアフォース1とかエアマックスとかの走りなんやとか。うちのスタッフの息子に誕生日やとか、入学祝やとかに「何が欲しい?」なんて聞くとNIKEなんですわ。そしてNIKEの店舗に行ってみると色とりどりのスニーカーに目が奪われ、金額に目が点になり...。今、若い人はみんなNIKE、NIKE、なんやねー。さすがに40年以上も前になると人気商品もガラッと変わります。我々の学生の時はスポーツシューズと言えばこの作品にも登場してたけど〝adidas〟に〝converse〟それに私服の時は〝VANS〟なんてもの履いていました。NIKEもあるにはあったけどみんな見向きもしなかった。NIKEはスポーツ用品メーカーとして二人のスーパースターの出現で一躍表舞台に出ます。一人はゴルフ界のスーパースター、タイガーウッズ。彼がNIKEと契約してからはゴルフするおじさんたちはNIKE、NIKE。もう一人はこのドラマの顔は出ないもう一方の主人公、バスケットボール界のスーパースター、マイケルジョーダンです。
この作品はスポーツシューズ、スニーカーとしてadidasとconverseに一歩も二歩も遅れていたNIKEのスタッフが当時のプロバスケットボール界の新人だったマイケルジョーダンとの専属契約を勝ち取り、人気メーカー「エアジョーダン」誕生までの物語です。マットデイモンとベンアフレックが共同制作。「グッドウィルハンティング」で世に出た二人が再びタッグを組みます。スポーツ用品業界のビジネスマンたちが一人のスーパースターに思いを込めた情熱の物語。ベンアフレックがメガホンを取り、あのジェイソンボーン・シリーズの精悍さはどこへやら、腹のたっぷりと出た中年ビジネスマンをマットデイモンが哀愁たっぷりに演じます。
1984年オレゴン州に本拠を置くスポーツ用品メーカーNIKEのバスケットボール部門は赤字続きで度々、役員会でも廃止の意見が出ていた。シューズの売り上げはadidasとconverseでシェアの7割以上を占めている。担当者のソニーヴァッカロはスポンサー契約をする新人探しに奔走するが会社からの割り当て金25万ドルで3名の新人と契約するにはランキング下位の選手と契約するのが精いっぱい。彼はCEOのフィルナイトに割り当て金を上げて貰うよう直談判するが、
赤字続きの部門からの提言などけんもほろろになるのは当然のことだった。
そんな苦悩の日々が続く中、フィルはある晩、何気なく観ていた大学バスケットボールの試合のビデオで一人の選手の動きに目を止める。10月にNBA入りする当時の新人マイケルジョーダンだった。彼のプレイに惚れ込んだソニーはジョーダンのエージェント、デビッドフォークに問い合わせたがジョーダンは既に大好きなadidas一択でそれに業界一位のconverseが横やりを入れようとしている状況だと言う。だが諦めきれないソニーはマーケティング責任者や選手責任者に割り当て金の25万ドルをすべてマイケルジョーダンにつぎ込もうと提案。だが失敗したらただでは済まないと忠告される。しかし、その忠告も聞かずソニーはエージェントにも無断で直にマイケルジョーダンの実家ノースカロライナに出向き両親に面会。マイケルの動向に大きな影響を持つと言われる母親デロリスジョーダンはソニーの無作法に呆れながらもソニーのバスケットボールに関する見識や彼の情熱に耳を傾けてくれる。
ソニーの情熱に遂にCEOのフィルナイトも折れた。数日後、当然のことながらエージェントは激怒。だが両親、そしてジョーダン本人がNIKEのプレゼンを聞くため本社を訪れることを伝える。マイケルジョーダンを口説き落とすため最高のシューズ「エアジョーダン」の制作に着手。そして、両親、エージェント、マイケルジョーダン本人を前にプレゼンが始まる...。
正直、バスケットボールに限らず、野球、サッカー、アメリカならこれにアメリカンフットボールやアイスホッケーも入るんかな?プロに入る若い新人選手たちに、何千万の契約金の他にこの作品にも出てたけど車を付けるだの、商品の利益の一部をよこせだの、それってどうなの?って思います。たとえ、慈善事業を立ち上げるとしてもね。なんかそれは思ったなー。貧乏人のひがみと言えばそれまでやけど。プロスポーツが栄えてから常に金の使い方も知らない新人たちがこれで舞い上がってしまう。マイケルジョーダンの場合はスーパースターとして生まれ、当然の如く活躍し、当然の如く名声を残した。だからこうやって映画にもなったわけやけど。つぶれてしまって道を外した選手も数多くいるはず。なんかそれを感じましたね。特になんか最後でこのおかんが「売上金の一部を...」って言うシーンでそれがさらりと描かれていて、慈善事業云云と描かれていることになんか、こう、うーん。
まあこの業界で働かれている方々は選手の我ままに振り回され、いろんな付き合いもあり-のと、自分の友人もこの業界に身を置いてるやつがいるから、大変なこと知ってるからあんまり失礼なこと言われへんねんけど。この作品を観て選手との専属契約のために日夜奮闘されている方々にはほんと頭が下がります。
しかし、仕事に対する情熱と言う点ではほんとマットデイモンの言葉は突き刺さります。「君はこれからこの世界に足を踏み入れいろんな非難、誹謗中傷に、苦難に身を晒されるだろう。でも...」あったもんねえ、お父さんが殺されたりとかねぇ。プロに入った後、彼の身に起こったことが実写でオーバーラップされます。そんなことまで最後のシーンで描かれました。中年親父マットデイモンのスーパースターへの提言。そんなとこも心に残ります。