カプコンアーケードスタジアム | ONCE IN A LIFETIME

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フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

カプコンがレトロゲーマーから今なお支持されている理由の大きなひとつが、PS・SS以降、ほぼ全てのハードにおいて自社からレトロゲーム復刻シリーズを発売してくれている事である。そのルーツとなったのは、前述のハードで1998年に発売されたカプコンクラシックスコレクションである。当然、この時代はエミュレータではなく、いちからの移植という事で、解像度の違いもありアーケード全くそのままとはいかなかったものの、往年のゲーマーにとっては概ね好評であったかと思われる。

 

PS3・Xbox360にて発売されたのが、カプコンアーケードキャビネットだ。こちらはダウンロード限定であり、もちろん移植度においても前述のクラシックスを遥かに凌駕している。ただ、ハードの性能もあるせいか、ラインナップが若干古めであり、90年代以降のゲーマーにはやや物足りなさが残ったものだったが、入力遅延もほぼないおかげで、1943やソンソンなどはそれなりに楽しめた。

 

そして、現世代機においては、ストリートファイターシリーズや、ベルトアクションシリーズなどの固有のシリーズ毎の発売となった。前者において、初代ストリートファイターと、そしてストリートファイターIIからXまでの5作品の完全移植がようやく実現した訳であり、リアルタイム世代としてはまさに待望であったのだが、若干入力遅延があったのが残念だった。

 

これらの移植が叶ったら、次はもちろんCPSゲームの完全移植を期待しない訳にはいかない。もちろん、そう簡単にはいかない事ぐらいは理解はしていたが、さすがに今なお我々ゲーマーの味方であるカプコン、昨年末にほぼ全てに近いCPSゲームを含んだ「カプコンアーケードスタジアム」なる新作をSwitchオンリーながら発表したのだ。

 

そして、今年2021年の2月18日、ニンテンドーダイレクトの発表直後に、まさかの当日発売が発表。それから間もなく、ニンテンドーストアからDL販売が開始されたので、もちろん発売とほぼ同時に購入した。で、その詳細自体はYouTubeでも見てくれた方が早いのであるが、Switch版オンリーという事で、自然と懸念されたのが入力遅延である。PS4などとの共有タイトルであっても、Swich版だけ入力遅延を感じるゲームは非常に多いため、このCASにおいても正直不安であったのだが、残念ながらその予感は的中してしまった。

 

入力遅延はそれなりにシビアな話題であり、初代グラディウスが最初にアケアカに登場した時は、動画を見る限りでは明らかな入力遅延があるにも関わらず、どうしてもそれを否定したい輩と、事実を証明している人たちの間で色々衝突があったそうである。しばらくして、正式なファームウェアが公開、遅延はソフトウェアのせいという理由が完全に証明された訳であるが、否定派はそれこそ赤っ恥であっただろう。

 

なので、このSwitch版CASにおいても、その遅延の信憑性を疑う人たちが出てくるのはまあ間違いないだろうが、私の環境で言えばUFBアケコンとASUSのゲーミングモニターという現在考えられる上での最高の環境であるので、一切言い訳が出来ないとここで記しておく。そして、比較的古い1980年代の1943などはまあギリ遊べなくもないが、1941やプロギアの嵐などはかなりきつい。さらに、ファイナルファイトやスーパーストリートファイターIIXにおいては、入力遅延のみならず、フレームレートの低下まで発生してしまう。

 

明らかにSwitchではマシンパワー不足である事が原因だとは思うが、アケアカのグラディウスIIIでも、PS4版と比べたらかなりの入力遅延が起こっているように、やはりSwitchでは1980年代後半以降のアーケードの移植は厳しいかもしれない、という事を改めて実感させられた結果となってしまった。これならやっぱりPS4やXboxOneで走らせるほうがマシだ、と誰しもが思っていた所、なんと公式ページの下部にこっそりと「PS4・XboxOne用発売予定」との文字が。

 

契約上色々あるのだろうけども、ユーザーからしてみればさすがにこれはないだろう、と言った感想だ。レトロゲーマーかつSwitch所有者であれば、例え入力遅延が懸念されるとは言え、オールパックでも4500円程度で済むのであれば大抵の人は買ってしまった事であろう。それで、少なくとも明らかに入力遅延とフレームレートが改善されるであろう両機種の発売が告知されては、それはちょっと商売としてどうなの?と誰しもが思ってしまうものだ。さらに、PS4では処理の重さが感じられるソフトも、PS5で走らせたら安定するように、このCASもPS5やXSXで走らせれば、確実に60FPS固定でプレイ出来る事は目に見えている。さらに、PS4においてはアケコンの数も豊富だ。

 

そう思うと、任天堂に余計な忖度などせずに、3ハードでまとめて発売してもらいたかったものである。また、ハードとは別な話で、ストIIにおける一部の背景、国旗が変更されている部分も見受けられるが、これもまた面倒な問題である。詳しくは触れないが、少なくとも私がストIIをプレイしていた当時ではそのような問題などはほとんど起きなかったので、表現の自由の規制の問題もつくづく開発者を悩ます問題だ。

 

という訳で、かなりネガティブな部分ばかり取り上げてしまったものの、ゲームセンターを模したかのようなメイン画面や、その時のBGMなどは感動ものであり、この2021年という時代にこのようなレトロゲーマー泣かせのようなゲームをリリースするカプコンはやはりさすがである。他の大手メーカーはこの30年間で大きく変わってしまったところがほとんどであるが、そんなカプコンの姿勢が今なおゲーマーから支持されている大きな理由のひとつであろう。