テス | kazuのブログ

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サラリーマン社長のムービートラベル

今回の作品は新作じゃないんです。リバイバル上映。リマスター版とかなんとか...よう知らんけど。

この「テス」が日本で上映されたのは1980年。今から43年前です。そう、私が18歳の頃。高校野球も引退した秋頃。観にいきたかったんやけどなかなか行けん。そりゃ受験真っ只中ですもん。まっ、ろくに勉強もせんかったけど。上映が終わった後も観に行けなかったのを悔やんで悔やんで。テレビの上映もなかなかせんでしたなぁ。待ってたけど。なんでやろ?とにかく念願が43年ぶりに叶ったわけです。なんでそんなに観に行きたかったのか?そりゃ、ナスターシャキンスキー。いやあ、綺麗な人やと思いました。マジ綺麗です。撮影当時は18歳、本作の監督ロマンポランスキー46歳の恋人と言われてました。よろしいなぁ有名人は。ロマンポランスキーってヨーロッパの大男たちの中じゃあちんちくりんのおっさんです。(失礼!)だけど天才、鬼才と言われた彼は数々の名作、傑作を世に送り出しています。「反撥」「ローズマリーの赤ちゃん」「チャイナタウン」。近年じゃ「戦場のピアニスト」、エイドリアンブロディが出たやつね。それよりもなによりも彼の名を世に知らしめたのは「シャロンテート殺人事件」。当時の妻、シャロンテートが狂信的な指導者チャールズマンソンの信者、いわゆる「マンソンファミリー」によって惨殺された事件です。当時、彼女はポランスキーの子供を身ごもっていて臨月を迎えていました。彼らはシャロンをナイフでメッタ刺し、当然、おなかの子供も殺されました。このチャールズマンソンについて話せばまたキリがないので控えますが、当初この「テス」の主演はシャロンテートのためにポランスキーが用意したとのことでした。作品の最初のタイトルロールに「シャロンに捧ぐ」と出てきます。シャロンが死んでから10年後、ポランスキーの思い入れがよくわかります。

しかし何といってもナスターシャは綺麗!私より一つ上なのでもう今は彼女の姿はあまり見たくないですが、とにかく美しい!高校生ながらそう思いました。当時の彼女のキャッチコピーが「バーグマン(イングリット)の再来」「鬼才ポランスキーを狂わせた女」。うーんちゃうなぁ、バーグマンの清楚さはないけどバーグマンにない妖しさ、18歳とは思えない妖艶さがありました。それに鬼才やのうてもこんな美人が横におったら狂います。

19世紀末のイギリス、ドーセット地方の農村にジョンダービフィールドと言う男がいた。妻とたくさんの子供たちに囲まれながらも大酒飲みの怠け者の彼は一向に働かない。ある日彼は自分が地方の名門ダーバヴィル家の血筋を引くものだと言うことを知る。家に帰ると彼はこのことを妻に話すと妻は「長女のテスを送ろう」と言った。彼女を送り込み親戚関係を主張しようと言うのだ。そうすればテスにもいい縁談が舞い込むかも...。気が進まないテスであったが困窮しひもじい思いをする弟や妹たちのためにダーバヴィル家に向かった。

ダーバヴィル家にはアレックと言う息子がいた。彼は美しいテスに心を奪われる。それにより彼女は住み込みでダーバヴィル家で働くことになった。何かと彼女に言い寄るアレックであったがその度にテスはそでにする。だがある日、アレックはとうとう力ずくで彼女を自分のものにしてしまう。強引に情婦にされてしまったテスであったが関係を断ち切るためダーバヴィル家を去り実家へ戻る。だが彼女は体にアレックの子を宿していた。子供を産んだ彼女だったが生まれた子供はわずか数週間で死んでしまう。

すべてを振り払うため彼女は故郷を離れ遠く離れた酪農場で働くことになった。厳しい仕事であったが農場主はやさしく、共に働く娘たちとはすぐ打ち解けた。酪農場での生活は幸せだった。そんな仕事場に牧師の息子だと言う青年エンジェルが働いていた。彼は酪農の勉強をしに来ているのだと言う。テスとエンジェルは一目で惹かれあい愛し合うようになり遂にエンジェルはテスに結婚を申し込む。最初は名門の息子の情婦にされたこと、その子を宿したことで負い目を感じなかなか返事をできなかったが遂にエンジェルに押し切られてしまう。初夜の場でテスは自らが負い目を感じていたことをエンジェルに打ち明ける。だがエンジェルは彼女の言葉にショックを受け翌日、彼女の元を去ってしまう。失意のまま故郷に戻った彼女であったが、父は亡くなり住んでいた家は借金の方に取り上げられ追い出される。彼女の過酷な運命は始まったばかりだった...。

 

うーんわが青春の1ページですな。

正直、デビュー間もない「彼女の美しさを撮る」ための映画です。綺麗です!とにかく美しい!薄幸の美女、美しさ故に訪れる過酷な運命。過酷であればあるほど彼女の美しさが際立ちます。ポランスキーが彼女を綺麗に綺麗に撮ろうとしているのがよくわかります。まあしかしそれ以外になにがあると言われればそれまでなんですが...。

「美女ナスターシャキンスキー」の代表作と言えばこれ一作でしょう。このあと「キャットピープル」うわぁー彼女のハダカがみれるウといそいそと観に行ったあの若き頃が情けない。しかし名作として世に残るのがこの一作でこの後も

「パリ、テキサス」や「マリアの恋人」などなかなかいい作品もあるわけですが、それにしても、もっともっと世に残るような作品に出て貰いたかった女優さんです。なんかもったいない。この作品も観ているとそう感じます。彼女のお父さんはドイツの性格俳優クラウスキンスキー。これだけじゃわからんやろうけど「吸血鬼ノスフェラトウ」、そうドラキュラやった役者さん。この顔からあんな娘が生まれるかぁ。