先日、第84回アカデミー賞の授賞式がありました。
映画ファンの自分としては毎年楽しみにしています。
その中で本年度の主演女優賞にイギリスの発の女性首相
マーガレット・サッチャーを演じた「マーガレット・サッチャー
鉄の女の涙」のメリル・ストリープが輝きました。受賞した彼
女のスピーチがふるっています。
「いろんな所から声が聞こえてきそうだわ『また、あいつかよ』
って」
ノミネート17回を誇り、そのうち、主演女優賞1回、助演女優賞
1回、これで2回目の主演女優賞、本当にすごい人なんです。
でも、つい最近まで私、この人あまり好きになれんかったんですわ
...なんでって、「私うまいでしょっ!!」て体中からオーラが
でてますもん。なんか辟易するというか、なんというか...
あんまりうま過ぎるもん見せつけられてもねぇ。
ところが一転、やっぱり彼女は最高の女優と認識を新たにした、
作品がつい5~6年ほど前に公開された「プラダを着た悪魔」
監督デヴィット・フランケル 主演メリル・ストリープ、アン・
ハサウェイ、エミリー・ブラント、スタンリートゥッチ)
正直言って名前はトップに来ていますが、あくまでも主演はアン
・ハサウェイという若手女優。「頑張る女の子」の映画です。
物事には順位があるから仕方ないでしょう。でも主役に押し上げ
られるのはメリル・ストリープの本意でなかったと思います。
ところがこの作品でも主演女優賞にノミネートされてしまった。
主演だの助演だの、どういう基準で決めてるんでしょうねえ。
物語の舞台はニューヨーク、出版社志望の女の子がいます。これが
アン・ハサウェイ、いろんな所で落ちたらしく彼氏に励まされ、次
に面接に行ったところがファッション業界誌トップの「ランウェイ」。
本でもいろいろ...当然、文才よりも、ファッションセンスに重きが
置かれます。はっきり言ってこの子ダサいんですわ。でも怖いもの
知らずというのは武器になります。そこの女性スタッフに白い目で見
られながら平然と待っていると、出勤してきた「ランウェイ」の伝説
の女性編集長ミランダ、泣く子も黙るこの編集長が出勤すると社内の
雰囲気がピリリと言うもんじゃない、エレベーターは避けてはいるわ
、身だしなみで鏡の取り合い、コーヒーはひっくり返すでもう「奴が
来る!」って感じです。この女性編集長をやっているのがメリル・ス
トリープです。この編集長面接を受けに来た、この娘を見て目が点に
なります。「あなたファッションを見下しているわね?」
さすがの彼女も落ち込んでオフィスを出ようとするとさっきの冷たい
眼差しの秘書が嫌そうに呼び止めます。「ちょっとアンタ!採用よ!」
なにをどう気に入ったのか分かりませんが、採用となった彼女の超過激
な毎日が始まります。仕事と言っても雑用ばかり、雑誌を家に届けに行
ったり、コーヒー回に行ったり、ミランダの子供の世話から、果ては犬
の世話...夜中にたたき起こされて飛行機の予約を変更しろだの、ホ
テルを取れだの(このあたりは身にしみます)、はっきり言って「パシ
リ」です。ところがですねえ、見てくれている人は見てくれています。
仕事をこなすうちに、ミランダの見る目が違ってくる、おまけに合間を
縫ってミランダのお抱えデザイナー(だけどなんでどの映画もデザイナー
って「おねえ」なんでしょうねぇ、やっているのがスタンリー・トゥッチ
と言う人。この人、コミカルな役やってもうまいし、悪役やってもうまい、
私が大好きなバイブレイヤーです)に御教授を受けて、ダサイ女の子から、
見る見るうちにファッションセンス抜群の女の子に変身していきます。
人間認められれば上司ともうまくいく、いつしか彼女もミランダの内に秘
めた悲しみや苦悩も理解するようになり、お互いが認めあえるようになる。
すばらしい師弟関係が生まれるわけです。とこれでハッピーハッピーエン
ドかと言うと...あとはビデオなり「○○○○映画劇場」なり見て下さい。
特にこれから希望に燃える若い女の子には必見です。