私には親知らずがない。 レントゲンととっても影も形もない。 進化が進んでいるんだと自慢しているが、厄介なことが一つ少なくてすむ。 ツレアイは27歳のころ、クマゴローは3年前、サイノスケは2年前に抜いた。 4本まとめて抜くのだが、 普通かかっている歯医者さんではなく、その専門のお医者さんの所へいく。  準備に20分、抜くのに20分、あと20分待って、1時間もあれば帰ってこれる。 これを日本でやると入院とかになるらしいが、ここでは保険会社がそんなことを許すはずがない。


個人の痛みに対する許容度と経済レベルによって麻酔の仕方を選ぶ。 一番我慢の人は歯茎への注射の麻酔で、次は飲み薬、笑気ガス、それにリラックスさせる薬を点滴で、何にも覚えておきたくない人には全身麻酔、寝ている間に終わる。 もちろんその順番で値段が上がっていく。


うちではツレアイとクマゴローは歯茎注射、 サイノスケは笑気ガスに点滴を選んだ。サイノスケは今まで虫歯になったことがなく、歯茎に注射って怖いようだというので、甘やかしてしまった。 リュウザエモンはどうなるのか、後数年でのお楽しみ。


帰ってきて、穴に詰めてあるガーゼを替えるのも、血が混じったよだれを車の中でたらしたのをきれいにするのも、私の仕事である。 母親はおのずとたくましくなります。

クマゴローが休みの間に歯医者へ行ってクリーニングと虫歯のチェックをした。 その請求書がきのう来た。 186ドルとある。 そうだあの子は23歳になったのでもう私の健康保険にははいれず、全額負担なのだ。 30分くらい歯石を取ってもらい、歯医者さんが見るのは5分とかからない。 それで2万円かあ。 早速クマゴローに電話してちゃんと歯を磨くのよと言いつける。 これで虫歯などになった日にはいったいどれだけかかるのか。 考えるのも恐ろしい。 


その人の歯を見れば、育ちがわかるのというのはアメリカでは常識。 カルシュームが足りないのか、牛乳を飲まなかったからなのか、私の歯は弱い。 おいしいものを食べるためにも歯は大事と気づいたのが40近くなってからである。今では歯磨き、フロスももちろん、日に2回。 クリーニングは年に2回。 でも保険があるからはらったことがなかった。  


歯医者の話続く。 

アメリカでツナを使った料理のなかで一番一般的なのがツナキャセロールである。 エッグヌードル(平べったい波打っているパスタ)をゆでて用意し缶のマッシュルームスープで味をつけ、グリーンピース、コーンなど入れる、ツナはもちろん缶である。 表面にパン粉とチーズをのせてオーブンで焼く。 


サイノスケが今晩の夕食にこれを作った。 チーズたっぷりでかなりしつこいがまあまあの出来である。 やたらとツナが多いのでいったいいくら入れたのと訊くと4缶使ったという。 げーっ買い置きが全部なくなっている。 6時に仕事から帰ってきてすぐにヨガのレッスンに行った私としては、文句が言えた義理ではない。 洗濯はしてあるし、家の中が片付いている。 私とツレアイ、リュウザエモンにその辺に服を脱ぎ散らかすなとうるさい。 


来週には大学に帰ってしまうのが残念。

新しい仕事場で今1週間め。 14人の弁護士と12人のスタッフ。 いろいろな人がいる。 目が合ってもそらせて見ないふり、まだ話をしたことがないという人もいる。こういう場合、当然仲良くしておきたいのは秘書。特にもう30年来勤めていますというような人を敵に回してはやっていけない。私はなぜか年寄りの女性には受けがいいので安心。 後コンピューター関係の人たちも仲良くしておかないと。

往々にしてボス付きの秘書の覚えが大事である。 こういうことは経験で覚えるもの。 ロースクールでは教えてくれない。



クマゴローはアパートに帰り、リュウザエモンの学校も私たちの仕事も始まり、家にいるのはサイノスケだけ。 ジムに行き、ヴィデオゲームもしているようだが、家の片付けと晩ごはんを作ってくれるという。 ただめし食ってんだからな。 というわけで今日はスパゲッティのミートソースとガーリックブレッド。 ソースにはひき肉とペパロニ、野菜がたっぷり、おいしいのだが、パスタがなんだかヘン。 硬いようなそれでいてのりみたいな。 ゆですぎというのとも違う。 ちゃんとお水はたっぷり入れたというが、どうやらまだゆだってない鍋にパスタを入れたらしい。 次からはちゃんとできるというがもう遅い。

すまぬがこれは勘弁してくれ、と新しくパスタを私の分だけゆでなおした。 スミがおこぼれにあずかって喜んでいる。 
新しい仕事に気をとられてろくにジムにも通わず、時間のあるときにあるものを口にするという悪循環で、なんと4ポンド(約2キロ弱)体重が増えてしまった。 なんということ、予想外である。 いくら一サイズ大きいスーツを買ったとはいえこれ以上膨れてはならないだろう。 来週はまじめにジムに通うぞ。 フィットネスボールも、ヨガにも、太極拳のクラスにも行かなくては、マシーンにも乗って30分汗を流すぞ。

といいながら、今日はバッファローチキン(チキンの手羽の辛い味がついたやつ)を1ダースをビール2杯で流し込んだ。 あーあ。  

クマゴローが帰っていった。 私の新しい仕事があわただしくて、ろくに車を見る余裕もなく結局中古車はまだ買えず、この2-3日は料理も作れなかった。 今朝買い物に行ってサーモンとチキンを味噌漬けにしたのをタッパーに入れて持たせた。 ツレアイが送っていった後、サイノスケとリュウザエモンを使って片づけと掃除。 クリスマスのプレゼントにリュウザエモンが買った室内用のスリッパをクマゴローが忘れていると騒ぐ。 何かの下になっていたんだろう。


一人少なくなるとずいぶん空間ができるようだ。 サイノスケは ipod nano を聴きながらもくもくと居間の片付け。 リュウザエモンは姿が見えないと思ったら、ゲストルームに避難してテレビなど見ている。 まったくもう。 アボカドのディップとコーンチップスで釣って電子レンジの掃除をさせる。


外はもう薄暗い。


リュウザエモンの友達の両親から家族みんなへの夕食のお誘い。 お母さんは宣教師の子供としてモロッコで過ごしたことのある人、というわけでツレアイとは経験談を比べあったりする。 お父さんは今は高校の英語の先生をしているが、去年は家でコンピューターの仕事をしていたし、男の子2人は学校へはやらずホームスクールで育てている。

クスクスとチキン、干しぶどうとたまねぎのいためたものをかけ、混ぜて食べる。 香辛料がもっと効いていてもいいのではないだろうか。 キムチが欲しいと思ってしまった。 デザートには薄切りのオレンジにシナモンシュガーを振りかけた物とミントティー。 チョコレートムースケーキをお土産に持っていったのでそれも。 食べた後はみんなで、Wiiをしたり、ピンポンをしたり。 10時過ぎまで遊んでいた。

以前からコチコチのキリスト教の人たちだとわかっていたので、政治と宗教の話は避けるようにと子供たちには言っておいた。 中絶は罪、ゲイの権利は認めない、公立学校でもキリスト教の教えをという人たちである。 もちろんワインなど出ない、レモネードにスプライト。 食事の前にはお祈り。 選挙の時に選ぶ人はうちとはぜんぜん違うだろうな。

ツレアイも私も帰ってきて早速ビールを一杯。 
新しい仕事場での第一日目。 疲れた。目がシバシバしている。 一日中会う人ごとと握手をし、名前を覚えようとするが、10人くらい目から、もうあきらめ気味。 お昼ごはんまで新しい職場の人たちに御よばれになったので、まるで休憩なしである。 朝地下の駐車場に車を停めたのはいいけど、 セキュリティーカードがないと、5時30分過ぎたらドアはあかないとあっては残業もできない。 あわてて5時過ぎにオフィスを出た。

明日の朝は早めに行って少しもらった書類を読まなくては。 あまりに多くの情報を吸収しようとして消火栓から出てくる水を一生懸命飲もうとしているような気分。 インフォメーションオーバーロード。 まだ私の仕事場でのコンピューターはつながってないので、そのぶん隔離感あり。 今日同じように新採用になった人が3人いる。 みんな20代後半の若い男の子たちである。 

今晩は白ワインを飲んで早く寝よう。
 
アメリカで過ごすお正月にももうなれた。 お雑煮もおせち料理もなく、しめ飾りをするわけでも、お年玉を上げるわけでもない。 実家にいたころは元旦の朝は、澄まし汁に丸いお餅のお雑煮、ほうれん草とニンジン、ブリなど。 あっさりしていて、物足りないようだけど、もう食べなくなって30年近い。 新しい箸袋にそれぞれの名前が父親の筆で書いてあったのを覚えている。 こういうのって昭和のお正月なんだろうか。

子供のころは百人一首をしたり、マージャンをしたりしていた。 コタツで食べたみかんの甘さ。 朝から飲んでいてお昼過ぎにはもう寝てしまっている父親、今なら私の方が絶対勝つ。 と自慢してもしょうがない。