私は一時期ゲームを離れており、グラディウスをきっかけとして初代PSを買った時から再びゲームに戻ってきたのであるが、ちょうどその頃SSにおいてKOF95が発売されているのを知った。つまり、まずこの時点で「他ハードには移植しない」というのがあっさりと覆されたという事も知った訳である。さらに、PS・SSいずれも性能面ではネオジオを遥かに上回っている訳であり、RAMの容量さえクリア出来れば完全移植は余裕である。
KOF95の時点では、まだ2人分のキャラクターパターンを再現するのは容易ではあったものの、言わずもがなKOFはチーム戦であり、イコールラウンド毎の読み込みは絶対に避けられない事となる。いくらSSが倍速ドライブを積んでいようと、その辺りのストレスは避けられない。しかし、いきなりSNKとセガはそれに対しての答えを示してみせた。言うまでもなく、「ツイン・アドバンスド・ロムシステム」と呼称された、CDと専用の拡張ROMを同時に使用すると言う荒技であった。
これにより、ゲーム間の読み込みが激減し、当時の感覚で言えば本当に一瞬でしかない読み込み時間を実現させたのである。当然、その弊害としてBGMが途切れてしまうものの、それはネオジオCDでも同じだし、それでいてほぼ完全移植に近いともなればもはやネオジオCDによるアドバンテージは皆無となってしまったのだ。
この拡張ROMシステムは、KOF95以外では「ウルトラマン 光の巨人伝説」というゲームに使用されたのみで、後は汎用性を考慮し「拡張RAMカートリッジ」にとって変わられたため、KOFに関してはこれっきりで終わってしまった。以降もKOF95に関しては、拡張RAMバージョンなどは発売されなかったので、つまりはKOF95をプレイする度にROMを差し替えなければならず、それでプレイが億劫になっていった人も多かった事だろう。
なので、そういう部分はSS版の欠点と言えばそうだったのであるが、少なくともゲーム部分に関しては完全移植に等しかったものである。それから3ヶ月後、PS版でも発売されたが、さすがにRAMの拡張が不可能なPSに関してはロード時間が懸念されたので、私は手を出す事はなかった。まあ、普及率を考えたらPSでも出さない手はなかったとは言え、この辺りからアーケードの2D格ゲーの移植ならSSというのが定着していったものである。よって、多くのネオジオファンがSSをこぞって購入した事だっただろう。