1976年、私は当時14歳ですね。一本のボクシング映画が公開されました。題名を「ロッキー」。当時、100万ドル、アメリカのテレビドラマシリーズ一話分と言う低予算映画です。30歳を過ぎた売れない俳優が「モハメドアリVSチャックウェプナー」の世界ヘビー級タイトルマッチから発想を得、三日三晩、脚本を書き続け自ら映画会社に売り込み、「自分を主役にしないとこの脚本は渡さない」と言い張った末にその売れない俳優は主演・脚本を勝ち取りました。その俳優の名はシルベスタースタローン。盛りを過ぎたそのボクサーが恋人の愛を支えに世界最強と言われたチャンピオンに戦いを望みます。「15ラウンド闘ってまだリングに立っていられたら俺は負け犬じゃなかったことを証明できる」
その超低予算映画は予想に反して大ヒットしボクシング映画の金字塔として映画史にその名を残しました。ロッキーバルボアと言うアメリカントリームを叶えたヒーローが誕生してから6年後、その売れなかった役者シルベスタースターローンは今度は新しいヒーローを世に送り出します。そのヒーローの名はジョンランボー。そのジョンランボーと言うベトナム帰還兵は恋人の愛に支えられ、親友の愛に支えられ、世界中の人々に愛されたロッキーバルボアと言うアメリカンドリームとは真逆のヒーローでした。人々から疎まれ、国に裏切られ、それでも祖国を愛さずにはいられない孤立無援の戦いを強いられる悲しき孤高の戦士です。この対照的な二人のヒーローを世に送り出した30を過ぎて売れなかった俳優はハリウッド黄金時代のジョンウェインやゲーリークーパーと肩を並べる大スターとなります。
その一人のヒーロー、ジョンランボー。彼のドラマがいよいよ終焉を迎えます。その作品が「ランボー/ラスト・ブラッド」です。長い旅路の果て、彼の心は安らぎを迎え、彼の内なる戦争は終わりを告げることはできるのか?
ベトナム戦争が終わって40年以上がたつ。だがジョンランボーの心の中で戦争は続いていた。オレゴンの田舎町、再びベトナム、アフガニスタン、ミャンマー。しかし彼はようやく故郷のアリゾナへたどり着いたのである。そして父の牧場を継ぎ、時には救助隊のボランティアをしながら古くからの友人マリアと彼女の孫娘ガブリエラとささやかな幸せを送っていた。ガブリエラの大学も決まり我が子のようにかわいがっていた彼女が牧場を出ていくのは寂しくもあるが、同時に成長した彼女を見るのはランボーにとって幸せだった。
そんなある日、ガブリエラは大学へ行く前に別れた父親に会いにメキシコへ行きたいといいだす。ガブリエラの父親はとんでもないろくでなしので、まだガブリエラの母親が生きていたころ何度もDVを繰り返したため、ランボーが見かねて追い出したのであった。その父親がメキシコにいる。ガブリエラは猛反対するランボーとマリアに一度は説得されるが、たまらずに車を国境に走らせメキシコへ行くのだった。メキシコではガブリエラの幼友達、ジゼルが父の所へ案内してくれた。だが父は彼女に全く愛情を持っておらず、けんもほろろに追い返される。失意のガブリエラをジゼルは慰めるが、実は彼女はメキシコカルテルの人身売買組織にガブリエラを売り渡そうと考えていたのであった。
残虐非道、人を人とも思わないメキシコギャング達。単身ランボーはメキシコカルテルの本拠地に忍び込もうとするが数十人のギャング達に取り押さえられ半死半生の目に合う。そんな彼を救ってくれたのはフリーのジャーナリスト、カルメンだった。回復した彼はもう一度、敵の根城に潜り込み、ガブリエラを奪還。だが彼女の体はすでに麻薬でポロポロにされており帰りの車の中で息を引き取る。ランボーの怒りが頂点に達し、たった一人でメキシコカルテルに戦争を仕掛けるのだった...
スタローンは最後は派手にと思ったんですかねー。アクションが豪快で派手なのは結構ですが...もちろん見どころは最後の戦闘シーンと言うか殺戮シーンと言うか。ランボーがジェイソン(「13日の金曜日」シリーズの)やハンニバルレクターとダブって観えたのは私だけでしょうか?「心臓をこの手で抉り出してヤル!」とか言ってほんまにやるのはドクターレクターだけやと思うとった。頑張ってましたよー、スタローンは。前作「最後の戦場」でただ数分間、機関銃を撃ちまくっていたのを観て、「ああやっぱりしんどいんや、上半身も裸にならんし」とやっぱしスタローンも人間と年齢の衰えを隠せなかったものの、今回はその「やっぱし」を跳ね返しましたよね。けど最後がメキシコギャングって相手が小さすぎません?まあこいつらほんまに怖いけどね。そのあたりはエミリーブラント主演の「ボーダーライン」でもよく描かれとったですわ。外国人歓迎❕のしるしに皮をひん剥かれた遺体がゲートに吊るされとったりして...おーこわっ。
けど、最後はやはりイスラム国くらい相手にしてほしかったな。この作品はいつもアメリカが敵対視する国が標的となります。まぁトランプの現在の標的は「国境に壁を作る」って言うメキシコになりますねぇ。と言うことはスタローンはハリウッドでは数少ないトランプ支持派となるわけやね?短絡的な意見ですが...
私も、添乗でティファナへ行きましたが、まあバスで税関を通ったあとは異様な雰囲気でしたね。まずそこで暮らす人の目つきが違う。バスを降りると早速寄ってきた。「田中さん、福田さん、中曽根さん」歴代の日本の総理大臣の名前をずらっと並べてます。そのうちの一人の名前が当たっているから怖い。「次にハーイ、ハラキリプライス!」こう言う事はよく知っとるんやね。見ると結構よさそうな皮のベルト、「80ドル!」あぁー、けっこうけっこう。丁重にお断りしてその場を離れようとするが尚も付いてくる。「50ドル!」「30ドル!」「10ドル!」最初の80ドルはなんやねんと突っ込みたくなりましたが結局、8ドルで購入しました。まだ若かったからね。その後、ガイドさんに聞きました。「こんなんいくらくらいで仕入れてるんやろ?」ガイドさんは笑いながら「そんなんタダですよ」「エェーッ」「こんな露店においてあるもの大概、輸入品の横流しか盗品です」
はぁーっ、恐ろしいとこです。まぁ売ってる人らはとても大丸や、そごうの販売員には見えんけどね。
まぁ、こんな国の連中やからトランプさんも見下しとるわけやね。人の命ってものをなんとも思っていない上に遺体を損壊する。その損壊の仕方も尋常ではない。それは相手に対する恐怖心を植え付けるためには必要な事と平然としている。それはカルテルのボスが「俺はあの娘たちの命には何の興味もない」というセリフにも表れています。だからそんな連中は国境を越えさせない。壁を作る。とこうなるわけです。で、スタローンはと言うと目には目を、歯には歯をとあのジェイソンもハンニバルも真っ青になるあのシーンとなるわけです。
だからこの作品に関してはランボーの戦闘シーン、殺戮シーンに関しては賛否両論出ています。確かに私も「ホラー映画観に来たんやったかな?」とも思いましたがこれもスタローン流愛国心の表現と言ってしまえばなるほどなと...
思い起こせば第一作はあれだけ暴れまわって死んだのは一人だけですからね。ランボーと言う男がどれだけまともかがよくわかります。それが二作目以降は殺って、殺って、殺りまくれですからね。よくよく考えれば一作目の相手は自国の民。二作目以降はアメリカが目の敵にしている連中ばかりです。だから愛国者シルベスタースタローンの人となりがよくわかります。
とにもかくにも「ロッキー」に続いて「ランボー」も終了...。ほんまに終了ですか?私は娘を助け出して、自らは永遠の安らぎに就くってのが本筋かなって思いましたが、結局は彼には「愛する者は救えなかった」という何とも言えない負の連鎖が付きまとうんですね。スタローンはここだけは一貫しています。体に鉄杭や銃弾を浴びながら馬に乗って颯爽と牧場を後にするランボーの姿を見て、「スタローンってこれが最後と思っても作品を観て気に入らなかったらなんか口実をつけて再登場させるってのがパターンやからな」と期待と不安が入り混じった自分がいるのでした。