ちょうど今、TVerにて10.9が配信されているのだが、なんと当時の放送そのままだ。まあ、TVerという媒体を考えたら当たり前なのであるが、それでも単なる試合より、当時の放送そのものフォーマットで観る方が何十倍も臨場感があるというものだ。そして、放送そのものと言う事はテーマ曲もそのままなのである。
これは本当に大きい事であり、確かに10.9はワールドでも配信はされている。しかし、基本的に新日本自身が楽曲の権利を管理する以前のものは、全てカットである。なので、当然武藤がギブアップを奪った直後の、トライアンフも聴く事が出来ない。という訳で、この配信というのは本当に意義の大きいものなのだ。
なので、この曲を聴くためだけに、わざわざ燃えろ新日本プロレスのUインター対抗戦のDVDを、わざわざプレミア価格で買ったほどである。当時、もちろんこのシリーズは知ってはいたものの、若干プロレスから離れていた事もあり、最初のホーガン戦と、増刊号のアリ戦以外のものは発売当時にはほとんど買わなかった。
欲しければいつでも買えるだろう、とタカをくくっていたこともあるのだけれども、それでもこの10.9に関しては速攻で完売、以降も再販される事はなかったので、この号だけ異様なプレミアがついていたのだ。という経緯もあり、ワールドがある今となってもまだ買う価値は十分にあったのだ。
さて、前述のように、この10.9時点での武藤敬司の入場曲は前奏なしのトライアンフだった。実際には9.23横浜アリーナから使用されていたのであるが、武藤敬司と言えば鈴木修氏作曲の超名曲、HOLD OUTが否応なしにハマっていたので、トライアンフに変わった時は本当に失望したものだった。確か、この横アリでもその様子は流れたはずなのであるが、本当にお通夜のように会場がシーンとしていたものである。
そして、この10.9になってもその変更を知らない、もちろん浸透もしていないので、この東京ドームにおいても同じく会場が冷え切っていたようなのである。テレビでは割と歓声があるように聞こえるのだが、実際はそうではなかったらしい。
対照的に髙田延彦の入場に関しては、Training Montageの前奏が終わり、メロディが流れはじめた時におおーという歓声が聞こえている。Uインター以降は完全に定着しており、特にTBSで放送があった際も流れていたものだから、前田のキャプチュードと並びU系では最も知名度の高い曲だったかと思う。
しかし、理由は不明だが、イングヴェイ・マルムスティーンのオリジナル曲が94年の8月頃から使用され、さらには髙田延彦の入場曲としてシングルCD化もされた。当然、私も買ったのであるが、どう考えてもトレモンの方が格好良く、こちらに変わった時には心底がっかりしたものだ。
その後、1億円トーナメント以降はUインターの放送も減り、いつまでこの曲を使用していたのかは定かではない。しかし、私もわざわざロッキーIVのサントラを買うぐらいにこの曲が好きだった事もあって、テレビでこの曲に戻ったのを知った際はやはり嬉しかったものである。
そのように、入場曲に関しては完全に対照的だった2人であったが、決着直後から一気にトライアンフは武藤の代名詞へと定着する事になる。ギブアップが決まった瞬間の歓声、武藤敬司のアップ、そして田中リングアナのコールに、あまりにもこの荘厳なイントロがマッチしていたのだ。たった一夜で評価がここまで逆転した曲もないのではないだろうか。なので、やはりこの試合はトライアンフ抜きのワールドでは完全には堪能は出来ないのである。
本当、トライアンフと蝶野のファンタスティックシティに関しては、聴いた瞬間にこのシーンと、そしてG1優勝シーンが頭に浮かんでくるものである。燃えろ新日本プロレスでは、全てとは行かないまでも、入場曲がそのままの試合も多かったので、そういう意味では実に価値のあるものだった。