乳がんと便秘:乳がん治療・治療後の便秘の予防と治し方
「便秘の解消法: 女性の便秘解消対策 、便秘・慢性便秘の予防と治し方」 ここでは、女性にとって極めて深刻な病気である乳がんを取り上げたいと思います。先日、中学校時代からのお友達が、乳がんと診断され、病院で抗がん剤治療を受けていましたので、お見舞いに行ってきたところです。彼女といろいろとお話しをすることができたのですが、抗がん剤による乳がん治療で何が一番辛いかといえば、吐き気よりも便秘ですと言われていました。消化器系に及ぼす抗がん剤の副作用はよく知られていますが、そこまで便秘がひどくなるとは思いませんでした。また、乳がんと便秘との関係について調べてみますと、便秘は乳がんの発症リスクを高めることも分かりました。では、乳がんと便秘について、詳しくお話します。便秘は非常に怖いです。
現在、日本人女性の25人から30人に1人の割合で、乳がんにかかるとされています。アメリカにおける乳がんの罹患率が8人に1人の割合ですので、日本人女性の乳がん罹患率は欧米に比べると低いといえます。しかし、欧米における乳がんの死亡率は、1990年以降から減少しているのに対して、日本人女性の乳がん罹患者はいまだに増え続けており、また乳がんによる死亡者数も増加している状況となっています。現在、毎年4万人の人が、新たに乳がんと診断され、また毎年約1万人の人が乳がんで死亡しています。乳がん検診のキャンペーンにもかかわらず、今や乳がんは、日本人女性が最もかかりやすいがんであり、30代に入ると、子宮がんよりも乳がんの方が何倍も罹患する確立が高くなっています。
日本人女性の乳がんは、30代後半から急激に増え始め、40代後半から50代の半ばでピークに達して、それ以降は、加齢とともに徐々に減少していきます。欧米では、70~80歳代の高齢者女性にも乳がんが多い特徴がありますが、最近の日本人女性においても高齢者の乳がんが増える傾向がみられていて、日本人女性の乳がんも欧米と同じ状況に向かっています。この原因としては、ライフスタイルの変化、特に動物性タンパク質や脂肪の摂りすぎという食習慣の欧米化が指摘されています。
乳がんの症状で最も多いのが乳房のしこりです。乳がんで病院に行く人の約90%が、自分でしこりに気付いて行かれるとのことです。しかも、しこりに気付いたきっかけは、何気なく触れて知ったということのようです。これは、ちょっと驚きです。意外に乳がんに対して無関心な人も多いということになります。しこりに気付いて病院に行っても、その時点では既に手遅れになっているケースも多々みられるためです。まずは、月に1回は、定期的に自分で乳房を注意深く触って自己検診をすることがすすめられます。また、年に1回は、マンモグラフィーなどによる画像検診もすすんで受けるようにしましょう。
乳房は乳腺組織と脂肪から構成されています。乳がんとは、乳腺組織に発生したがんのことです。乳腺組織の一部の細胞の遺伝子が、さまざまな要因で変異し、がん細胞となって増殖したものが乳がんとされています。乳腺組織に発生するがんは、その組織の種類によって2つに大別されています。乳がんの約90%は乳管がんとよばれるがんで、残りの10%は小葉がんとよばれるがんです。また、乳がんは再発したり、あるいは他の組織へ移転し、体全体にがんが広がることもあります。
乳がんは、紫外線、放射線、薬物、環境ホルモン(化学物質)などのさまざまな環境因子によって遺伝子が傷ついて起こる場合もありますが、乳がんが発症する最も大きな原因は、卵巣から分泌されるエストロゲンとよばれる女性ホルモンの影響によるものです。エストロゲンの過剰分泌や血中のエストロゲン濃度が高いときに乳がんが発症します。
乳がんを引き起こすエストロゲンの本体は、エストロゲン自身ではなく、16α-水酸化エストロンとよばれるエストロゲンの代謝産物であることが明らかとなっています。血中のエストロゲンは肝臓に運ばれて、そこで乳がんを引き起こす発がん性物質である16α-水酸化エストロンに変化します。これをエストロゲンの生体内変換といいます。つまり、血中のエストロゲン濃度が高い人は、16α-水酸化エストロンという発がん性物質も多く作り出されることになり、乳がん発症リスクが高まるということになります。
肝臓で生成した16α-水酸化エストロンは、肝臓内でさらに代謝され、グルクロン酸と結合した状態で胆汁中に分泌、排泄されます。この16α-水酸化エストロンとグルクロン酸の結合物質をグルクロン酸抱合体といいます。この抱合体には、乳がんを発症させる作用はございません。胆汁中に排泄された16α-水酸化エストロンのグルクロン酸抱合体は、十二指腸へ移動し、さらに食べ物などの腸内容物と混じり合って大腸へ移動し、最終的には、便として体外に排泄されます。
ところが、便秘になりますと、この16α-水酸化エストロンの解毒メカニズムが大きく変化します。便秘では、大腸菌などの悪玉菌が増えた状態となっています。悪玉菌、特に大腸菌は、16α-水酸化エストロンのグルクロン酸抱合体を分解するβ-グルクロニダーゼとよばれる分解酵素を作り、菌体外に分泌させています。この分解酵素は、16α-水酸化エストロンのグルクロン酸抱合体を分解させるために、乳がんを発症させる16α-水酸化エストロンが、再び大腸内で生成することになります。生成した16α-水酸化エストロンは、大腸粘膜から吸収され、血液中に入ります。つまり、便秘になりますと、発がん性物質である16α-水酸化エストロンの血中濃度が高まり、乳がんを発症させるリスクが、より一層、高まることになるのです。
乳がんと便秘との関係については、アメリカのカリフォルニア大学の研究チームが行った大規模な疫学調査があります。約1,500人の女性を対象に、乳がんを発症しやすい前がん状態の異常細胞(前がん細胞、がん化する直前の細胞)を検査したところ、排便回数が1日1回の女性では20人に1人の割合(5%)で異常細胞が検出されたのに対して、排便回数が週2回以下の便秘の女性では、4人に1人の割合(25%)で異常細胞が検出されたとのことです。つまり、便通回数の少ない便秘の女性ほど、乳がんになる確立が5倍も高まるということになります。5倍という数値は、乳がんになる驚くべき極めて高い数値で、便秘は乳がん発症の危険度の高い要因となります。
日本人女性における乳がんの増加は、肉類、卵、乳製品、油を使った食べ物、過剰な糖分の摂取、食物繊維摂取量の低下、といった食習慣の欧米化が原因であるといわれています。このような食習慣ですと、大腸菌などの悪玉菌が繁殖しやすい腸内環境となってしまい、乳がんを引き起こす原因となります。乳がんの原因のほとんどが、コレステロール代謝物である女性ホルモンによるものですが、その原因物質は、通常、胆汁中を介して、糞便中に排泄されます。しかし、便秘になりますと、その原因物質は大腸から再吸収されてしまい、乳がんの発症リスクが高まります。日頃から便秘対策を行う事が、乳がんのリスク回避につながります。そのためには、イヌリン食物繊維などの水溶性食物繊維を摂取して、大腸内の善玉菌を増やし、その一方で悪玉菌を減らす、いわゆる腸内環境を整えることが乳がんの予防や対策にとても重要となります。イヌリン食物繊維などの水溶性食物繊維は、便秘の解消や予防に優れた機能を有しています。最近では、スティムフローラのように不純物を全く含まない、極めて高純度(>99%)なイヌリン食物繊維がサプリメントとして市販されていますので、このようなサプリメントを活用することも乳がんや乳がん治療に伴う便秘にも有用です。日常的な便秘対策にも適しています。
乳がんの予防や対策にとって重要なことは、毎月定期的に乳房の自己点検を行うこと、年に1回はマンモグラフィーなどの画像検診を受けること、そして、イヌリン食物繊維などの水溶性食物繊維を日常的、積極的に摂取することです。乳がんは、再発しやすい病気ですので、大事に至る前に、絶えず予防を心掛けることがとても大切なこととなります。
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