交響組曲 ドラゴンクエストIII | ONCE IN A LIFETIME

ONCE IN A LIFETIME

フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

以前にも触れたように、ゲームミュージックというジャンルを世の中に認知させたのはやはり「ドラゴンクエスト」の功績である。そして、これまで様々なオーケストラによって何度も録音がなされており、複数のバージョンがいまなお発売されているのであるが、少なくともIII〜Vの3作品に関しては、NHK交響楽団が最高なのではないかと思う。

 

例えば、SFC版のI・IIが発売された頃には、改めてロンフィル版のCDがリリースされたりもしたが、日本人的な感覚で言うと、一応このロンフィルが世界で最も権威がある、との事なので、それは当然最高の演奏を期待してしまうものである。当然、私もほぼリアルタイムで購入し、同じように期待もしたのであるが、正直素人の耳からしてもかなり雑な印象を受けてしまい、これなら初代アポロン盤の方が良かったのでは、とも思っていた。

 

のち、VI以降はロンフィル盤が基本となり、同じくSFC版IIIもロンフィル盤がリリースされていったのであるが、それしかない前者はともかくとして、やはりどうしてもNHK盤が印象深いIIIにおいては、その時点においてもなんか雑だな、いまいちだな、と思わざるを得なかった。もちろん、NHK盤から10年近く経った頃なので、多少の意図的なアレンジなどもされてはいたのかも知れないが、正直それを考慮してもいまひとつと思わざるを得ず、以前のようにリピートする事もほぼなかった。

 

私がまともに最後までプレイしたシリーズはVIIが最後なので、購入したオーケストラ盤もVII止まりである。さすがにVIIあたりとなると、以前と比べるとかなり洗練した印象であるので、特に大きな不満もなかった。

 

以降、ドラクエをまともにプレイする事はなくなってしまい、同時にサントラもほとんど聴く事もなくなってしまった。ただ、それでも初期、特にファミコン版は今でも印象深いので、それに関する記事や動画などはよく拝見はしているのであるが、その中でお気に入りなのはニコニコ動画で上げられている某氏によるRTA動画である。

 

今日のRTA動画の礎を築いたとされる作品だけあって、今なおダントツの人気を誇っている彼の動画群なのであるが、それを見ていくうちに久々にオーケストラ盤も聴きたくなってきた。当然、今なお当時のオリジナルを所有しているのであるが、さすがにIIIなどは購入から30年も過ぎている訳であり、以前iTunesに取り込んだ時はなんと全ての楽曲を取り込む事ができなかったのだ。

 

なので、iPhoneで聴く事もなかったのであるが、昨年購入したゲーミングPCであればいけるかも、と思い、改めて取り込んでみた所、無事に全トラック読み込む事が出来た。そしてiPhoneでも聴いてみたのであるが、なんとプツプツという余計な雑音が。これは改めて取り込んでも除去出来なかったので、さすがに経年劣化と実感した私は、Amazonで検索した所、今ではキングレコードより再販されているNHK盤を改めて購入した。

 

当然、何事もなく読み込んでくれ、久々に聴き直していったのだが、やはり再生した直後に、「やっぱりこれしかない!」と思ったものである。まあファンには説明するまでもないだろうが、とにかく演奏の安定感が違う。NHK盤はスタジオ録音かつ30年以上前の録音という事もあり、音がこもり気味、だという指摘もままあるのであるが、自分は全然気にならないし、むしろこれを聴いてしまったら他には戻れない、という印象しかなかった。

 

まあ、これも今さら言うまでもないが、このIIIは今なおシリーズ中においても最高の出来とされるBGMだけあって、この時点ですでにシリーズの頂点を極めてしまったと思う。まあ、シリーズが続くにつれて枯渇してしまうのも止むを得ないかも知れないが、主観の要素が大きいとは言え、少なくとも以降のシリーズにおいてIIIを超えるものはなかったように思える。例えば今でこそIVの評価も高いのであるが、それでも発売直後はゲーム本編と同様、BGMも酷評する意見が目立った。

 

そして、今回IIIに感動した私は、その勢いでIVも注文したのであるが、こちらもやはりNHK盤が最高だ、と思いつつも、それでもIIIの「冒険の旅」や「おおぞらをとぶ」のようなドラクエはもちろん、ゲーム業界を代表するような「核」と言えるほどのBGMの存在が見受けられなかったために、楽曲自体は増えていても、やはりIIIの方が良いな、という印象は拭えなかったのである。

 

まあIVがいまいちというより、IIIという存在があまりにも傑出しているだけに過ぎない、という事だけなのであるが、まあ今改めて言えるのは、そんな奇跡的なゲームをリアルタイムで経験出来た事は幸せだったということだ。