ゲームボーイを愛す・その5 | ONCE IN A LIFETIME

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フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

テトリスの爆発的なヒット以降、以前も触れたように世の中はパズルゲームの粗製乱造、特にゲームボーイはその傾向が強かったが、アーケードも含めて成功したと言えるのはせいぜいセガの「コラムス」程度であり、あとは任天堂がドクターマリオをヒットさせたぐらいであったかと思う。後者はゲームボーイにも移植され、そこそこヒットを飛ばしたものの、モノクロと言う視認性の悪さもあってファミコン版よりもハンデが大きかったものだ。

 

まあ、と言う訳で、結論としては「テトリスが面白かっただけ」であり、別にパズルゲーム自体が面白かった、と言う訳ではなかったのである。まあ、それはセールスが証明している事であるのだが、何故か多くのメーカーはパズルゲームブームが到来、と思い込んでおり、と言う訳でゲームボーイの市場はあらゆるパズルゲームのクソゲーで占められる事となってしまった。

 

なので、私の記憶にある限りであるが、ゲームボーイ発売からはや2年目にして、その勢いはかなり落ちていたと思う。ただ、それでもまだ光明はあった。前年の「魔界塔士SaGa」のスクウェア初のミリオンセールスを記録したという大ヒットにより、意外にもRPGがゲームボーイと相性が良い事が分かってきたのだ。と言う訳で、SaGaを超える事は出来なかったが、他社からもそれなりにRPGがリリースされていった。

 

そんな中、1990年夏にある超有名RPGの移植が突如発表される。それが、かの「ウィザードリィ外伝・I」である。当時のウィザードリィと言えばまだまだテキストメインであり、あの小さな画面にどうやって収めるのか疑問に思ったものだったが、予想以上にうまくまとめられており、まだまだ未完成であったがこの時点で大きく期待が膨らんでいったものだった。ただ、この時点でまだ私はファミコン版のウィザードリィもプレイした事なかったはずであり、実際に買ったのはこの2ヵ月後ぐらいだったので、おそらくこの記事が私をウィズフリークにするきっかけだったのかも知れない。

 

ただ、相変わらずソフトのラインナップは貧弱だったので、あまりゲームをプレイする機会はなかった。そんな秋頃に私が買ったのが、「信長の野望・ゲームボーイ版」である。まさかの旧光栄のゲームボーイソフト第1弾であり、そして三國志と並ぶ同社の看板である「信長の野望」だ。ファミコンでさえ特殊ROMを使ってようやく実現させたのに、ファミコンよりスペックの劣るゲームボーイで出来るのだろうか、としか思えなかったが、周りに光栄のゲーム好きが多かった事もあって、試しにと買ってみた。

 

一応、BGMやシステムは「信長の野望・戦国群雄伝」をベースとしているが、さすがにゲームボーイだけあって色々簡略化されている。特に、1年のターンが春夏秋冬の4つしかなく、アッという間に時が過ぎてしまうのでその辺りは物足りなさが残る。しかし、面白さはそのままであり、私などは初めての歴史シミュレーションながら大変熱中したものだった。実際、当時知人からファミコン版の「信長の野望・全国版」を借りてプレイしていたのだが、どっちが先だったかは覚えていない。しかし、いずれも熱中したのも事実であり、そして多くの人のように、その時代限定ではあるものの日本史に興味を抱いたものである。