日本人にとって最も習得が困難なのはやはりスピーキングだろう。やれば上達はするのであるが、リーディングなどとは異なりこればかりは相手がいないと難しい。よって、20年以上前は駅前留学をしたり、また米軍基地においての英語教室などに頼るしかなかったのであるが、それらに関しても環境がなければ実現不可能な事だった。
しかし、2021年の今となっては自宅どころか、ネットさえ繋がれば世界中のどこにいてもオンラインレッスンが可能である。これに関しては何度も触れたものだったが、これがなければ英会話を習得する事は今でも不可能であったかと思われる。いや、完全に不可能だっただろう。これの先鞭をつけたのはご存じレアジョブであり、全ての先生方がフィリピン人だった。フィリピン人である事に懸念を示していた人もいたのであるが、国力に差があっても、英語力に関しては日本人のそれは遠く及ばない。人によっては訛りがあるのも事実ではあるが、そうそう訛りなど無意識に移るものでもないし、なにより彼らはハリウッド映画やCNNをノー字幕で理解出来るのである。よって、そんな英語力を持つ人たちの英語を日本人が心配するとか、これはもうギャグでしかない。視野の狭さを恨むべきである。
なので、金と時間さえあれば、あとはオンラインレッスンを受けまくれば、半年も経てばある程度自然に口から出るようになるだろう。しかし、オンラインレッスンを始まる前も、一応自分なりに発音や会話の練習自体は自身である程度行っていたものである。それは、前の記事で紹介したように、「英絶」のカンバセーションシリーズを覚えた後のリピーティングやシャドウイング、そして今ではいくらでもYouTubeで見放題なので、好きな有名人のインタビューなどを真似て練習も出来る。
YouTubeが日本で広まり始めたのは2006年頃の事なので、もちろんそれ以前は自身の身の回りにあるものでしかカバーする事が出来なかった。そこで、私が教材として選んでいたのが、ブルース・リーやジェット・リーなど、私の憧れの人たちのインタビューである。特に、ブルース・リーのロストインタビューは今ではYouTubeで見放題であるし、時間的にも24分ぐらいなのでちょうどいい時間である。ジェット・リーなどは、かつてUKにおいてのプロモーションで英語を話している映像が特典であったので、それをディクテーションしては真似たものである。もちろん、二人ともそれぞれ広東語、普通話訛りの英語であり、ネイティブからはやや遠いのであるが、それはそれでかっこいいし、何より自分がファンなので問題なかった。
そして、英絶のメソッドにおいては、英語の音声を聞く際にも英語の字幕も使わない、との事であるが、正直別に使っても良いとは思う。私は普段はあまり映画は見ない人であるので、DVDに関しては諸々スタジオジブリの映画を購入していた。大抵の日本版には英語音声も収録はされてはいるのであるが、英語字幕を表示しても日本語音声の翻訳しか出ないため、わざわざ北米版を購入したものだった。当時は日本のAmazonでは買えなかったので、ヤフオクや個人輸入で入手していったものだったが、今ではほとんどの作品が日本のAmazonでも購入出来るし、しかも国内版よりも安いので、これは買わない手はないだろう。
私はこれらを何年も続けていった結果、とりあえずネイティブとも普通に会話出来る程度の英会話力は身につける事は出来た。しかし、やはり日本にいて日本人に囲まれて生活していると、なかなかある程度のレベル以上は上達はしづらいものである。そこで、やはり最後の手段としては海外滞在、となるだろう。ただ、フィリピン、そしてアメリカにそれぞれ3ヵ月滞在していた時には、日本人との関りが避けられなかったため、特に後者においては観光客相手という事もあって日本語中心の生活となってしまった。
余程能力が高くない限り、日本人が海外で仕事するとなるとやはり日本人相手の商売が中心となってしまうので、まあやはり現実的に簡単ではない。ただ、私の場合は一昨年まで定期的に香港に最低1週間は滞在はしていた。香港は日本人相手の忖度が皆無であり、国際語である英語を話せる事を前提とした社会づくりとなっているので、日本人の知り合いと会わない限りはまず日本語は使う事はない。そんな香港に滞在していると、大体3日目ぐらいから日本語から英語へと脳内がシフトしていくものであり、ネットの英字新聞なども日本にいるよりかはスラスラ読めるような感じになる。
なので、最近私ですらモチベーションの維持が難しいので、思い切って2週間ぐらいAirbnbでも使って向こうに滞在しようかと思ってはいたのだが、あいにくプロテストが始まってしまい実現不可能となってしまった。まあ、それでも希望は捨ててはいないので、一刻も早くワクチン接種を行い世界が元に戻ってほしいものである。