アーケードゲームを愛す・その22 | ONCE IN A LIFETIME

ONCE IN A LIFETIME

フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

その頃のゲーメストの中心は、当然ストIIダッシュである。そして、当然ストIIダッシュは初代のアッパーバージョンな訳であるが、見た目的には四天王が使える事と、同キャラ対戦が出来る、そして初代との差別化のために背景のカラーが異なる、程度のものであり、細かい技の判定などは多少やりこんだだけでは分からないものがあったはずである。

 

当然、その辺りはゲーメストが徹底的に解説してくれていったのであるが、そうなると当然読者とそうでない間では大きな情報格差が生まれて行った訳である。つまり、対戦でもゲーメスト読者の方が圧倒的に有利となった訳であり、そんな事もあってこの辺りのゲーメストの売れ行きはかなり良かったはずであり、その証拠としてバックナンバーがすぐに完売して行った記憶がある。

 

そんな対戦初期の風景としては、やはりリュウ・ケンが圧倒的なパワーアップ、特に連続技が爽快なものばかりという事もあって、対戦人口が一気に増えて行った感があった。実際はリュウの方が有利なのであるが、ケンだと全キャラに対して正面からジャンプ大パンチアッパー昇龍拳が決まったので、初代の頃からアッパー昇龍拳が使えた私は、初期の頃は若干他のプレイヤーよりも優位性があったものである。

 

そして、ケンのジャンプ大パンチは当たり判定が異様に強く、他キャラの対空をほとんど潰せてしまうため、初代での憂さをここぞとばかりに晴らして行ったものである。逆に、もうひとつの持ちキャラであったザンギエフに関しては、ダブルラリアットの出だしや、そして頭突きで即気絶させられるなどの面が強化点となってはいたのであるが、なんといってもスクリューで離れてしまうのが痛かった。初代では対ダルシムが終わっていたが、ダッシュではサガットに対して絶望的に弱く、極められるとほぼ勝てない。

 

そして、対戦がある程度熟成していくと、やはりというか四天王の強さが目立ってきた。サガットなどは最初から強いだろう、という印象はあったものの、それをさらに上回ったのがベガであった。とにかくダブルニープレスとサイコクラッシャーが強すぎ、さらにどちらもハメ技に移行出来てしまうという凶悪なものであり、特に前者は無敵技を持たないキャラはほぼ脱出不可能というものであった。

 

当然、このはめ技に関しては大きな議論を呼び、さらに当時の対戦と言えば、当然の事ながら人が直接ゲーセンに赴いていくしかなかった時代だっただけに、当然本当のトラブルも絶えなかった。私はそんな現場を目の当たりにした事はないものの、ウメハラ氏も配信で語っていたように、いつ「リアル瞬獄殺」が飛び出してもおかしくない一触即発な雰囲気であった事は確かな事実である。そこから、MLBのUnwritten Ruleよろしく、「暗黙の了解」で禁じ手が生まれるようになっていったのである。

 

私のメインキャラはリュウ・ケンだった事もあり、おおよそそのようなはめとは無縁だったので、特に被害を被る事もなければ、及ぼす事もなかった。一度、ベガにサイコ投げを喰らいそうになった事もあったのだが、その時は目押しで投げ返す事が出来たものである。しかし、なんとなくであるがそんな縛りの中でゲームをやるのも馬鹿馬鹿しくなってきたし、それによって対戦自体にも嫌気が差して行ったものである。という訳で、1年も続いていたストII一辺倒にようやく終止符がつき始めた頃であった。