Wikipediaによると、ゲームアーカイブスが初めて配信されたのは、PS3の発売とほぼ同時との事らしいが、正直当時はあまりありがたみを感じる人はいなかったのではないかと思う。まず、まだ中古市場には初代PSソフトが溢れており、入手が容易だった事、そしてダウンロード販売そのものがまだまだ定着していなかった事などが挙げられる。
そして、PS3本体には標準でHDMI端子が付いてはいたものの、地上波デジタルはまだ全国で受信する事が出来ず、地上波に関してはアナログの方が主流であったがために、HDMI端子のテレビ自体もまだまだ普及途上だった。イコール、まだまだS端子やコンポーネントが現役であった、という事にもなるため、初代PSのソフトをプレイするのであればPS2でまだまだ十分だったのだ。
私は当時ゲームから離れていたため、2008年の8月になってようやく40GBのPS2非対応版を購入した。最初の頃は特にめぼしいPS3専用ソフトがなかった事もあり、その代わりに試しとしてディスク盤の初代PSソフトを走らせてもみたのであるが、それもすぐにやめてしまった。理由は言わずもがな、遅延である。
現在の最高級のアケコンと、ゲーミングモニターを使用していても遅延は避けられない事から、これは完全にハード上の仕様なのであるが、当時はそれに加えてアケコン自体のラグも酷かったがために、とてもまともにプレイ出来るような代物ではなかったのだ。それまでの専用のコントローラーコネクタから、全てUSB-A端子へと変更になった弊害が一番大きかったのであろうが、現行のアケコンを使用してもラグは避けられないので、前述のようにPS3の仕様なのだろう。
半年近く経って、パナソニックのプラズマテレビを購入し、ようやくPS3もHDMIで接続出来るようになったのであるが、当時のテレビはまだRGB以外の全アナログ端子が付属していたため、PS2もD端子接続出来た事からも、初代PSソフトをプレイする際にはわざわざPS3を使用する必要はなかった。
そして当時、私好みのシューティングゲームなどはほとんどXbox360専売となっていたため、PS3はほぼブルーレイ専用機と化しており、ほとんどゲームをプレイする事はなかった。そして、PS4を購入すると、遂にはブルーレイ機器としての存在意義もなくなり、再生専用機を欲しがっていた父親にブルーレイプレイヤーとして譲ってしまった。
これにより、この時点で完全にPS3との関わりはなくなり、同時に私の中ではPSシリーズ中最も使用しなかった機器、ともなってしまった。しかし、それが一変してきたのが、2019年3月にハイセンスの4Kテレビを購入してからの事である。現在ではHDMI端子かコンポジットの2択しかテレビには存在しないため、HDMI搭載以前の機種はそのままでは接続不可能となってしまったのだ。
私は非公式のPS2用HDMIアダプターを使用したりもしたのであるが、それで接続しても酷いラグが発生してしまったし、さらには15KHzの初代PSソフトには対応していない、と言う問題もあった。そこでPS3の存在である。一部のソフトで不具合が起きたPS2とは異なり、ほぼ全てのソフトが問題なく動作する。さらにメモリーカードも作り放題で入れ替えの手間もソフト上だけ。唯一の問題は遅延であったが、2019年当時はすでにテレビ側の遅延も解消、そしてPS4用の高級アケコンも使用出来る事からも、その遅延までもが10年前と比較して飛躍的に解消されていたのだ。
もちろん、前述のようにPS3本体の仕様が一番影響があるがために、完全に解消とまではいかなかったのであるが、それでもPS3購入当初と比べれば大分快適にプレイ出来たものだ。特に、ソフト的な負担の低いと思われるPCエンジンアーカイブスなどはほとんどラグを気にせずプレイ出来ていた。
そして、1番の違いと言えば、日本でもDL販売がメインとなってきた事である。まだまだパッケージに拘りを持つ人は多いのは確かであるが、私はそのディスクの入れ替えの煩わしさから、ゲームをまともに再開した2019年からはDLのみでしか購入していない。当然、初代PSのソフトの入れ替えもやってられない、と思うようにもなり、その結果「ナムコミュージアム」などすでにオリジナルを所有しているソフトなども、わざわざ新たにDL購入してしまったほどである。もちろん、ディスク版を所有していないゲームも購入したりもしていったのであるが、初代PSのソフトは下手な現行機のゲームよりも未だに遊べるゲームが数多い。よって、この2019年になってようやく私にとってPS3の価値と言うものが一気に上がっていったと言う事になったのだ。
もちろん、初代PSソフトのみではなく、PS2やPS3のソフトも購入していった。Xbox360よりも反応速度が劣るとされてきたこのPS3であるが、少なくとも後期に発売された雷電IVなどは、Xbox360版と比べても大きな遅延は感じられないし、またコンバーターをかます事なくPS4用のアケコンも使えるのが何よりも大きかった。
なので、ここ1、2年で一気に存在価値が上がったPS3と、PS3ストアであっただけに、今回の閉鎖と言うのは驚き、そして残念でしかない。そう思うと、未だに一部とは言え初代Xboxソフトが現行機で動作し、そしてマーケットプレイスも現役であるマイクロソフトの凄さが際立って見える感じではあるが、ゲームに関しては「古いからつまらない」と言う事は絶対にないため、SIEにもどうにかアーカイブスを引き継いでもらいたいものである。一応、PSnowと言うサービスも存在し、私も試してみたのではあるが、やはりストリーミングでは大きな遅延が発生し、シューティングなどはまともにプレイは出来なかった。そう言う意味からでも、繰り返しではあるがPS5でアーカイブスをプレイ出来るように実現してもらいたいものである。