まさに「バイオハザード」の世界を実体験しているような今のこのご時世。東京の映画館は閉館しているそうですが、神戸の映画館はやっています。「こんな時に」と非難をうけそうですが、映画館側も間に一席空けてコロナ対策に取り組んでいます。一席空けなくても一列ぜーんぶ貸切みたいなもの。どの作品を観に行っても広い館内で10人も座っていません。そんな塞ぎ込んだ時にはうってつけの作品、マーゴットロビー主演の「ハーレイクインの華麗なる覚醒」はほんの一時だけでも今の現実を忘れさせてくれる、言わば「おバカ」映画の類なのですが、これも゛Me Too"系列の女性映画です。
頭脳明晰な精神科医でありながらゴッサムシティの悪の帝王ジョーカーと恋に落ち、人生を狂わせジョーカーとともに悪の限りを尽くしてきたハーリーン・フランシス・クインゼル、通称ハーレイクインは遂にはジョーカーと破局。彼女はジョーカーとの思い出の場所、そして悪女ハーレイクインとなった原点ともいえる薬品工場を爆破。ジョーカーとの柵を断ち切る。だがそれはジョーカーという後ろ盾をなくし、街中にそれを知られることによって彼女に恨みを持つ悪党たち全員から命を付け狙われることになる。特に「顔の皮を剥ぐのが趣味」というジョーカーと並ぶ極悪非道の暗黒街のボス、「ブラックマスク」ことローマンシオニスの追跡は凄まじかった。だが、ひょんなことからそのブラックマスクの持つダイヤを盗んだスリの天才少女を助ける羽目になる。ハーレイクイン逮捕に執念を燃やすあまり組織からはみ出てしまった女刑事、ブラックマスクを裏切った店の歌姫、マフィアの娘として生まれながら家族を皆殺しにされ殺し屋になった女などブラックマスクを倒すという利害関係が一致。チームとなった彼女たちはブラックマスクに立ち向かう!
然るに今やハリウッドの売れっ子女優マーゴットロビーはまさに「カメレオン女優」です。オスカーの主演候補になった「アイ、トーニャ」ではフィギュアスケート会の天才スケーター、トーニャハーディングのギリギリの精神状態を体現して見せ、「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」ではエリザベス一世を威厳たっぷりに、つい先だっての「スキャンダル」では野心満々のじテレビ局の女性局員に、そして本作では猛烈にぶっ飛んだ天才と狂気の紙一重のアウトローガールと、まあころころと個性たっぷりに演じることができるというのは並々ならぬ彼女の演技力の高さだと思います。だいたい、ハイエナ飼ってる女の子なんてまずおらんやろ(笑)
まあぶっ飛んだ映画ですが、いずれも男や男社会の柵から離れて奔放に、そして「依存」しないで生きていこうとしている姿を描いているという点は一言で「おバカ」映画として括ってしまうのはいかがかと思いますが...
それにユアンマクレガーがアホ男の代表として主演の彼女たちのために救いようのない悪党を演じて一役買っているのが印象に残ります。彼の「ワル」って言うのは一度か二度見たことがありますが知的ワルであって今回のように救いようのない「ワル」っていうのはなかなかお目にかかれません。
この作品を支援しているようにも見えるのですが...
とにもかくにもこのコロナ騒動は早く収束してほしいものです。たしかに空間の広いほぼ貸切状態っていうのも最初は広々としていいと思ったけど慣れてくるとやっぱり寂しい!