ゲームの難易度について語る・その3 | ONCE IN A LIFETIME

ONCE IN A LIFETIME

フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

今でこそ易しめと称される初代ストIIであったが、それでも発売当時は非常に難しく感じたものだ。それでもあれだけの大ヒットを記録した要因としては、ただ単に超なめらかに動くキャラクターを、適当にボタンを連打して操作していくだけでも面白いと思わせた魅力があったからこそである。

 

それにより、当時のビデオゲームにおける最大の命題である「初心者にもマニアにも受ける」を簡単にクリアしてしまったストIIは、当然のように歴史的な大ヒットを記録していく。しかし、やり込んで行けば当然それに比例してプレイ時間も長くなっていく訳であり、半年もすれば誰もがワンコインクリア出来る事など当たり前となっていった。そうなると当然インカムにも影響が出てしまう訳であり、翌年のバージョンアップ版であるストIIダッシュでは当然CPU戦の難易度は高くなっていった。

 

しかし、それでもCPUのパターン化は簡単であり、まだまだ誰もがプレイして不可能とも言える難易度とは言えなかった。さらに、ストIIダッシュの強みとしては、もちろん対戦メインというのがあり、それによるインカムは1人用の比ではない。それによって、少なくともダッシュに関してはCPU戦をそこまで強くする必然性も少なかったと言える。

 

しかし、同年秋に発表されたSNKの「龍虎の拳」あたりから、他社も格闘ゲームを発売していくようになる。この初代「龍虎の拳」は初代ストリートファイターのコンセプトに近く、一応全キャラ使用可能ではあるものの、基本的にはストーリー重視の1人用がメインだった。そうなると当然難易度も高めに設定しなければならないため、この辺りからすでにパターン化必須な難易度が形成され始めていったのだ。

 

年末には早くもダッシュのバージョンアップ版である「ストIIダッシュターボ」が発売されるが、この辺りになるととうとうストIIですらも難易度高騰に踏み切らなければならなかった。これはまさに、かつてシューティングゲームの流れと全く同じである。特にネオジオの格ゲーなどは、CPUの難易度はもちろんの事、超必殺技の系列などのコマンドも無茶苦茶なものとなり、特に「餓狼伝説SPECIAL」や、「龍虎の拳2」などはゲーメストの攻略なしではどうにもならないほど難易度が高騰していったものだ。

 

そんな時、彗星の如く全く新しいタイプの格ゲーがセガの手によって創造された。もちろんあの「バーチャファイター」である。このバーチャに関しても、それまでに全くなかった操作系だった事もあって、最初のうちは非常に難しく感じたものだったが、とりあえずCPU戦に関してはある程度上達すればなんとかなる程度のものだった。

 

そして、このバーチャが採用した革命的なシステムと言えるのが、スコアを一切排除し、代わりにタイムアタックを取り入れた事である。これにより、スコア稼ぎによる長時間プレイの弊害は完全になくなり、上手くなれば上手くなるほどプレイ時間を短くさせる事に成功したのだ。これは単に難易度を高騰させる以外の発想を持ち得なかった中小メーカーとの力の差を実感した出来事でもあった。