スポーツサイクル使用歴・その3 | ONCE IN A LIFETIME

ONCE IN A LIFETIME

フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

当時私が最も良く参考にしていたのは、エイ出版社のバイシクルクラブのムック類だった。メンテナンス本をはじめ、どれも非常に出来が良かったものだったが、その中でも最もお気に入りだったのが毎年年末に発売されていたロードバイクインプレッションだ。

 

当時は70台前後ぐらいだったと思うが、主要メーカーの人気モデルを中心にレビューされており、非常に読み応えのある代物だった。レビューには賛否両論があっただろうが、個人的には美しいバイクのグラフィックを見れるだけでも満足だったものだ。しかし、さすがに実際に乗ってみない事にはフレームの特性などは絶対に理解出来ない。それを初めて実感し、プロのカーボンフレームと言うのはこんなに凄いのか、と思わせてくれたのがマドンだった。

 

カーボンモデルとしては微振動が伝わる、との意見もあったが、アルミから乗り換えた直後は本当に魔法のじゅうたんに乗っているかのように、まさに宙を浮いているかのごときの振動吸収性の凄さだった。そして、踏み込みがダイレクトに伝わる剛性の高さ。アルミも剛性が高いとは言われているが、正直その非ではなく、漕げば漕ぐほど恐ろしいほどのスピードで進んでいったものだった。すでに14年前の話となるが、この時の衝撃は未だによく覚えているほどだ。

 

ホイールはさすがにカーボンとはいかなかったが、それでもセールでボントレガーのそこそこのやつを購入し、もちろんコンポはフルデュラエースだ。今では幻となってしまったが、ランス・アームストロングの5,6,7連覇をサポートした、デュラエース史上でも最も印象深いモデルの一つ、7800だ。

 

しかし、いかんせん性能が良いとは言え、中古かつ色褪せがあり、またさすがにフルデュラエースと言うのもオーバースペックに感じたのも事実。また、見栄を張ってフロント53を選択し、かつクランクの剛性の高さにより疲労感も大きかったので、年度末のセールで赤いマドンのフレームセットを購入した。2008年度モデルからマドンはフルモデルチェンジしたので、最後のホリゾンタルモデルのOCLV110のカーボンモデルでもあった。

 

アルテグラのコンポは全てアルミの1500に装着させていたので、それをそっくりそのまま入れ替える事にしていった。さすがにヘッドの圧入や、BB周りに関しては専門の道具を使用したものの、それ以外はほとんど自宅で組み立てる事に成功した。さすがに乗り心地に関しては変わり映えはしなかったものの、前モデルが54であり、ステムを短くしないと微妙だったのに対して、この赤モデルは52とぴったりだったから、サイズ的にはちょうどよかった。

 

また、肝心なパーツとしてはタイヤも色々試したのだが、ほとんどの期間でミシュランのプロレースを使用していた。耐パンク性能はいまいちなのだが、とにかく路面との抵抗がなく、クリンチャーでありながらプロの使用にも耐えるほど優れたタイヤだった。他にはビットリアのコルサなどもかなり良かったのであるが、耐久性がいまひとつだったため、割安なプロレースに戻していった。

 

しかし、この頃から経済的な問題があり、とても自転車に投資できるほどの余裕はなくなってしまった。パーツは当然消耗品なので、自然と走る回数も少なくなっていってしまう。2009年ぐらいまでのツールドフランスは見ていたかと思うが、それ以降は激減、しばらく自転車とは縁遠くなってしまっていった。