シェーグレン症候群と便秘
「便秘の解消法: 女性の便秘解消対策、便秘・慢性便秘の予防と治し方」 膠原病類縁疾患で、全身の外分泌腺が障害されるシェーグレン症候群という難治性の病気があります。シェーグレン症候群は、自己免疫疾患の一種で、40代から60代の更年期の女性に多くみられる病気です。シェーグレン症候群の主な症状は、目の乾燥(ドライアイ)を伴う眼症状と口腔内が乾燥する口腔症状の2つですが、シェーグレン症候群では全身の外分泌腺が障害されるために、目や口以外にも、鼻腔、皮膚、膣、気管、気管支、肺や胃腸管などにも外分泌液の減少による乾燥症状や、関節痛、血管炎、腎臓障害などの他のさまざまな症状も現れます。このうち、胃腸障害の代表的な症状に便秘があります。シェーグレン症候群によって、唾液、胃液、腸液などの分泌量が減るために、シェーグレン症候群では、腸管内の水分量が減少した状態となり、その結果、便が硬くなって、便秘が生じます。ここでは、更年期の女性に多いシェーグレン症候群と便秘についてお話します。
1993年におけるシェーグレン症候群の人は17,000人で、2002年には78,000人となり、2008年には10万人を超え、現在では、潜在的罹患者を含めますと50万人の方がシェーグレン症候群であるといわれています。このように、シェーグレン症候群の人は、年々増加していますが、その原因に関しましては明らかにされていません。シェーグレン症候群が発症する原因についても不明ですが、シェーグレン症候群が年々増加する傾向にあるのは、食事の欧米化、ストレス、社会環境の変化、アレルギー性疾患の増加などが関連しているのかもしれません。シェーグレン症候群に特徴的なのは、女性に多く発症することで、その男女比は1対14となっていて、シェーグレン症候群の95%は女性となっています。特に、40代から60代の更年期の女性に多くみられ、発症年齢のピークは、50歳代となっています。このように、シェーグレン症候群は更年期の女性に多いのですが、誤って、更年期障害と思い込む女性も多い病気でもあります。
シェーグレン症候群は、原発性シェーグレン症候群と二次性シェーグレン症候群とに分類されます。関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎、混合性結合組織病などの膠原病と合併して生じるシェーグレン症候群を二次性シェーグレン症候群とよび、これらの膠原病と合併していない単独の病態であるシェーグレン症候群を原発性シェーグレン症候群といいます。原発性シェーグレン症候群は、シェーグレン症候群全体の70%を占め、残りの30%が二次性シェーグレン症候群となっています。
原発性シェーグレン症候群は、さらにその病態によって、3種類に分けることができます。1つは、目の乾燥(ドライアイ)と口腔乾燥の症状のみがあるシェーグレン症候群で、原発性シェーグレン症候群の約半数を占めています。2つ目は、目の乾燥と口腔乾燥に加えて、全身性の臓器障害を伴うシェーグレン症候群で、臓器への白血球浸潤による炎症反応、自己抗体価の上昇、高γグロブリン血症などが伴ったシェーグレン症候群です。原発性シェーグレン症候群の約半数を占めます。このステージで、胃腸障害も起こり、便秘が生じやすくなります。3つ目は、原発性シェーグレン症候群の数%と少ないのですが、悪性リンパ腫やマクログロブリン血症がみられ、重症化したシェーグレン症候群です。シェーグレン症候群の経過におきましては、発症後10年くらいは病状の進展はみられませんが、その後、徐々に多くの症状が現れるようになります。
シェーグレン症候群は、外分泌腺が障害されることによって生じる病気です。分泌とは、細胞が水分を含む代謝物を細胞外に排出させることをいい、その細胞が集まって腺組織を形成し、分泌物を排出させます。体外または体腔に分泌物を排出することを外分泌といい、血液中や体液中に排出されることを内分泌といいます。外分泌には、涙液(なみだ)、唾液、汗、皮脂、乳汁、胃液、腸液、胆汁や、気管、気管支、肺、膣などの粘膜上にある粘液なども含まれます。シェーグレン症候群では、これらの外分泌液を排出させる分泌腺組織が障害されるために、外分泌液が減り、そのため、乾燥した病状(乾燥症状)を呈することになります。
シェーグレン症候群の代表的な症状は、眼症状と口腔症状です。眼症状は、涙の分泌量が減少し、目が乾燥することによって起こります。目が疲れる、ゴロゴロする、痛む、粘っこい目ヤニが多く出る、目に膜が張った感じで視界がかすむ、光がまぶしく感じられる、目が開けられない、などの眼症状が現れます。「目が乾燥する」という表現を用いる人はほとんどいなく、「目が疲れる」という症状を表現する人がほとんどです。涙の分泌には2種類あります。1つは、日常の普通の状態で、目にうっすらと湿り気がある基礎分泌とよばれる涙です。2つ目は、玉ねぎを切ったときや、目にゴミなどが入ったとき、あるいは映画を観て感動して出てくる涙の分泌で、これを反射性分泌といいます。一般のドライアイでは、このうち基礎分泌に何らかの障害が起こることによって生じますが、シェーグレン症候群では、基礎分泌に加えて反射性分泌も抑制された状態となります。
シェーグレン症候群の症状において、眼症状に次いで多いのが口腔症状で、口の中が渇く口内乾燥(ドライマウス)です。これは、唾液の分泌腺である唾液腺が、自己免疫によって破壊され、唾液の分泌量が減少することによって引き起こされる症状です。口内乾燥によって、味覚がなくなる、口唇や口角がひび割れる、口内炎ができやすい、クラッカーやおせんべいなどの乾燥した食べ物が嫌いになる、といった症状が現れます。また、唾液の分泌量が減少するために、口に含んだ食べ物が喉を通らなかったり、声がかすんだりもします。口腔症状で重大なのは、食べ物を飲み下す障害(嚥下障害)が深刻になりますと、食べた物が食道を経由して胃の中に入らず、気管、気管支あるいは肺に入り、それによって、呼吸器系の感染症が起こることです。嚥下性肺炎といわれるもので、死亡に至ることもあります。
シェーグレン症候群のその他の症状としては、関節炎や関節痛、血管炎、腎障害、膣乾燥症や胃腸障害などがあります。この中で、シェーグレン症候群の人でよくみられる症状に、膣乾燥症と胃腸障害があります。膣乾燥症は、医師にも相談しにくい症状ですので、意外に放置している人もたくさんおられるのではないでしょうか。膣には、バルトリン腺という外分泌腺があり、特に性交時においては、膣を滑らかにする分泌液を排出させる働きがあります。シェーグレン症候群では、このバルトリン腺が破壊されることもあり、それによって、膣が乾く膣乾燥症が生じます。膣乾燥症は、性交時の痛みの原因になります。また、膣には、外敵の細菌から身を守るために、ビフィズス菌などの善玉菌が常在していますが、膣乾燥症では、これらの善玉菌が破壊されるために、膣炎が生じることがあります。
シェーグレン症候群の胃腸障害に便秘があります。これは、シェーグレン症候群によって、腸管内の外分泌腺が障害されるために、腸管内の水分量が減少してしまい、それによって、便が硬くなって便秘が引き起こされます。通常、私達は、食べ物や飲水によって、1日あたり2リットルの水分を摂取しています。しかし、腸管内の水分は、摂取した水分だけではなく、さまざまな外分泌腺から分泌された水分で維持されています。1日あたり唾液1リットル、胃液2リットル、膵液2リットル、胆汁1リットル、腸液(小腸液)2~3リットルが、体の中から腸管内に分泌されています。すなわち、腸管内の水分のうち、80%以上が体の中から分泌された水分で、食べ物や飲水で摂取した水分は、20%以下となります。このように、腸管内の水分のほとんどは、外分泌液に由来しているのですが、シェーグレン症候群では、外分泌腺が障害されるために、分泌液が減少し、その結果、腸管内の水分も減少していることになります。これが、シェーグレン症候群の便秘の原因となります。ちなみに、便秘のとき、水分摂取を心掛けるようにと、よくいわれるのですが、水分摂取量を多くしても便秘の解消には至らなかった経験を持つ人も多いと思います。これは、腸管内の水分の多くは、体の中から分泌される外分泌液によって、支配されているためなのです。
シェーグレン症候群の診断基準は、以下の4項目のうち、2項目以上が陽性であれば、シェーグレン症候群と診断されます。①口唇小唾液腺の組織検査でリンパ球の浸潤がある、②ガムテストなどで、唾液分泌量の低下がみられる、③シャーマーテストなどで、涙の分泌量低下がみられる、④血液検査で、抗SS-A抗体か抗SS-B抗体が陽性である。このうち、唾液分泌量測定試験と涙液分泌量測定試験は、簡便で痛みを伴わないので、シェーグレン症候群の診断によく用いられます。
シェーグレン症候群の根本的治療法は、現在までのところ確立されていません。治療では、主に、乾燥に対する対症療法が行われます。目の乾燥(ドライアイ)には、人工涙液の点眼が用いられます。口腔乾燥(ドライマウス)では、人工唾液の噴霧が行われます。また、唾液の分泌を増やす作用のあるセビメリン(サリグレン、エボザック)やピロカルビン(サラジェン)などの薬物治療が対症療法として行われることがあります。何れの薬剤も、コリン作動薬に分類され、副交感神経を刺激することによって、唾液の分泌量を増やしますが、副交感神経を刺激するために激しい下痢を伴うことがあり、下痢に引き続いて頑固な便秘が引き起こされることもあります。
シェーグレン症候群では、腸管内へ流れ込む体内水分量が減少するために、便が硬くなり、便秘が引き起こされます。ですので、便を軟らかくする対策が、シェーグレン症候群の便秘解消に有効となります。便を軟らかくして、便秘を解消するには、天然成分であるイヌリン食物繊維などの水溶性食物繊維が効果的です。イヌリン食物繊維は、大腸に生息するビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌の栄養源となって、それらの善玉菌を増やし、これによって、硬くなった便が軟らかくなり、便秘が解消されます。今では、スティムフローラのように、不純物を含まない極めて高純度のイヌリン食物繊維が、健康補助食品として市販されています。シェ―グレン症候群に伴う便秘の予防と改善に、このような健康補助食品を活用することも有用です。
女性の膣にはビフィズス菌などの善玉菌が生息し、外敵の細菌による感染を防御していますが、膣内の善玉菌は、便から由来したものと考えられています。女性では、肛門部と外陰・膣性器とが接近しているために、便内の腸内細菌が容易に外陰・膣性器に移動することができると考えられています。シェーグレン症候群の症状に、膣乾燥症がありますが、腸内の善玉菌が増えれば、膣乾燥症への対策にもつながります。このような観点からも、イヌリン食物繊維などのプレバイオティク効果が高い水溶性食物繊維は、便秘の解消のみならず、膣乾燥症に対しても、有用であると考えられます。
シェーグレン症候群では、過敏性腸症候群(IBS)と同様に、便秘と下痢を繰り返すこともあります。このような場合、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えることが、とても大切となります。
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