1991年は割とムタとしての出番も多く、G1クライマックスの後に何故かよみうりランドで行われた大会のメインでもムタとマシーンのカードが組まれた。これもテレビで見ていたのだが、覚えている事と言えば2人とも緑色をベースとしたペイントとコスチューム、そして当時としては珍しい覆面はぎによる反則決着だったという事だけである。
その翌月に行われた横アリ大会のメインでは藤波戦が組まれ、引田天功によるマジックの入場だけは盛り上がったものの、試合自体はレフェリーうずまくり状態での急所打ちからビール瓶殴打と言う古典的な展開から、ムーンサルトで終わるというなんともフラストレーションの溜まる展開となり、会場は暴動寸前の不穏な雰囲気となってしまった。
そこで何故か猪木と長州力がリングに上がり、そんな雰囲気を払拭させたのであるが、この頃のムタはまだ入場は盛り上がるけど試合はダメ、と言う評判のテンプレ通りの展開となってしまった。その年の秋と言うのはG1のタッグリーグ的なスーパーグレードタッグリーグ戦、通称SGタッグが開催されたのだが、この当時、毎年10月頃と言うのはゴルフシーズンであり、1ヵ月放送がないとかザラだったのだ。
なので、ほぼテレビのみを頼りにしていた私はそのリーグ戦の存在すら知らず、その後1.4まで記憶に残った試合は皆無だった。閉じはそれに限らず、大阪や名古屋のビッグマッチですらノーテレビは多かったので、それを補うべく発売されたのが「闘魂Vスペシャル」と言う60分のビデオシリーズである。こちらはテレ朝収録とは異なり、ヴァリス社が独自で収めている映像のため、完全に闘魂Vオリジナルの映像のみである。
セルビデオは9800円とかが当たり前だった時代、当初レンタルは原則禁止でセル専用として発売されたこのシリーズは、基本3800円と言う低価格で発売された。ビデオはのちのDVDよりも遥かにコストがかかるので、安くする代わりにそれだけ売らなければ儲けにならない。と言う訳で、この1作目の目玉がムタがAKIRAに扮した野上と組んで、栗栖とキムドクと対戦したタッグマッチであった。
その後、数年に渡ってこのシリーズは発売されたので、それだけの成功を収めたのであろう。ただ、やはり売れ行きが良かったのはムタ絡みのカードだったらしい。