まだブラウン管が主流の時代、最高のゲーミング用モニターと言えばソニーの「プロフィール・プロ」である事はすでに触れた。しかし、ググれば資料も出てくるとは思うが、当時としてもべらぼうに高く、特に29インチなどは30万円ほどする代物であったため、それなりに裕福なゲーマーでもなければ手が出るような代物ではなかった。
当時でも21ピンマルチRGB端子が搭載されているテレビは極めて稀であったため、多くの人間はS端子で妥協しなければならなかった。まあ、それでもそれなりに高画質ではあったのだが、やはり滲みのないRGB画質には遠く及ばないものだった。それに加え、その肝心のRGB端子そのものも、90年代半ばにはほぼ絶滅していた。PS、SSの全盛期であるにも関わらず、である。当時、いずれのハードにおいても公式のRGBケーブルが発売されていたが、当然そんな状況下では無意味な代物に成り下がっていた。
そんな時にソニーが救世主の如く世に送り出したのが、PS本体に搭載されていたAVマルチ端子を要したテレビである。のちにWEGAでお馴染みとなったこの端子であるが、最初に搭載されたのはまだ球面ブラウン管のKV-21SPだった。私はゲーメストの広告で見ただけであり、実物は見る事ができなかったのであるが、RGB端子という文字を読んだだけで心が躍ったものである。
しかし、当時はまだ情報が少なかった事もあり、まだ私的には得体のしれないものであった。さらに、AVマルチ端子という事は、実質PS専用という訳でもある。という訳で、私が運良く初めて入手出来たRGBディスプレイは、前にも触れたようにNECのPC-TV454だった。モノラルなのは残念だったが、それ以外は当時存在したと思われる入力端子がほぼ全て背面に搭載されているという、まさにゲーマー御用達のテレビであった。
初めてPSの画面を映した時の衝撃は今でも忘れない。確かに14インチというのは物足りなさもあったが、それを補ってあまりあるほど、アーケードと遜色ないほどの美しさだったのだ。以降、しばらくの間はそれがメインモニターとなっていったのだが、PSでドラクエIVが発売された頃になると、さすがにRPGは大きい画面でリラックスしながらの方が楽に感じていった。そして、その頃、お馴染みサイバーガジェットや、一部ネットの業者が、21ピン端子をAVマルチ端子に接続出来るアダプターを発売するようになっていった。
これでWEGAを購入出来る目処がついた私は、早速21インチを購入した。正直、さすがにWEGAと言えどその鮮明さはPC-TV454には劣ったものの、それでもさすがにRGBならではの滲みのなさだった。当時、これがどれだけ普及したかは分からないが、少なくともそれなりにディープなゲーマーであれば、ほぼWEGA以外の選択肢はなかったはずなので、それなりにヒットはしたと思われる。
数年後、29インチを改めて購入したのだが、こちらは価格COMで50000円台半ばぐらいであったかと思う。現在、1万円台が入門機、3万円弱が中級、そして5万円以上がハイエンドとされるゲーミングモニターであるが、当時の感覚を知っている私としては、それはもうお買い得、安すぎるとしか言いようがない。