ニューヨーク 親切なロシア料理店 | kazuのブログ

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サラリーマン社長のムービートラベル

このコロナ禍の中、ハリウッドの大作、話題作が来ず、また昨年、目玉になるはずだった「007」の最新作も来ず、ようやく先日、アメリカに先駆けて「ワンダーウーマン」が公開されたにも関わらず、また緊急事態宣言と...

もうー国のお偉いさん方は何をやっとるんやと。そんな思いの諸氏も多いとは思いますが、映画館、劇場は営業自粛を免れました。けど、そんな中でも小作ながらいい作品を持ってくる、配給会社、日頃は大きなシアター系映画館に大作を持っていかれっぱなしの派手さはなくてもじっくりとよい映画を上映してくれる、小さな映画館の方々には頭が下がります。派手なテレビの宣伝はなくとも映画好きにじっくりと観せてくれる小作の中にはキラリと光る作品があります。先日、鑑賞させて頂きました「ニューヨーク 親切なロシア料理店」。

もぉーよかったですー。出てる俳優さんは殆ど、初対面。一人だけ、ビルナイって言うベテラン俳優がいましたが、この人ご存じ?知らん人は多いと思いますが「パイレーツ・オブ・カリビアン」のディビージョーンズって言えば分かるかな?そう、あのイカのバケモンみたいな海賊の幽霊たちの親玉っていえばピンとくる人も多いと思います。あんなかぶりもんやってたらだれかわからへん。あんな役よりほんまに目立たん脇役やねんけど私は惹かれましたねー。ロシア料理店のオーナーから給仕に格下げされる役なんですが、訳は分かりませんがなんかよかったー。

まだ薄暗い、早朝。ベットで眠る若い夫婦。妻がそっと起き、別室で眠る幼い二人の男の子を起こして家を抜け出す。車を飛ばして向かった先はニューヨーク・マンハッタン。彼女はDVの夫から子供たちを連れて着の身着のまま、現金も持たずに逃げてきたのだ。彼女の名はクララ。

とある、マンハッタンのロシア料理店。刑務所を出所してきた一人の男がオーナーのティモフェイから傾いた店を任されるところだった。男の名はマーク。どこか無愛想。彼は友人の弁護士と共に「心を病んでいる」人たちのために病院の看護婦がやっている「話す会」に嫌々ながら付き合っている。弁護士の目当ては主催しているその看護婦だ。

とある、マンハッタンの病院。冬のニューヨークで怪我人の他に、行き場を失って野垂れ死に寸前の人たちが次々に運ばれてくる。その中に会社をクビになって路地裏で凍死寸前だつた若者ジェフがいた。彼を助けてくれたのは自らの幸せをあきらめ、恵まれない人々のために慈善活動を行う看護婦アリス。ジェフは彼女が行っている「話す会」や教会の「無料食堂」を手伝うことになった。

DV夫から逃れたいクララはホテルのパーティーやレストランの「無銭飲食」、そして教会の「無料食堂」で子どもたちと飢えを凌ぐ。だが、夜中、下の息子が雪の中、ふらりと外に出てしまい。そのまま眠ってしまう。目を覚まさない息子を抱えて泣き叫ぶクララを見たジェフがアリスに連絡し何とか命は取り留めたものの、クララは居所が夫に知れると思い居場所を失ってしまう。行き倒れ同然でロシア料理店に潜り込んだ彼女はテーブルの下で上の息子と眠ってしまう。それを見つけたマークは彼女たちにそっと食事を運んでやるのだった。

マークは自分のオフィスを提供することをクララに提案する。ロシア料理店のマークやティモフィ、看護婦のアリスや彼女のもとで働くジェフ。ロシア料理店に集まって来る人々の温かいやさしさに触れ、夫と対決するためクララはマークに友人の弁護士を紹介して貰う...

 

古いロシア料理店に見知らぬ他人同士が集い、温かい手を差し伸べる。冬のニューヨークって寒いんですよね。そこで心温まる物語が展開される。お互い皆、問題を抱えている。だけど、正直底辺で生きている人たちです。そんな人たちが家族同然に肩を寄せ合い、励ましあい、助け合って生きている。今のこんなご時世だからこそ観ている者の胸に来る作品だと思います。

こんな作品をこんな時代に提供してくれる、製作者、キャスト、配給会社、映画館とすべての人に感謝です。

 

それから殆ど、名も知らぬキャストと言いましたが。主演のクララを演じたゾーイカザンってかの名監督エリアカザンのお孫さんだそうです。知らん人のためにええかっこして説明すると、かのジェームズディーンやマーロンブランド、ウォーレンビューティにロバートデニーロまで数々のビッグネームを世に送り出した、まさに「新人発掘人」と言われた人です。

一部では1950年代にハリウッドを襲った「赤狩り旋風」の際、ちくったのどうだのと負のイメージもある方ですが、でも彼の残した業績は色あせることはありません。「欲望と言う名の電車」、「波止場」、「エデンの東」、「草原の輝き」。数多くの名作が彼の手で世に送り出されました。そういう意味ではサラブレットです。彼女のこれからに期待です。