ゲーメスト1992年3月号にて、遂に「12人の」キャラセレクト画面が掲載され、これで四天王が使えるという事が確実に判明した。その後、AOUショーでの初お披露目を挟んで、正式発売は4月中旬となったのだのだが、この時の期待値というのは尋常ではなかったものだ。今で言えば所謂アプデに過ぎない話であり、しかも容量自体は全く同じなので、四天王などの新技は背景のグラフィックを再現してやりくりする、という有様であったが、それでも我々にとっては全く新しいストIIに等しいものであり、ゲーメストの記事を読んだだけでもお腹いっぱいだったものである。
そして、その全く新しいストIIは、前述のように4月中旬に正式発売された。この時、私は海老名の現イオンに当時存在したゲームコーナーに居たのであるが、ちょうどオペレーターの方がダッシュをセッティングしている所に居合す事が出来た。そしてテストプレイの後、一番乗りでリュウでプレイするという幸運に恵まれたのだが、当然CPUがかなり手強くなっていた事もあり、4人目のリュウぐらいで終わったかと思う。
この時点である程度の違いは発表はされていたのであるが、リュウ使いの私としてはとにかく昇龍拳を地上で当てても敵が倒れる、というのが何よりの喜びだった。それに加えて、波動拳の出と硬直が短くなり、さらに竜巻旋風脚も一撃で倒れるようになった。もちろん、通常技の判定も強化されており、リュウに関してはほぼ全ての面でパワーアップがなされていたのだ。
もちろん、初代では最弱レベルの主人公、とまで揶揄されたほど弱かったので、それも当然なのであるが、これにより「最強」レベルには至らなかったとは言え、それでも満遍なく全キャラとある程度対等に闘えるようになったのだ。ケンももちろん強化され、こちらは特に昇龍拳と、飛び込み大パンチの判定などが嫌でも目立つぐらいに強くなっていた。これにより、ガイルなどにもサマー以外では撃墜不可能ぐらいにガンガン飛び込めるようになったものである。
これにより、リュウ・ケン使いが激増していったものだが、私はこの時点でいわゆる3段昇龍拳が使えたため、対戦でもしばらく強くて気分が良かったものである。しかし、結局上位クラスには及ばず、また当然「負けた方はあっという間にワンコイン失う」という事がどうにもフラストレーションであり、結局嫌気が差してしまい対戦とは遠ざかる事となってしまった。
なので、世間の盛り上がりとは裏腹に、対戦自体はあまりやっていなかったのである。もちろん、ゲーメストは最高に盛り上がってはいたし、ゲーセン自体にはしょっちゅう通っていったのではあるが、それでも対戦自体にあまり力を入れる事はなかった。
そんな頃、実は世間では「もうひとつのストII」への話題で持ちきりだった。もちろん、6月10日に発売予定とされていたSFC版「ストリートファイターII」の事である。