「猿の惑星」、1960年代後半に生まれた、SF映画の不朽の名作です。
ラスト、主演のチャールトン・ヘス トンが浜辺に埋もれる自由の女神を
見て愕然とします。「おお、神よ...ここは地球だったんだ!!、人間
なんてくたばっちまえ!!」
違う星に迷いこんだと思っていたのが、実は何千年も経った核戦争後
の地球だったという、何とも言えない絶望的なラスト。この時点でチャー
ルトン・ヘストンってやっぱり戦争はダメ、核なんて持っちゃいかんと映
画で唱ってたと思ったのに、いつの間にか全米ライフル協会の会長な
んかになってハリウッドきってのタカ派になってしまい、ほなあのラスト
はなんやったん?と思ったものでした。そんなヘストンも2年ほど前に
亡くなりハリウッドも大スターらしき人がいなくなってしまいました。そん
なオマージュも含めて登場した、本作「猿の惑星/創世記ジェネシス」
なぜ、猿が地球を征服するに至ったかが描かれています。実はヘストン
が主演した作品から続編で4、5作目で作られているんですが1作目ほ
どの衝撃はなかったように思います。
今回のこの作品、発端はアルツハイマー病を直す新薬の開発です。
この新薬の実験台となった雌猿から生まれた一匹の雄猿、シーザー。
他の猿と違い、抜群の知能指数をもつ彼は、新薬を開発する青年科学者
に引き取られ、彼のアルツハイマー病を患う父と3人(?)で穏やかに暮ら
しますが些細な誤解から動物管理局に引き取られ、そこで虐待を受けま
す。棒で殴られ檻に閉じ込めようとする人間に初めて絞り出すような叫び
声をあげます、「NO!!」(私はこの時石原慎太郎の「Noと言える日本」
を思い出した。猿でも言えるのに日本人は猿より下か..)
ここから彼がまさに「猿の軍団」を率い見事な統率力を発揮します。舞台
となるサンフランシスコの名所ゴールデンゲートブリッジでの激闘はド迫
力!!後ろにゴリラやオランウータン等の猿を従え、先頭で胸を張る彼の
姿の勇ましいこと、猿がかっこええなんて思うたんは初めてです。どっか
の国の某首相とはえらい違いです。
本作は猿の反乱で物語が終わり、ミュアウッズ国立公園を自分たちの土地
にすることで、ジ・エンド。征服するまでまた物語が描かれるんやろね?
このシリーズアメリカの象徴とも言うべき名所がいつも登場する。記念すべ
き第一作は自由の女神、それから30年以上の時を経て登場した前作、
「猿の惑星/PLANETT of THE APES」ではホワイトハウス(けど、これ
はなんかマンガっぽくて笑ってしまった)、そして今回はゴールデンゲイトブリ
ッジ(金門橋)です。「アルツハイマー病の新薬」と言う現代のキーワードをテー
マにして「絶対に起こりえないことではない」と言う前提のもと大マジに作った
という点では、エステラ・ウォーレンのジャングルファッションだけしか見所の
なかった前作よりははるかにいい作品だと思いますよ。
けど、シスコが舞台の映画って「ブリット」、「ダーティー・ハリー」と刑事ものア
クションものが多いけどやっぱり「金門橋」って絵になるんやね