遂に先ほど公開された、シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇、公開当日に鑑賞する事こそ叶わなかったものの、そのちょうど1週間後にようやく地元の映画館の一番良いルームで鑑賞する事が出来た。内容に関しては多くは触れないようにはしておくが、正直言うとQからかなりの時間が空いてしまった事、そしてその復習すらもしていなかった事から、私的にはかなり難解な話であった。鑑賞後、ようやくネタバレを心配する必要がなくなった事から、あらゆる考察サイトや動画を見て、ああこういう事か、と次第に理解はしていったのであるが、もしそれらがなければかなり内容の理解は困難だったと言える。
それは旧劇を見た当時も同じだったのであるが、当時はまだネットそのものが今ほど一般的では全くなかったため、当時乱立していた考察本を読んでようやく理解出来たものである。つまり、映画そのものを見てからブランクがあった、という意味でもあり、鑑賞後にすぐに考察サイトや動画を拝見できる現在は随分と楽になったものである。
さて、1997年の旧劇公開時からエヴァを見ている私は、当然新劇もリアルタイムで鑑賞している。iPhoneはまだ発売前夜であったものの、ネット自体はすでに一般的なものとなっていたので、新劇の情報もネットで入手したのだろう。その第1作目である「序」が公開されたのは、2007年の9月の事だった。当時働いていたお店の同僚にエヴァのファンが居たので、感想を聞いてみた所とにかくめちゃくちゃ良い、との事だったので、当時エヴァにまだ興味があったかどうかは覚えてはいないものの、それなら、という事で映画館まで見に行った。
Wikipediaなどの情報通り、序の公開劇場数はネームバリューに比べるとかなり少なかった事は確かである。記憶にある限り、神奈川県の自宅から最も近い場所は南町田グランベリーモールの109シネマズだったような気がするが、新宿への定期があった事からわざわざ今は亡き新宿ミラノ座まで行って鑑賞したものだった。当時はすでにシネコンは一般的なものとなっていたので、このようなトラディショナルな映画館に足を運んだのはおそらく小学生の時以来であったかと思う。席ももちろん自由だったのだが、1000以上ある席がかなり埋まっていたので、かなり後方の方に座った記憶がある。
都内でも屈指の大画面、と言うのも見に行った理由のひとつであったのだが、さすがにスクリーンまで遠すぎ、ぶっちゃけ迫力的には今一つであったので、これなら109シネマズのようなシネコンでもっと近くで見れば良かった、と若干後悔もしたものである。また、序に関しては当然グラフィックは段違いで綺麗にはなってたとは言え、基本的にはテレビ版をそのまま踏襲していたので、正直思ったほどのインパクトはなかったものだった。まあ、そうは言っても、かつてあれほど夢中になったエヴァンゲリオンが、微妙に名前は変えつつもこのようにリビルドされて、再び劇場の大スクリーンに帰ってきてくれた事は素直な喜びであった。
また、書き下ろしとなった宇多田ヒカルの「Beautifu World」は私の琴線にダイレクトに触れた。当時はiPod nanoを愛用しており、またまだパッケージに拘っていた時代でもあったので、駅へ向かう途中にあった新宿のTSUTAYAでCDを買って帰ったものである。宇多田ヒカルの曲はそれこそデビュー直後から聴いているが、この曲は何度も何度もリピートしていったほど、今でもお気に入りの楽曲のひとつである。
翌年4月、DVDが発売されたが、これは色調が劇場版のそれとは全く異なり、テレビ版の発色に近いものに変更され、ファン的には全く納得のいかないものがあった。当然、メーカー的にはこれが最良、との言い分をしてきたものの、劇場公開予告が劇場版のそれと全く同じ色調だったものだから、その言い訳には納得する訳がなかった。結局、翌年にブルーレイと別バージョンのDVDが新たに発売され、私は当然前者を購入したのであるが、こちらは当然の事ながら劇場版と全く同じだったために、満足はした。
そして、間もなく第2弾の「破」が公開。当時の職場にもエヴァ大好き人間がおり、彼は公開初日の朝一に見に行き、それはそれは興奮冷めやらぬ様子だった。私はちょうど健康診断の日が休みとなったので、その帰りに前述のグランベリーモールに行って鑑賞していった。もちろん大満足はしたのであるが、テレビ版ではトウジが搭乗していたはずのエヴァ参号機にアスカが搭乗していたため、エヴァの女性キャラと言えばアスカがお気に入りであった私は、惨劇の最中アスカが可哀想過ぎて画面を直視出来なかったほどである。ED曲は「Beautifu World」のアコースティックバージョンであり、さらに配信専用でもあったのだが、もしかしたらこれが初めて買ったDL曲だったかもしれない。
そしてそれから3年後のQである。これも同じくグランベリーモールの109シネマズで鑑賞した。いきなり舞台が14年後の未来、さらに何故かミサトとリツコがヴンダーなる新組織を立ち上げており、ゲンドウ率いるNERVと敵対しているなど、かなりの物議をかもした作品であった。この日は平日であったにも関わらず、ほとんどの席が埋まっており超満員という感じであったが、鑑賞後は皆ポカーンとしておりほとんどの人が無言で劇場を出ていったような記憶がある。一応、ここまでの3作の中では最も収益を上げた作品ではあるものの、素直にエンターテインメント性という点においては破にはかなわなかったのではないかと思う。
そして、ここの次回予告において遂に最終作が「シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇」と明かされたが、今思うと、今から8年半前の当時である2012年11月の時点でこのタイトルが公開され、そして知る事となったと思うと、8年半の月日というものがいかに長いものだったのか、と言う事を改めて実感する事となったものだ。
そしてそして、長年の沈黙、そして2度の延期を乗り越えて遂に2021年3月8日、遂に全国ロードショーが実現の運びとなった。前述のように、当日に鑑賞する事こそ叶わなかったものの、それはそれは早く見たくてたまらなかったものである。「鬼滅の刃」にはまっていた頃は、正直シン・エヴァの話が出ても「ふーん」程度のものでしかなかったのだが、やはり2月26日に突如としてYouTube上で3月8日公開が発表された瞬間は、それはそれはワクワク感がたまらなくなったものだった。
正直言うと、若干体調管理の甘さもあり、予告開始から3時間というのはかなりの長丁場、そしてその最中にさすがにトイレにも行かざるを得なかったので、ほんの1分程度とは言え見逃してしまった箇所もあったのは事実である。なので、正直な感想を言えば、ミュージカルのように途中で5分でもいいから休憩が欲しかった事は確かである。しかし、逆に言えばそれだけのボリュームだからこそ、本当に「エヴァンゲリオンが終わる」という締めとしては相応しかったとは思うし、初見だけでは理解が難しい部分があったのも確かとはいえ、「良かったなあ」と言う気持ちで終わらせてくれたのも確かだとは思う。なにより、旧劇のようなモヤモヤ感がなく、大人になって成長したシンジをはっきりと示してくれた事も良かった。
そして、忘れてはならないのが今回も書き下ろしされた宇多田ヒカルの「One last kiss」である。YouTubeの予告編ですでにドはまりした私は、それはそれは発売が楽しみで仕方がなく、わざわざiTunesで予約してダウンロードされた瞬間から鬼のように聴きまくっていったものだ。いずれの主題歌も素晴らしい出来だったが、個人的にはこのOne last kissが一番好きかも知れない。「シティーハンター」の如く、劇中でこのイントロが流れ、そのままエンディングへと向かった演出はそれこそ鳥肌ものだった。PVも手抜きという意見もあったが、個人的には大満足だった。今年で38歳になるそうだが、まるでその年齢を感じさせない若々しくも大人の宇多田ヒカルの魅力を存分に表現している傑作PVだと私は思っているのだが、いかがだろうか。
今回で本当に25年に渡るエヴァンゲリオンのストーリーにピリオドが打たれた事となるが、だからと言ってエヴァンゲリオンという存在が2度と表に出てこなくなる訳でもないし、これからも至る所でエヴァのキャラクターたちを目にする機会がある事だろう。この25年間、あらゆる人たちを夢中にさせ、そして虜にしたエヴァンゲリオンという偉大なる作品に、あらためて「ありがとう」である。