武藤敬司について語る・その13 | ONCE IN A LIFETIME

ONCE IN A LIFETIME

フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

話は多少前後するのだが、ムタがIWGP王者になるまではムタの試合はかなり希少であったので、私も含めて割とそれなりに多くのファンがムタの試合に飢えていたものである。その当時、日本語実況版のWWEとWCWのPPVのビデオが定期的に発売されていたのであるが、プロレスショップの通販において後者の一部が「グレート・ムタセット」として販売されていた事があった。

 

ムタの試合のみを切り抜きしたものではなく、順に1989年の「ザ・グレート・アメリカンバッシュ」、「ハロウィン・ヘイボック」、そして年末の「スターケード」がセットになっているだけであったのだが、アメリカでのリアルムタが見れる貴重なビデオだけあって私はこれが欲しくてたまらなかったのである。

 

しかし、当時のセルビデオは非常に高く、こちらも例に漏れずに1本9800円もしたので、買える代物ではなかった。しかし、1992年の年末頃、突如として1本3800円の廉価版として再発売されたのである。しかも、当時はまだプロレス人気も高かったせいか、月刊ゲーメストのバックナンバーも売っていた今はなき町田の福屋書店において、3本とも売っていたのだ。当然、私は全て買ったのは言うまでもない。

 

その中でも特に良かったのが、ワンナイトのリーグ戦が行われたスターケードだ。1本でフレアー、スティング、ルーガーとの試合も見れたし、しかもいずれのビデオも中盤からは武藤敬司自身の解説付きだった。それを聞くだけでも楽しめたものである。

 

そして、テレビ収録されたムタの試合も、ビデオパックニッポンから発売された。当然これも欲しくてたまらなかったのであるが、さすがにこちらは1本1万円と言う事でその時は買う事は出来なかった。しかし、数年後に運よく中古で買う事が出来たので、初期のものは見る事が出来た。

 

ドームでのスティング戦以降であればほとんど見てはいたのだが、運悪く見逃してしまったTNTと組んでのタッグマッチがようやく見れたのはその時である。週プロを見る限りではもっと陰惨な試合かと思ったが、意外とそうでもなく武藤が初めて生き生きとしてムタを演じた初めてと言っても良い試合であり、10分ちょいの試合ながら非常に上手くまとまった内容であったかと思う。

 

そして、個人の特集だけあって、当然ムタの入場曲も収録されており、ほぼノーカットで見る事が出来る。この時、1990年の上から降りてきたと伝説のリッキー・スティムボート戦の入場もようやく見る事が出来たのであるが、あいにくテレ朝のカメラアングルが最悪であり、ほとんどリングに降りる直前ぐらいのカットしか映っていなかった。なので、映像からはその凄みが全く伝わってこないのであるが、実際に行った人の話からすると本当に沸き返ったと言う。