ファミコン版ウィザードリィについて語る・その2 | ONCE IN A LIFETIME

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フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

初代ウィザードリィをプレイして最初に気づいたのは、IIIに比べるとなんか操作がもっさりしているな、と言う事だった。カーソルの操作も少しやり辛く、そのあたりでやり辛さを感じたものだったが、まあそれは先に改良を重ねた続編をプレイしてしまった以上は仕方ないと割り切るしかなかった。しかし、どことなく明るかったIIIに比べ、重厚な感じの曲が多い初代のBGMは、非常にゲームの雰囲気にあっており、今でもウィザードリィを代表するBGMであると思う。

 

そして、ファミコン版では4Fへのエレベーターへの近道を利用する際、金の鍵が必要となるのであるが、これはファミコン版のみのギミックであった事をリルガミンサーガをプレイした時に初めて知ったものだった。まあ、2Fまで探索すれば良いだけなのであるが、当時はもちろんオートマップなど存在しない時代であったため、手探りが基本だ。しかし、ドラクエIII以降、親切丁寧に慣れたファミコンユーザーがマッピングなどするはずもなく、ほとんどファミマガの付録を頼りにしたものだった。邪道と言えばそれまでだが、そうでもないと大半のユーザーは諦めてしまうからやむを得ない事情だろう。ただ、その付録には3Fのマップまで載っていたので、落とし穴だらけで全く行く必要のない3Fまでわざわざ探索したものだった。

 

そしてファンならご存じの用、初代は4Fでブルーリボンとってしまえば9割は終わったようなものである。あとは9Fまで直行し、10Fでマカニトを駆使して稼げばいいのだが、さすがにまだそこまで知らなかったので、しばらくは律義に9Fで育てたものである。また、ウィザードリィのすべてで知ったのだが、6~8Fはファミコン版オリジナルマップだと言う。個人的にオリジナルには忠実であるべきな考えなので、これは首をかしげざるを得なかったのであるが、基本行く必要のないフロアなのでさほど問題にはならなかったとは思う。

 

そして10F、あとはワードナを倒すだけなのであるが、ファミコン版では一度でも勲章をとってしまうと2度とワードナとは闘えなくなり、当然魔除けも取れなくなってしまうので、勲章に拘るのと、どうしてもエンディングが見たいのでもなければあえてクリアはする必要はなかった。それを知らずにあっさり倒してしまったので、そのメインパーティでは2度とワードナを見る事はなかった。その代わり、バンパイアロードが毎回出現し、一応設定ではかなり良い宝物を持っているという事なのだが、自分の場合はほとんど出なかった記憶がある。

 

そして、クリアした後は延々とアイテム探しだ。このアイテム探しの楽しさは、ファミマガでも触れられていたので知ってはいたが、正直プレイする前は「そんなもの楽しいのか?」と言う印象しかなかった。それも当然、それまでアイテム探しと言えば、ドラクエIIのはかいのつるぎやあくまのよろい、そしてドラクエIIIのしあわせのくつやらいじんのけん、と言ったイメージ、つまりはいつ出るか分からないアイテムを延々と探し求める試練のようなイメージしかなかったからである。

 

しかし、やってみた人なら分かるよう、ウィザードリィのアイテム探しと言うのはそれらとは比較にならないほど楽しく、熱中する。言葉では伝わり辛いが、とにかく何度も何度も地下10Fまで行き来しても飽きないのだ。そして、ウィザードリィの場合は強さとレベルが明確に比例しているため、レベルが上がれば上がるほど攻撃回数が増し、敵を1ターンで仕留めることも出来るようになるため、それも快感だ。まあ、初代であればレベルが30もなれば敵なし状態となってしまうため、最終的にはその魅力が欠点ともなってしまうのであるが。

 

そして、アイテム探しが何故そこまで熱中する最大の理由は、レアアイテムの発掘だ。いわゆる、村正、聖なる鎧、そして手裏剣などに代表されるウィザードリィのアイコン的なアイテムである。これらが出現する確率は極めて少なく、同時に出現した時の喜びと言ったら尋常ではない。自身は村正を発見した時の事は未だに覚えており、レイバーロードの集団だった。こいつは数少ないレアアイテムを落とすキャラなのだが、そのおかげで今でもレイバーロードに遭う度に、こいつから村正もらったな~と思いだすものである。そして初代の村正のダメージ値と言うのは他を圧倒する異次元のものであり、レベルが20ともなればほとんどの敵は一撃で死ぬことだろう。

 

ただ、初期のウィザードリィでは悪の装備がかなり優遇されているので、中立で侍を作成してしまった自分はその恩恵を受けられなかった。まあ、そうでもなければイメージ的に悪の性格なんて選びたくないのが人情なのであるが、この初代では聖なる鎧が着れるロード以外では、AC-9が最高だったのだ。しかし、それでも敵の攻撃が当たりやすい、特にマーフィーズゴースト稼ぎをしている最中、いくら下げても当たるな~と不思議だったのだが、なんとACの判定にバグがあるらしく、しかもそれが発見されたのが20年近く経った後の事と言うから驚きである。イコール悪のアドバンテージもなかった、と言うオチであった。

 

初代を極めていくと、大体全ての呪文を覚えさした忍者を作成し、一人旅で莫大な経験値を稼いでいく、という遊びになるのであるが、自分は忍者に思い入れはなかったので、ひたすらグレーターデーモンで稼いでいった。前述のとおり味方のACが機能しないため、グレーターデーモンの攻撃が当たりまくり、同時に毒や麻痺しまくりのためかなり面倒な闘いを強いられるが、1度の戦闘で大体50万経験値ぐらいはいけるので、最低1レベルはアップさせる事が出来ていた。因みに、ウィザードリィを購入する前に読んだコラムによると、元ファミ通ライターの渋谷洋一氏は、この技を極めるために16時間連続プレイ、6人パーティで2億を目指したというから恐れ入る。

 

また、基本ファミコン版は初代AppleII版準拠のデータなので、ポイズンジャイアントにマカニトが有効だった。これは低レベルパーティには大変有効であり、ウィルオーウィスプとのパーティであれば軽く経験値4万は超えたものだった。そういう意味では美味しい限りなのだが、後のリルガミンサーガでは国産PC準拠であり、マカニトを無効化してしまうため、レベルが13程度でも歯が立たないとても恐ろしい敵と化す。

 

そして当時のデータは奇跡的に無事であり、レトロフリークでの吸出しも成功したので、今なおそのデータは生きている。それによるとレベル150を超えたぐらいであったが、初代では30も行けば十分なため、まあよくもそこまでやったものである。また、前にも触れたように、ゲームに慣れていくと文章以外は英語にしたくなるものなので、私も文章以外は英語に変えてプレイしていた。初代は大文字のみなので、若干読みづらいな、と思ったのであるが、初代AppleII版やIBM-PC版、そして国産PC版やのちのリルガミンサーガなどを見る限り、実は大文字のみが基本のようである。NES版のドラクエやFFなどは小文字であったので、それはウィザードリィの特徴なのかは不明である。

 

これによって私の英語力が向上する事はなかったが、それでもIN KIMONOなどの使い方はこれで覚えた。着物の中に人がINをしている=着物を着ている、という意味になるというのは感心したものである。

 

このあと、シナリオ3であるIIも購入したが、やはり長くプレイしたのは初代であり、今でも一番思い入れがあるのが初代である。一番出来が良いのはやはりリルガミンサーガではあるとは思うが、やはり初代の羽田健太郎氏の重厚な曲と、どこか暗めなグラフィックで探索していたファミコン版が今でも一番思い入れがあるというものだ。