殺人鬼から逃げる夜 | kazuのブログ

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昨日、5回目の抗癌剤治療でした。今まだ、帰って管を付けたままこれ書いてます。週の大半は会社に泊まって週末に自宅へ帰る毎日、管を付けたまま仕事をするのも憂鬱です。夜はオフィスで我がタイガースの試合を観るわけですが前半戦の勢いはどこへやら、現在は首位ヤクルトを1ゲーム差で追ってるわけですが、連日、連夜まあ癌が飛び散るような試合を展開してくれています。

まあ、それはともかく先日、「あまり金かかってないよねー」とは思いながらもむっちゃおもろい韓国映画を観てきました。サイコキラーから逃げ回るは聴覚障害を持つ娘。耳が聞こえない、周りの者に危険を伝えることが出来ない。さあ、どうやって逃げ延びる?逃げ延びる術は知力と絶対死にたくないという強固なまでの意志。

視聴覚障害を持つギョンミはお客様相談センターの手話部門で働く若い女性。同様の障害を持つ母親は裁縫師として働いている。二人暮らしの彼女たちの目下の夢はお金をためて済州島へ旅行すること。

一方、警備会社で働く、元海兵隊員のジョンタクは妹と二人暮らし、常に妹のソジョンのことが心配で仕方がない。今日も合コンに行くという彼女とひと悶着。強引にソジョンが家を出たところだ。

夜になり皆仕事を終え、家路に急ぐ。ギョンミは車で母を迎えに行き、駐車場の近くで母を待たせ車を止めに行く。駐車場を出て母親の待っている場所へと歩く途中、路地の物陰からハイヒールが転がってきた。恐る恐る近づくと一人の若い女性が腹を刺され瀕死の重傷を負っていた。助けを呼ぼうとしたとき、潜んでいたマスクにサングラスで顔を隠した男が襲いかかる。一瞬のスキをついて路地を、駐車場の中を逃げ回るギョンミ。ようやくの思いで母親の元へ駆けつけ管制センターの非常ベルを押す。だが二人には管制センターからのよびかけは聞こえない。するとそこへ身なりのいいスーツ姿の男性が近づく。妹を探しているという彼こそが街中を騒がせる連続殺人犯、サイコキラーのドシクだった。ドシクがポケットに忍ばせたナイフに手を伸ばした瞬間、警察官たちが到着する。路地裏の瀕死の女性は消えていた。3人は警察署で事情聴取をとることになった。

警察署で事情聴取が行われている最中、ギョンミの母親はずつとドシクのことを訝しんでいた。手話で娘に話しかける。

「あの人おかしいよ」

そこへ妹が帰って来ないというジョンタクが駆け込んできた。ジョンタクが妹のソジョンの写真を見せるとギョンミは刺されていたのは彼女だという。警察官たちが酔っ払いの後始末で席を外した途端、ドシクがジョンタクに襲いかかり耳元でつぶやく。

「妹を刺したのは俺だよ」

2人は格闘になった。元海兵隊員のスキルを生かし、ジョンタクが馬乗りになっているところへ署員たちがかけつけるが、ドンクの讒言に惑わされ、電気銃でジョンタクを気絶させてしまう。そしてそのまま、ドシクは解放されてしまう。ギョンミたちにはなにがなんだかわからない。ドシクが気付いた時には後の祭りだった。結局二人は署員に送られ自宅へ戻る。母親が仕事のことで友人と共に家を出た後、一人家にいるギョンミ。だがドアの前で立っている男がいた。ドシクは彼女の調書を署で盗み見して住所を知ったのである。恐怖の一夜は始まったばかりであった。

 

ヒロインの女の子と、このサイコパスは映画の3分の1くらいはずっと走っています。韓国ってソウルも釜山もこういう町多いんやけど住宅街が坂道に連なっていて、家の周りは急坂が多い。だからお金持ちのでっかい家しか駐車場はない。そして坂を下りきったところの平坦な道路はもう繁華街。ヒロインが逃げる、逃げる。そして、繁華街、道行く人に助けを求めるけど聞こえない、しゃべれない。手話のできる人なんて街中にはそうそういません。追う殺人鬼は都合よく「妹だ」とかなんとか言って誤魔化す。人間、受け入れにくい方には向かない。単純にわかりやすい方に向くわけです。観ている観客はジレンマに陥ります。逃げる方は絶対不利。犯人に捕らえられ繁華街の真ん中で必死で出ない声を振り絞って訴えます。当然、周りの人は見向きもしない(ここんところ、日本じゃあまりあり得ないと思うんですが)。

「私は...まだ..死にたく..ありません..。だから..殺さないでください。やりたいことが..たくさんあります..。旅行へ行きたい。結婚..したい..。子供を..産みたい。だから..殺さないでください。」

当然、殺人鬼はあざ笑う。どんなに周りの人々に訴えても、.殺人鬼に引き渡される。隠れていた彼女を何の調べもせずに殺人鬼に引き渡すアホな韓国兵たちも出てきます(役に立たん連中やねぇ、なにやっても)。だけど彼女には「絶対生きる!」という信念がありました。状況は違いますが、ここんとこ自分も身につまされる思いです。その彼女の信念が衝撃のラストを生みます。観ている人は一気にカタルシスを覚えるわけですなぁ。かなりしゃべっちゃいましたけどぜひ、お薦めの一品です。

 

たった一晩の出来事を描いた作品なんですがほんまによう出来てます。この監督さん新人なんですねぇ。韓国映画界ってこの小さな国家の中でバンバン面白い作品を作り出します。ハリウッドなら金かけて、ビッグネームを放り込んでってわかるけど、韓国の俳優さんも最近では日本でも名の知れた人が結構出てきましたが本作の役者さんは殆ど無名とちゃうかな?自分はテレビドラマの方は観ないから知らんけど。日本じゃ下手なアイドル主演で花も実もなく終わりやろね。