アーケードスティックのお話・その26 ファイティングスティックα | ONCE IN A LIFETIME

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フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

この8月7日にようやく発売となった、HORIのファイティングスティックαのPS版をAmazonより購入した。すでにアケコン飽和状態の私、特に4月に購入したQanba Pearlの出来があまりにも素晴らしかっただけに、さすがにこれ以上は要らないと思いスルーするつもりであったのだが、やはりそうも行かず発売日前日に注文してしまった。

 

 

 

すでにご存知のよう、今年の2月にはHORIストア専売ながら、XSX用がPS版に先駆けること先行で発売されていた。その時も購入に迷ったのであるが、360に使えるならともかく、OneとXSX用ではアケコンを使う必然性のないゲームの方が多かった事もあり、PCオンリーで使うのも微妙だったので、その時はさすがに本当にスルーし今も購入していない。という訳で、このαに触ったのはもちろん今回が初めてである。

 

まずはそのガワであるが、見ての通りプラスチック製である事は一目瞭然であるため、正直高級感というのは皆無。なので、その辺を重視するのであれば、刃やQanbaを選ぶのがいいかも知れない。同じ開閉式と言えば、かのVictrixがあるが、正直諸々の点を考慮して4万円の価値があるかは意見が分かれる所なので、正直お勧めするのは難しい。ただし所有欲は間違いなく満たされるとは思う。

 

 

 

サイズとしては、歴代のアケコンと比較しても横が短めのスタイルであり、奥行き感がかなり感じる。個人的に、アーケードのコンパネの影響もあるせいか、アケコンも横長の方がしっくりくるタイプなので、これも若干購入を躊躇った理由のひとつだった。特に、レバー左のスペースがRAPNや刃と比べても狭く、これがかなり気になる所ではあったものの、さすがにちょうど左手が乗るように出来ていた。まあ当然と言えば当然かも知れないが、なので特に不自由は感じられない。

 

天面は、QanbaやVictrixとは異なり完全に水平である。私の記憶にある限り、初代RAP以降HORIが斜めの天面アケコンを発売した記憶がないので、HORI的には水平がベストとしているのだろう。私自身は斜めの方がお気に入りなのであるが、実際にプレイしてみると特に違和感はない。しかし、手の付け根の位置はやはり斜めの方が望ましい。その部分がRAPNのように角ばっていると、机置きでプレイする時に付け根が痛くなってしまうのだ。しかし、さすがにこのαはその辺りも十分考慮されており、またプラスチックなだけあって質感も優しいので、とてもやりやすい。

 

そして、大きな売りとなるのはHORI初の開閉式であるが、他社のそれとは異なりおそらくアケコン史上初の奥側が開く設計となっている事だろう。これは一旦アケコンを逆にしなければならないので、それは若干煩わしいと言えば煩わしい。ただ、その分コードの収納がかなり考えられており、Victrixのように巻けるようになっているのだが、完全に中に仕舞える仕様なので、見た目的に非常にすっきりするのだ。これまでだと、必ず内部のコンパートメントに仕舞う使用となっていたので、それが設計上の大きなボトルネックとなっていたのだが、この設計によりそれは完全に解決している。この仕様は全アケコンの中でもピカイチだろう。

 

 

 

オプション系のボタン類、そしてタッチパッドは全て天面の上部に収められているが、これは非常に使いやすい。特に、これまでHORIはタッチパッドが全て側面奥に位置していたので、それに比べたら雲泥の使いやすさだ。デザイン的に見れば、QanbaやVictrixの方が洗練はされているかも知れないが、使いやすさはこちらがダントツで上である。これは非常に評価して良いと思う。

 

重量に関しては、プラスチックという事もあって、昨今のアケコンと比べたら若干軽い方と言って良いかも知れない。しかし、3kg以上あるアケコンだと、膝置きの場合かなり負担が来る。私の場合は前述のように机置きがメインなので、あまり問題とはならないのであるが、それでも現行の大会などはほとんどが膝置きである事を考慮すると、やはりこのαぐらいの重量がベストではないかと思う。また、横幅が膝置きにした場合、ちょうど自然に足を開いた状態がベストにくる広さとなっている。刃の場合も安定感はもちろんあるのであるが、少し日本人体型には大きすぎるきらいがあったので、この点もαの方が楽であろう。

 

以上のように、ガワの作りやサイズに関しては、実際に触ってみると思った以上に素晴らしかった、というのが率直な感想である。それだけでもHORI歴代ベストと太鼓判を押せるレベルなのであるが、やはりアケコンで一番重要なのは操作感覚である。なので、いくら他が良くても、それがダメなのであれば全てを帳消しにしてしまうとも言える。しかし、さすがに今回その点に関してもぬかりはなかった。

 

XSX版のレビューにおいて、RAPと比べると静音性が高いとの意見が見受けられた。しかし、その反面音が響く、との声もあったので、一体どっちが正しいのか興味津々であったのだが、個人的な結論から言えば前者である。現在、私がHayabusaパーツのままデフォルトで使用しているアケコンは、海外のみで発売されたXboxOne用の、RAPNをベースとしたソウルキャリバーアケコンしかないのであるが、音の響きがまるで違う。

 

理由としては、ガワの空洞部分を限りなく狭くしてある事、ガワ内部の底面部分が網状の模様をしており、これが音を多少吸収してくれる作りとなっている事、などが挙げられる。さすがに旧Pantheraほどではないものの、これまで一貫して音がうるさいとされてきた同じHayabusaパーツが使われているとは到底思えないほどの静穏性である。もちろん、レバーの操作感覚もかなり異なり、とにかく「ゴトゴト」音がやかましかったあのHayabusaレバーと同一とは思えないほどだ。HORIアケコンの最大の欠点がその静穏性と、レバー周りの剛性感に乏しい、というのが真っ先に挙げられていただけに、これは大きな進歩である。

 

その理由から、正直三和レバーに慣れ切っているという事もあるにせよ、これまでのRAPでHayabusaパーツだと正直やり辛く感じて仕方がなかったのだが、今回はその違和感はかなり解消されており、ストリートファイターVを始め、どのゲームも普通にこの上なく快適にプレイする事が出来た。なので、三和に染まっていない人たちであれば、特に換装する事もなく使う事が出来るだろう。もちろん、三和に換装したらどのような感覚になるか、というのも興味がない事もないが、ここでまた換装するとHORIアケコンを買った意味がなくなってしまうと思うので、これはこのままデフォルトで使用していくつもりである。

 

それ以外の大きな売りとして、天板イラストデザインの容易な変更というのもあるが、それなりに面倒な作業を伴う事も事実だし、そこまでの拘りもないので、ここでは割愛する。しかし、人によっては非常に嬉しいポイントだろう。面倒ではあるとは言え、それでもPantheraEVOなどよりかは遥かにイージーである事は間違いない。

 

また、PS3で使用できるという意見もあり、実際使用可能であるのだが、さすがに正式対応ではないのでPSボタンは反応しない。よって、その場合は純正コンのものを使用する事となる。また、アケコンで重要な問題のひとつとして遅延があるが、現行のアケコンは体感出来るほどのものはすでに皆無となっているので、まるで問題のないレベルである。一応、海外のYouTubeによると、刃と同等レベルとの事ではある。イコールUFBには劣るのだが、認証問題によりライセンス品はどうしてもUFBを超える事が出来ないので、この辺りが限界であろう。

 

総括として、HORIとしては史上最高レベルのアケコンである事は間違い無いだろう。前述のように、高級感に若干乏しいとは言え、それ以外の利点でそれは十分カバー出来るので、現時点で少なくとも他のHORIのアケコンを選択する必要はほぼ皆無となってしまったと言って良い。それぐらい良好な製品なので、個人的にはQanba Pearlと並んで現在の一押しである。