またまたまた、韓流作品。一時期ほどではないにしろ、一昨年「半地下の家族」で韓国映画がアカデミー賞の栄冠に輝いてからやはり世界中で認知された感のある韓国映画。とにかく面白い、あの国土の狭い半島の中でよくこれだけのネタを探し出し物語を作り出せると思います。演者も演出者もとにかく一生懸命名です。
今回観た作品は「犯罪都市 THE ROUNDUP」。主演はマドンソクと言う従来の韓国俳優の代名詞、二枚目、綺麗な顔からは程遠いまさにドラム缶のようなオッサンです。よう出てますこの人。つい最近ではハリウッド映画でもデビューしました。「エターナルズ」って言うアンジェリーナジョリーらと出演したSF大作です。それが刑事アクションで主演を張ります。ヤクザ役、刑事役、どっちをやっても変わらんから怖い。今回は勿論、悪を裁く刑事役。無茶苦茶暴れます。まあ韓国版ダーティハリーかマーティンリッグス(リーサルウェポン)と言ったところか。しかし銃はほとんど使わないんですねー。このドラム缶ヒーローの武器は叩き潰すようなストレートと背負い投げ。このあたりが気持ちいい。この作品、観終わった後に知りましたが続編、パート2です。一作目も観てみたい。
ソウル衿川(クムチョン)警察の剛腕刑事マソクトは上司のチョンイルマン班長と共にベトナム・ホーチミン行きを命じられる。ホーチミンの韓国領事館に海外逃亡中だった宝石強盗団の一人が自首してきたというのだ。仕事は犯人引取と言うごく簡単なものだった。だがマソクトはこの犯人の行動に重大事件の匂いを感じ取る。到着するとさっそく強引な尋問で犯人の口を割らせる。この男は今、東南アジアで横行している富裕層の韓国人旅行者誘拐団の一味だった。一味のやり口は東南アジアに旅行中の富裕層の旅行者を誘拐し、身代金を要求、身代金を受け取った後は人質を殺害するという残虐なものだった。一味の首領はカンヘサン。この自首してきた男はカンヘサンのあまりに惨いやり口に恐ろしくなり匿って貰うために自首してきたのだった。
マソクトとチョン班長は領事館員の協力を得て一味のかつてのアジトに埋められていた4人もの死体を発見。その中に青年実業家チェヨンギの遺体があった。チェヨンギの父は悪質な貸金業で財を成した大富豪チェチュンベクである。チェ一族からは行方不明者の捜索依頼はない。チェチュンベクはカンヘサンからの身代金の要求を撥ね退け逆に殺し屋を差し向けてきたのだった。マソクトたちがカンヘサンの隠れ家へ着いたときはすでに遅く、殺し屋たちは返り討ちに会い皆殺しにされていた。遅かったかと思いきやその時、マソクトとチョン班長にカンヘサンと仲間が襲い掛かる。チョン班長は負傷するもマソクトの大奮闘で仲間の一人を逮捕したがカンヘサンは取り逃がしてしまう。マソクトは病院で負傷したカンヘサンの仲間の口から彼が韓国へ戻ったことを吐かせる。ターゲットがチェチェンベク会長となったのだ。マソクトはカンヘサンを追い韓国へ...。彼の腕っぷしと知力がカンヘサンを追い詰める。
ステゴロ(武器を使わない素手の喧嘩)刑事、よろしいですなあ。まあ、あのぶっとい体からぶっとい指で引き金を引いても似合わんもんねぇ。うーん思い出しても彼が銃を撃つシーン...ないな。殴り倒す、蹴り倒す、投げ飛ばす。なんせ喧嘩が強い!腕力一辺倒でなく犯人との駆け引き、狡猾さも垣間見えます。この人の名前がよろし、マ・ドンソク...この名前のどっしりいい。名は体を表すと言いますが、ドンソク、゛をとってしまうとトン、あっ、いや、それでも似合うかなと...悪意はありません。韓国のフィルムノワールと言ってしまえば大層であまりにこの作品はファンキーでありますが、好きやなあこの役者さん。二枚目、色白、美顔な今の韓流スターからはかけ離れていますが、この人が主役を張って様になるという韓国映画界、うらやましい限りでございます。これからももっともっと期待しております。
本作に興味を持ち前作の「犯罪都市」を調べてみますと、この前作は2004年に実際に起こった事件が物語のベースになってるといいます。
中国にはああ見えてたくさんの民族がいます。一番幅を利かせているのは勿論、漢民族。けどその他に今問題になっているウイグル人、チベット人、モンゴル人、満州人だって漢民族とはまた違います。そして朝鮮民族ってのがおります。まあこの人たちはやっぱり差別を受けてるんですねぇ。当然職に就くのも困難です。そんな朝鮮民族が1990年代頃から韓国に職を求めて流れてきました。その一つがソウルの一画、衿川地区。この作品の舞台ですよね。朝鮮民族って言ったって中国人です。このへんがややこしい。どこへ行ったって差別されるわけです。そんなんやったら...っていう訳で腕力だけでのし上がろうとするのが、まあどこの国にもある暴力団、マフィア、シンジケート、やくざですよね。そしてここに地元韓国の暴力団、朝鮮民族の中国系マフィア、そして警察の三つ巴のバトルが始まるという訳なんですが、それを颯爽とねじ伏せるのがマソクト刑事なわけです。
こうやって調べると面白いという言葉は語弊があるかもしれませんが一つの知識になります。マドンソクの暴れっぷりに目を奪われるのもいいですが映画はやっぱり知識の宝庫です。
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