サザンオールスターズについて語る・その1 | ONCE IN A LIFETIME

ONCE IN A LIFETIME

フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

初めてサザンオールスターズという存在を知ったのは、1982年にリリースされたチャコの海岸物語がきっかけだった。さすがに幼少すぎたので、ここからコアなファンになった訳ではないのであるが、そのあまりにも独特な歌い方が子供心ながらにも非常に印象に残り、歌番組全盛期の中において最も印象に残ったグループとなっていったのだ。

 

それから、少なくとも久米宏がザ・ベストテンの司会を務めていた頃までは、間違いなく日本の歌謡界全盛期の時代であった、と言って良いと思われるのだが、個人的にはその頃は歌への興味は失っていた。ベストテンは夜9時からの放送であり、子供にとっては少々遅い時間帯であったので、同じく9時開始であった「なるほど・ザ・ワールド」と同様、小学生の頃はほとんど見る機会を失っていたのだ。

 

まあ、どちらの番組も異例の高視聴率番組であったため、私の両親などは常に毎週見ていたから、たまに見る事もあったのではあるが、それでも毎週見る、というほどのレベルでもなかった。なので、この辺りの記憶はほとんどないのであるが、そうこうしているうちに歌番組は衰退の一途を辿り、思春期を迎えた頃はミュージックステーションが残る程度となってしまった。

 

そして、アイドル歌手の時代は終わり、当時のB'zやZARDに代表されるよう、「テレビ(特に紅白)に出ない事がかっこいい」という風潮の1990年代を迎えていた。という訳で、ランキング番組が壊滅した中、ヒット曲の要素のひとつとして「ドラマの主題歌」に抜擢される、というのがメインとなっていったのだ。そして、サザンオールスターズが初のミリオンセールスを記録したのが、かの「冬彦さん」で一大ブームを巻き起こした「ずっとあながた好きだった」のメイン主題歌として採用された「涙のキッス」であったのだ。

 

そして、それに続いたのがちょうど1年後に「悪魔のKiss」の主題歌として採用された「エロティカ・セブン」である。ちょうど同じ時期、「ずっと〜」の続編である「誰にも言えない」の主題歌として、ユーミンの「真夏の夜の夢」も発売されていたのであるが、何を隠そう私が邦楽にようやく興味を持ったのがこの2曲だったのである。最初は後者の方がお気に入りであったのだが、やはりサザンの方が馴染みが深かったので、前者をひたすら聞くようになった。

 

しかし、それでもアルバムには手を出さず、とりあえずしばらくはアーティストに拘らず、ヒット曲ばかりを中心に聴いていく事となった。正直ミーハーと言ってしまえばそうなのであるが、割と様々な曲を聴いていったにも関わらず、特定のアーティストのファンになる事はなかったのだ。そして、年末にTBSでサザンの年越しライブを初めて視聴し、最初の方は訳あって録画に失敗し、年越し後からとなってしまったのだが、まだ正直ここでもヒットシングルのみしか聴いていく事はなかったのだ。

 

それから一年後、何がきっかけだったのかは不明なのだが、改めて録画したその「しじみのお味噌汁コンサート」を視聴していった。「素敵なバーディ」からの録画であったのだが、ほとんどの曲が馴染みないのにも関わらず、次第に早送りもせずに聴き入るようになっていった。そして、「匂艶(にじいろ) THE NIGHT CLUB」から始まったライブのクライマックスは大盛り上がりであり、特にこの曲と、「怪物君の空」そしてとどめの「マチルダBABY」にそれはそれはどハマったものである。

 

いずれのアレンジも秀逸であったが、特にこの「マチルダBABY」に関しては異常なほどにハマり、次第にCD本体まで欲しくなっていった。もちろん、今のようにグーグルで検索などは出来ないので、リアル店舗に行くしかなかったのであるが、ファンならご存知のよう、これはシングル曲ではなく「綺麗」というアルバムだけに収録されている、アルバムオリジナルの曲なのである。

 

当然、ほぼこれ目当てだけのために「綺麗」を買うのは迷いもあったが、さすがにあまりにも気に入りすぎたためスルーも出来ずに購入した。つまり、私が初めて買ったサザンのアルバムが「綺麗」なのである。これに入っているシングル曲が、サザンのシングル曲の中でもマイナー中のマイナーとも言える「EMANON」のみなのだから、「これが初めて」という人は相当レアなのではないだろうか。

 

もちろん、「マチルダBABY」だけでも買う価値はあるとは思うのだが、その他の曲はライブでも頻度が多いとは言えない曲ばかりである。せいぜい、「旅姿六人衆」ぐらいであろうか。2曲目の「赤い炎の女」などもテンポが良くて好きなのではあるが、やはり前年の「匂艶(にじいろ) THE NIGHT CLUB」や、「夏をあきらめて」が収録された「NUDE MAN」や、翌年の「ミス・ブランニューデイ」や「ジャパネゲエ」の「人気者で行こう」などと比べると、やはり地味な印象は拭えないかも知れない。

 

そして、それから2ヶ月後、「すいか」に続くベストアルバムである「Happy!」が出るという事で、海老名の新星堂で予約購入した。たまたま発売前に同店に訪れた際、でかでかと収録曲が掲載されている垂れ幕的なものがあったので、その勢いで予約したのであるが、予約でほぼ完売、という事だったので、予約出来たのはラッキーだった。そして、このアルバムを聴きまくった私は、ようやく本格的にオリジナルアルバムを集めるようになるのである。