SFC版ストIIの発売日は、今なお忘れない6月10日の事であった。この時私は運よく学校そのものが休みであり、合法的に町田のキムラヤへと朝7時頃から並んで整理券を入手、開店までゲーセンなどで暇つぶしをして無事に購入する事が出来た。そして、他校に行ってしまった友人の分も買ってあげる、と言う約束をしていたので、地元の店に並んであげて買ったものである。
今思えばお人好しが過ぎると思うのだが、不思議と一刻も早くプレイしたい、と言う気にはならなかったのだろう。そして、確かに行列は出来たとは言えさすがにドラクエほどではなく、特に混乱もなかったので、欲しい人にはある程度いきわたってたのではないだろうか。また、もちろん当時はスマホなど影も形もなかったので、ただひたすらじっと待つことしか出来なかったのだが、町田には前後に並んでいた大学生風の男の人と、子供のために朝から並んでいた主婦の人とと仲良くなってしまい、整理券をもらうまで談笑していたというちょっと良い思い出がある。
地元の店ではそんな事もなく、ただひたすら並んでいただけであったのだが、この時はなかなか入荷せず、お昼を大分過ぎてから入手出来た事を覚えている。つまり、友人のためとは言えどひとりの人間がストIIを2度も手にしたという訳である。当然、その後はそんなことは一切なかったので、貴重な経験と言えばそうかも知れないが、やはり今思えば時間の無駄だった。
まあそれはさておき、SFC版ストIIの発表の際、誰もが気になったのはコントローラーである。言うまでもなく、ストIIは当時としても珍しい6ボタンの専用コンパネを使用していた。当然、操作には最低でも6つのボタンが必要と言う訳である。しかし、一見するとSFCではメインのボタンが4つしかないように思えるので、そこで実際どうやってプレイするのか、という疑問が掲載されていたという訳だ。もちろんそれは杞憂であり、実際SFCもLRを含めた6ボタンである。
つまり、そのような疑問が生まれたという事は、それまでにLRを有効活用していたゲームがない、と言う事でもあった。まあ実際そこまで必要とされなかった事も事実ではあったのだが、今の時代では常識であり、さらにPS以降はL2R2ボタンまで搭載され、のちのゲーム機もほぼそれを踏襲する形となっている。そういう意味でも、任天堂の先見の明と言うのはさすがだな、と思ったものだ。という訳で、SFC版ストIIは、何の周辺機器も必要とする事無く遊べたのだ。
しかし、ゲーセンに慣れ切った以上、当然レバーとコンパネが欲しい所である。しかし、元々ストIIはコマンド受付入力に余裕があるため、十字キーでも昇龍拳などは十分に出せたし、慣れれば立ちスクリューも余裕で可能だったので、いつしかパッドでも十分操作出来るようになっていったのだ。まあ、実際問題としてはロクなアケコンがなく、特にストII以前はボタン配置が全く格ゲーを想定したものではなかったため、使い物にならないというのが一番であったのだが。
それに対応するかのよう、カプコン自らCPSファイターなるアケコンを発売したのであるが、9800円もする割にはどうしようもない代物であり、とてもではないが手を出す気にはなれなかった。ファミコンの所でも書いたよう、後に中古で買う事になるのであるが、やはり当時は買わなくて良かった、と思ったものである。
まあ当時はそんな感じであったのだが、すでにダッシュが出ていたにも関わらず、SFC版ストIIは、1年後にターボが出るまでひたすらプレイしていったものである。もちろん、容量が3分の1である以上、マニアであればすぐに気づくようなカットが多かった。しかし、面白さはさすがにそのままであったし、何より「ストIIが家でいくらでもプレイ出来る」という喜びはこの上なかったものだった。この感覚は今の人に言っても絶対に分からないだろう。それほどまでにストIIと言うのは巨大な存在だったのである。