カトリーヌドヌーブって知っている人はかなりの御年輩。でも昔は綺麗やったんですよ-。まあ、フランス映画全盛期のトッブ女優は断然ドヌーブやろね。そんな彼女の最新作「アンティークの祝祭」はなんか彼女が自らの遺作として位置付けているような感じの内容でした。(失礼ですが...)
フランスのとある田舎町、一人古い邸宅に住む老婦人クレールはなぜか自らの死期が近いことを悟り家中にあるアンティークの数々を近所の若者たちに手伝わせ、庭に引っ張り出してただ同然の値で売りさばき始める。「さあ、あなたたち新しい人生の始まりよ...」
骨董品たちに問いかける彼女。長い年月をかけて集めたコレクションの数々、それらは亡くなった息子、そして離れて暮らす娘たちとの思いで多き品々。突然のヤードセールに邸宅の庭は人であふれ賑わいを見せる。彼女の脳裏にはそれぞれの品々に、子供たちとのはるか昔の思い出や、燃えるような恋をした自らの若き日の姿が走馬灯のように駆け巡る。そんな時、友人からうわさを聞きつけ彼女の娘が20年ぶりに帰ってくる。母親の常軌を逸したような行動に不安を覚える娘。その夜、町ではカーニバルが催される中、クレールは衝撃的な人生の結末を迎える。
地味で、地味-な作品なのは若かりし頃のあのカトリーヌドヌーブのイメージにありません。「反撥」「昼顔」「シェルブールの雨傘」とフランス映画の黄金期を支えた彼女の姿はそこにはなく、刺激の多い作品が立ち並ぶ昨今自分には退屈すぎたかなー。けどラストのこの作品の流れからは到底予想できないような結末はどう評価したらいいかわかりません。昔のドヌーブを知っている、おじさん、いや、おじいさんたちはこういうドヌーブって観たくないやろな―。毒婦、小悪魔ってわかっていても吸い寄せられる。そんな女優だとどこかのおじいちゃんが言ってました。今、そんな女優さん、いなくなりましたねぇ。
今、フランス映画って停滞気味です。フランスに限らず、なかなかいい監督がいない。日本も韓国も中国も香港もちょっといい映画を撮るとみんなハリウッドへ引っ張られます。リュックベッソンなんかいい例。で、ハリウッドでいい仕事をしたかと言うと。そうとも言えない。ジョンウーなんてハリウッドでも面白い映画を撮っていたのに帰ってきたらヘボ監督になってた。
どこも人材に乏しいんです。みんな自国のいいところを世界に発信してください。ハリウッドもいいけどハリウッドには「ちょっと他の国で頭をひねればヒット作を撮れる。」そんな人材は山ほどいるんですよ-。