1990年2月、ドラクエIVも1週間ちょいでクリアした後、私が次に選んだソフトがゲームボーイ版の「ネメシス」だった。言わずもがな、初代グラディウスの海外版タイトルなのであるが、ゲーム自体は完全な初代グラディウスそのままと言う訳ではなく、ファミコン版やMSX版を抜粋したアレンジ作品となっている。
当時、いわゆるファミコン世代の人間であれば、まあほとんどの人がファミコン版の初代グラディウスをプレイした事があるはずである。しかし、沙羅曼蛇以降となるとRPGの台頭、そしてシューティングゲームの衰退が重なったため、初代ほどのプレイ人口はなかったはずである。なので、私も初代グラディウスはそれなりにプレイして楽しめていたものの、その後は前述のようにRPGに夢中になっていったため、それ以降のシリーズに関しては一切触れた事はなかったのだ。
そんな私が何故発売日に買ったのか、と言えば、当時参考にしていたファミコン通信のクロスレビューにおける、当時辛口で有名だったTACOX氏が8点をつけ絶賛していたからである。それを読んで気になった私は、ファミコン版初代グラディウスであれば私的にも思い出深いタイトルであったため、これは面白そうだと思い買っていた訳である。その内容は期待に違わず素晴らしいものだった。
ゲームのアレンジも素晴らしいが、それ以上に圧倒されたのがそのサウンドだった。初代グラディウスの火山と逆火山面を始めとして、基本的にBGMは過去作品の流用なのであるが、ゲームボーイのステレオ効果と音源を活かしたアレンジが非常に素晴らしく、アーケード版に近い金属的な音はファミコンのそれを凌駕していると言っても過言ではないぐらいだったのだ。
もちろん、ゲーム内容も素晴らしく、グラフィックの美しさに加えて全5面と言うテンポの良さもあり、それはそれは瞬く間にハマって言ったものである。その後、アーケード版のグラディウスIIIをきっかけとしてアーケードゲーマーの道を歩みだしていった私であるが、何を隠そうグラディウスシリーズに興味を抱かせるきっかけとなったのはこのゲームボーイ版ネメシスだったのだ。なので、私にとっては非常に運命的なゲームと言う事でもあり、もしこのゲームがなかったら確実にその後のゲーマー人生は違ったものとなっていっただろう。
また、具体的な時期は覚えていないものの、当時の知り合いとテトリスの対戦プレイを行った時、彼のソフトのBGMが私のものに収録されていない「トロイカ」であった事に気付いた。そう、任天堂は何の告知もなしにバージョン違いのテトリスをリリースしていたのである。BGM以外にもレベルによるスコアの違いなどもあったりして、次第に欲しくなってきた私は、年始明けぐらいになって買ったと思う。当然、パッケージからでは判断がつかないので、万が一旧バージョンであったらどうしようもなかったのであるが、幸いにして新バージョンであった。