WrestleMania37 | ONCE IN A LIFETIME

ONCE IN A LIFETIME

フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

2年ぶりにレッスルマニアがスタジアムに帰ってきた。正直、昨今のコロナ禍の様子を見る限り、いくらアメリカは州ごとに法令が異なるとは言っても、まさかあれから1年で有観客試合が行われるとは予想だにしなかったものだ。現地の検温などはどうなっているのかは不明だが、基本ほとんどの観客はスクをしていたようではあるものの、中にはそうでない人も見かけたし、声も出し放題だったようなので、日本のそれと比べたら大分制限は緩和されているようではある。

 

もちろん、アメリカは現在人口の2割は2度のワクチン接種を済ませているようなので、その辺りも関わってくるのだろうが、いずれにしても約1年ぶりの有観客試合の復活は実にめでたい事である。そして、改めて実感した事は、冒頭でビンスもスピーチしていたように、プロレスにおいて最も重要なのはお客さん、その声援があってこそ初めてプロレスというのは完璧に成り立つものだという事である。

 

WWEは元々テレビ主体で興行が組まれているため、無観客で試合をせざるを得ない状況に陥ったが、やはり当初はレスラーが何をやってもノーリアクションというのは正直正視出来ないものすらあったものだ。そのおかげで、昨年のレッスルマニアはどうだったのか、と再び見返してはみたものの、やはり辛すぎてすぐに見るのをやめてしまった。何をやってもノーリアクションもそうだが、8万人の観客を前にして試合をする事が夢であったレスラーの思いが潰えてしまったのはそれ以上に察するに余りある。

 

しばらくしてレスラーが周りを取り囲むようになり、そして昨年の夏頃から現在のサンダードーム形式にもなったので、当初からすれば大分マシになったものである。しかし、それでも生の歓声にはかなわない。まあ、もっとワクチン接種が進んでいけば、番組でも有観客試合が復活していくのは時間の問題であろう。

 

さて、日本でも昨年の3月、スターダムが試合を中止したのをきっかけとして、同じブシロードグループの新日本も全てのイベントの中心を決行した。のち、スターダムに関しては後楽園で無観客の配信オンリー興行を実施したが、やはり新日本プロレスに関しては「客ありき」のプロレスの本質を貫き通すためか、頑なに中止にこだわった。この辺りは賛否両論であったが、私としてはこれまで述べてきたように「プロレスは観客ありきで初めて成り立つもの」というポリシーであるため、その新日本の姿勢は賛だった。

 

しかし、遂に新日本も6月に無観客試合を決行、その様子はニュースステーションでも報道された。正直、私としてはその判断には複雑な思いではあったが、EXシアターで行われたとされる第1戦のクオリティはさすがに新日本と唸らざるを得ないものであり、無観客である事を全く気にならないほどの完成度だった。

 

そして翌月7月の大阪城ホール大会2連戦から有観客試合が復活、私も翌月の神宮球場大会に実に7ヶ月ぶりに新日本の会場に足を運ぶ事が出来た。ただ、炎天下の中での屋外試合であるにも関わらず、当然マスク着用は必須で声援は禁止、そして当然5000人制限、まあ実際は完売ならず4700人程度であったとされるが、スカスカのスタジアムそして何の演出もないと、正直スタジアム興行のスケール感とは程遠いものだった。

 

その後も、G1の決勝と、そして今年のドーム2連戦へと足を運んだが、やはり声援なしの拍手だけ、というのは物足りなさすぎ、正直、これなら声援を出せるまではプロレスに足を運ばなくても良いかな、とすら思ったものだった。そして、それを改めて実感したのが今回のレッスルマニアという訳だ。もちろん、日本のプロレスは興行収入が大きく利幅を締めるために、観客に制限があろうとも興行を決行していかなくてはならないのは確かである。しかし、昨今の現状ではいつコロナ禍が収まるか分からず、このままでは来月の新日本のスタジアム興行にも影響が出る事は必至だ。一刻も早く、ワクチン接種が国民全体に行き渡るのを待ち望むばかりである。