そして1992年の初の1月4日開催となった「超戦士in闘強導夢」である。旗揚げ20周年記念と言う事で、午後6時から1時間半枠の生中継であり、かの猪木VS馳戦の直後に「ムタ・スティング組VSスタイナーブラザーズ」との試合が組まれた。
試合後のインタビューでも語っていたよう、猪木VS馳戦があまりにも凄かったおかげで、武藤はかなりプレッシャーを感じていたという。さて、この大会はSHOW-YAと言う女性バンドがゲストで来ていたのであるが、ターザン山本曰く、大会途中でのパフォーマンスにプロレスファンは全く無反応、無関心だったそうで、ターザンすら気の毒と思ってしまったほどだったという。
プロレス会場にミュージシャンなど呼んだ所でそんなオチはすぐに読めるというのに、何故読んだのか不可解極まりないのであるが、そんな彼女らに唯一スポットライトが当たったのがこの試合である。つまりは彼女らの生演奏で選手が入場してきたという事だ。当然、ムタもそうなのであるが、最初のスタントマン忍者らによるパフォーマンス中のみオリジナル音源がかかり、その後の生演奏自体はさすがに武藤敬司のHOLD OUTであった。
しかし、それでもその入場は非常に絵になり、さらに日本では初登場となる青のコスチュームだった。この試合ではヒールのムタは影を潜め、と言うか周りがWCWのメンツなのでアメリカでやっていたように自由にプロレスを楽しんでいたように見えた。しかし、この試合ではムタは完全にやられ役であり、スタイナー兄弟の投げっぱなし系の技を受けまくって非常に辛そうだったものである。
メンツ的に誰が負けるのか難しい組み合わせだったと思うのだが、最終的にはスティングが技を切り替えしてクイックでギリギリスコットからカウント3を奪うという展開に終始した。当時日本で無敵を誇っていたスタイナー兄弟が、初めて日本で敗北したのがこの試合である。しかし、奪われたのはあくまでWCWのスティングなので、その後も新日本レスラーからはしばらく負けなかったはずである。