そこの忠実屋には、スーパーの一角としてはそれなりに大きなゲームコーナーがあり、当時は「パロディウスだ!」もまだ置いてはいた。しかし、それとは別枠に、確か屋上かどこかに行く階段の踊り場的な部分に、エアロシティ筐体に入ったストIIが2台設置されていたのである。もう18時寸前だったので、店員の方に「一回だけだよ」と釘を刺されつつ、リュウを使い初めてプレイしていったのであるが、あっさりダルシムに負けたにも関わらず、あまりの面白さにそれはそれは興奮したものである。
そこでプレイしたのはそれ一回きりとなってしまったのだが、最寄駅から少し上に登った所にあった駄菓子屋にストIIが設置され、もっぱらそこが私の練習場所になっていった。そして、ほぼ同時期ぐらいに、前月に発売された「ザ・ベストゲーム」をきっかけとして、ようやくゲーメストの存在も知ったのである。
ゲーメストの創刊は1986年の4月であり、つまりはファミコン雑誌百花繚乱の時代と共に育った雑誌でもあった。しかし、当時頻繁に本屋に足を運んでいたにも関わらず、ゲーメストのゲの字すら知らなかったのだ。当時のファミマガなどはコンビニでも購入出来たので、その点の流通の違いもあったのかも知れないが、今にして思えばあれほど本屋で立ち読みをしていたにも関わらず、ゲーメストに目を通した事すらなかったのは本当不思議な話である。
なので、もちろん7月発売の9月号からゲーメストを買うようになっていった。しかし、すでに触れたように一般の攻略はすでに終了してしまっていたため、すでに上級向けとなっていた内容は私にはレベルが高過ぎていた。なので、その時点ではほとんど役に立つ事はなかったのであるが、ゲーメストはバックナンバーが本屋から注文出来るようになっており、ストII攻略が掲載されている号をまとめて注文していったのである。
しかし、当時はまだグラディウスシリーズを1速でプレイしなければならないほど、レバー操作に不慣れであったので、それに加えて6ボタンあるストIIの操作などはままならぬ頃であり、それでは攻略を読んだ所でまともに実践する事などほとんど無理であった。なので、しばらくはレバーとボタンを適当に叩くだけ、という感じであったのだが、それでも楽しめるのがストIIの凄い所である。これはほとんどのゲーマーが同じ思いを抱いたのではないだろうか。
対戦ではなく、1on1の格ゲーというジャンル自体はかなり昔からあった。かの有名な「イーアルカンフー」や、デコの「空手道」などもそうである。ファミコンでも「アーバンチャンピオン」や、「カラテカ」、そして「ケルナグール」など、別に目新しいジャンルでもなかった。
それが何故ストIIが異常なまでにゲーマーの目を引いたのであるかだが、まずはその信じられないぐらい滑らかなアニメーションである。これが大袈裟ではなく、キャラクターがゲームの中で「生きている」という感覚だったのだ。