1993年の夏に放映されたアニメ「餓狼伝説2」は、番組が開始してからその事を知ったので、急いで録画したため前半の数分は見る事が出来なかった。クラウザーがやたらと若かったり、一部設定に変更はあったものの、クオリティはかなり高く普通に楽しめたものである。しかし、本編よりも印象的と言えたのが、ネオジオ提供のCMであり、なんと新作である「餓狼伝説SPECIAL」のCMが放映されたのだ。
ゲーメストでの発表とどちらが早かったのかは覚えてはいないが、まさかのアーケードゲームのCMに普通に驚き、そして興奮したものである。当時、風営法の範囲内に引っかかるものはCMはNGだと聞いた事があるため、アーケードゲームのCMはご法度であったはずなのであるが、ネオジオは一応家庭用枠という事で許されたのかも知れない。
ただ、実際の発売までにはラグがあったため、実際に当時新作として発売されたのは「サムライスピリッツ」である。結果的に1993年度のゲーメスト大賞を受賞したほどの大ヒット作品であるが、当時は完全な伏兵、悪く言えば「ガロスペ」までの繋ぎであり、ここまでのヒット作に至ると予想した人は多くはなかったのかも知れない。
ただ、私はこの頃、夏休みであったにも関わらず、諸事情によって一時的にゲーセンに行かなくなってしまったのだ。という訳で、この辺りのアーケードの様子は正確には分からないのであるが、ゲーメスト自体はまだ買っていたので、そんな8月下旬に発表されたのがかの「スーパーストリートファイターII」である。
今回は同じ基板の焼き直しではなく、新基板であるCPS2を使用した完全新作であった。しかし、それでも「ストII」の名前を冠していた事に違いはなかったので、「また出すのか」という感想は拭えなかったものである。一応、新キャラ4人というのが売りであったが、それまでの12人と比べると当初はキャラの魅力がかなり今ひとつであり、違和感も拭えなかったものだ。
この「スーパー」と、「ガロスペ」はほぼ同時期の発売であり、そしていずれもゲーメスト大賞の1993年度対象作品でもあった。つまり、時期がモロ被り、そして当然大賞でもお互いが食い合ってしまうために、そういう意味では非常に勿体無いという感じだった。注目度自体はやはりプレイヤー人口の多さから、スーパーの方が圧倒的に高かったのであるが、ゲーム性は大きく変わっていない、かつターボのスピードに慣れきったプレイヤーからは「遅い!」という不満が噴出、そして前述のように新キャラの魅力が乏しかった事もあって、初動先行で終わってしまった感があった。
この「スーパー」のみの売りとして、筐体を2台以上使用したトーナメントモードというものがあったのだが、最大でも4試合ほどしか出来なかったため、明らかな失敗に終わった。私が実際に見たのは、町田に存在した「いこい」というゲーセンのみであったのだが、当然誰もプレイしていなかった。のち、家庭用に移植された際復活するが、まあワンコインで1秒でもプレイしたいアーケードには向いていなかった。