スーパーファミコンを愛す・その4 | ONCE IN A LIFETIME

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フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

「グラディウスIII」も、初期SFCを牽引するソフトとして非常に期待されたうちのひとつであったが、その出来に関しては賛否が集まる事となってしまった。その原因は言うまでもなく、雑誌などでは「アーケード版の完全移植」を謳っていたにも関わらず、出来上がってきた完成品はまるで別物だったからである。

 

アーケード版は言わずもがな、当時の超一級のアーケードゲーマーたちでさえ苦戦した伝説的な難易度を誇ったゲームであり、一般人が太刀打ち出来るゲームではなかった。今でこそYouTubeなどで攻略が容易に見れるとは言え、当時はそんな事出来るはずもなく、せいぜいゲーメストの攻略と、当時出たばかりの攻略ビデオぐらいしかなかったので、攻略自体の難易度も今とは比較になるものではなかった。

 

当然、そんなゲームを家庭用にそのまま移植する訳に行く訳もなく、そこでコナミが選択したのはファミコン版グラディウスIIのようなアレンジ移植あった。それを示すかのように、サブタイトルの削除はもちろんの事、タイトルロゴもパッケージイラストも変更という念の入れようだった。正直その判断は全く正しいのであるが、そこまで徹底したにも関わらず、パッケージ裏に「アーケードの迫力を完全移植!」という文字を記してしまっていた。

 

「アーケード版を」、ではなくあくまで「迫力」をなので、もちろん完全移植という訳ではないのであるが、これに一部のゲーマーが敏感に反応してしまう事になる。しかも、当時からグラディウスIIIは、狂信的なファンが多かったので、そのおかげで一部からは「偽物」、概して「ニセスリ」などと言われるようになってしまった。

 

ただ、さすがにコナミはその後も、このSFC版はアーケード版の移植とは認めておらず、PS2版の「復活の神話」が発表された際、「初のアーケード版の移植」という紹介がなされた。なので、今でも単に「グラディウスIII」と言った場合、あくまでオリジナルのアーケード版と、それに準じたPS2版とPSP版、そしてもちろんアケアカ版の事をさし、このSFC版は当てはまらない。よって、ファンの間では必ず「SFC版」の注釈をつける。

 

という訳で、あくまでこのSFC版「グラディウスIII」は、あくまで家庭用オリジナルという事であり、アーケード版の移植ではないという事だ。まあ、一応BGMなどはアーケード版をベースにしており、グラフィックも基本的にはそれを参考にしているので、一応ファミコン版グラIIよりかはアーケードを参考にしているのは間違いはないのであるが。

 

なので、アーケード版を期待したゲーマーからはそっぽを向かれてしまったものの、普通にいちシューティングとして見た場合は十分素晴らしい出来であるのも間違いない。さすがに初期だけあって、レーザーやボスキャラもスプライトで描かれているため、のちの「パロディウスだ!」に比べるとスプライトや処理落ちがかなり厳しいなどの問題点もあるので、個人的な意見を言ってしまうともう少しハードにこなれてから出して欲しかったな、というのもある。

 

まあそんな感想を抱いたのはもっと後の事であり、購入当初はやはり楽しめたものである。特に、このSFC版グラIIIは、ハード本体を予約したその日ぐらいに近所の店で購入、つまり私が人生で唯一ハード購入前に買ったゲームでありそういう意味でも思い出深いものがあった。