スーパーファミコンを愛す・その9 | ONCE IN A LIFETIME

ONCE IN A LIFETIME

フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

1991年の年末から翌年にかけては、前に述べたようにPCEに注力していたので、SFCに関してはほとんど記憶にない。SFC版ストリートファイターIIの開発状況も、当時はゲーメストしか読んでいなかった事もあってほとんど見る事もなかった。そんな私が初めて画面写真を見たのは、3月頃に発売されたスーパーファミコンマガジンだった。

 

動画を見れば一目瞭然であるが、アーケード版のちょうど3分の1、つまり16メガビットしかないSFCでは当然キャラパターンを完全再現する事は出来ない。当然削減だけでは足りないので、キャラ自体の大きさも小さくなっており、ちょうど映画のビスタサイズのように上下が黒く塗りつぶされて圧縮気味になっているのが分かるだろう。

 

しかし、雑誌に掲載する際にはそんな部分は必要ないので、この時に見た画像はほとんどが画面内部分のみを編集して掲載していたと思う。それに加え、当然静止画のみなのだからそれだけを見たらアーケード版に極めて近いクオリティだったのだ。さすがに画面解像度の違いにより、キャラの文字などは太いな、とも思ったものだったが、些細な問題だった。当時はまだドラクエVも発売前であり、こちらも期待のソフトではあったのだが、やはりゲーセンマニアの私としては興味あったのはストIIのみだった。

 

因みに、話は前後するが、この年末ぐらいにドラクエVの容量が12メガビットと発表された。これはファミ通で見たのであるが、当時の最大容量は8メガビットであり、当然12メガビットと言うのはまだ見ぬ最大容量であった。なんとなくだがエニックス的にはしてやったり、的な印象を受けたのだが、言うまでもなくストIIが16メガビットを採用、発売前から記録は塗り替えられてしまった。

 

そして、恒例のサントラCD付録もついていた。目玉は当然ストIIである。しかし、キャラパターンにほとんどの容量を回している以上、BGMに容量を費やす余裕などとてもなかった。その辺りは重々承知しているので、期待せずに聞いていったものだったが、それでもやっぱり「こんなものか」という印象はぬぐえなかった。もちろん、SFCはフルPCMだし、FM音源が基本のCPシステム基板と比べた場合、単純に考えればSFCの方が優れている訳である。なので、本当に容量さえあればアーケード版と同等、もしくは凌駕するレベルのものを作れたのかも知れないが、現実はそうもいかない訳であり、同じ音色が延々と使いまわされるだけに終わった。

 

そして、この雑誌は私が久々に得たSFCの情報源でもあった。その他の目玉と言えば、SFC初のファミスタ、その名もずばりなスーパーファミスタである。そして、遂にファミスタもここからプロ野球機構の公認を受ける事となり、選手名と球団が全て実名となったのだ。他に印象的だったものと言えば、「WWFスーパーレッスルマニア」だ。悪名高きアクレイムのソフトなのだが、画面を見るだけでは非常にリアルであり、当時のWWEを大変良く再現していたものだ。

 

そして、大体どこの編集部にもプロレスに詳しい人間が居るので、当時そこまでWWEに明るくなかった私としては、レスラーの紹介文を読むだけでも楽しめたものだった。時期的には、その3ヵ月前に年間ベストバウトを受賞した「天龍源一郎VSハルク・ホーガン」が行われた事もあって、それに触れられていた記憶がある。

 

ただ、やはり何と言ってもこの頃はSFC版ストIIが最大の楽しみだった。そして、発売直前にファミ通を読むのを止めてしまったので、おそらく記憶にある限り私がSFC版ストIIの情報を見た最後であったかと思う。当時はアーケードでもストIIダッシュが発売される直前であり、世のゲーマーはそれを心待ちにしていたので、そこまでSFC版ストIIが楽しみと言う訳でもなかった気もするが、それでもあのストIIが家でプレイ出来る、という事実は今ではたとえようもないぐらいに大変な出来事だったのだ。