当時の例で行けば、1度ワンコインクリアを達成すれば、次は全キャラクリアを目指すというのが割とまあ基本であった。しかし、そこまでやり込むつもりもなかったので、私が次に目指したのはアッパー昇龍拳の習得だった。車のボーナスステージで練習するのが基本なのだが、ここだとレバーの入力が早くても投げに化ける事がないので基本出しやすい。なので、CPU戦でピヨった時に決めようとすると、逆に投げに化けてしまう事がままあったものだ。
当時は高度なテクニックとされたが、一瞬だけ大ボタンを早く押して昇龍拳コマンドを入力するだけなので実際はそんなに難しくはない。しかし、それでも当時はリュウ使い自体多くはなかったので、アッパー昇龍拳を出せる人はあまり多くはなかったとは思う。もちろん、マニアが集まる店であれば当たり前であり、当時相武台前に存在したクイーンエイトというゲーセンでは、ゲーメストで発表されるまえからいわゆるめくり3段が普通に使われていた。
また、友人に影響されてザンギエフも始めるようになった。プロレス好きの私としては、プロレスラーが一番弱い事に対して憤りを覚えずにはいられなかったが、それでも当時は一度捕まえてしまえば終わりという快感があったので、マニアには好まれたキャラクターだ。そして、発売してしばらくスクリューはジャンプしながらでないと出せないというのが常識だった。それを根底から覆したのが立ちスクリューである。
今では基本的なテクニックなこの技も、当時は出せただけでもギャラリーがついたほどだった。初めてゲーメストで公開されたのは例の増刊であるが、私自身は「オレンジハウス」に寄った時に初めて見て驚愕したものだ。まあ普通に考えて、レバーを下から回せば上に入れた瞬間はまだジャンプする直前であり、理論的には十分可能なのである。しかし、実はこれがなかなか上手くいかず、コンスタントに出せるようになったのはダッシュになってからだと思う。
実際には右横から下に回し、上に来た瞬間にボタンを入れればいいのであるが、当時はその辺りの解説が今ひとつ明確ではなく、レバーが左から上に行く直前ぐらいに押すように、みたいな紹介だったので、逆になかなか出なかったものである。なので、この時点でまずは立ちよりも、スクリューはめを完璧にこなせるようになるのが目標だった。当時のメジャーなやり方と言えば、ジャンプ小キック、もしくはボディプレスから小足スクリュー、の2つである。それが完璧になると、しゃがみ中パンチか、最後は大足スクリューが基本となった。
そして、CPU戦に飽きてきた私は、例の親友と遂に対戦を始める事となった。当時はまだ対戦台というのは存在しなかったので、顔見知りの人とやる以外しかなかったのだ。当然、負ければワンコイン失うので、最初は友人と言えど負ければイライラしたものだったが、そのうちワンコインで2人プレイ出来る場所で、お互い平等にお金を出し合いプレイしていったものである。