PS3の発売時と言えば、やはりあの罵声が飛び交った量販店前の光景が思い浮かばれるが、その当時はそればかりが記憶にあり、正直ゲーム離れを起こしていた当時は、セールスや入荷状況に関しては全く存じていない。さすがに初回出荷はさばけたと思うが、当時はすでに転売がはびこっていたため、どのぐらいが純粋に本体を欲しかったのかも不明である。むしろ、ほぼ同時期のWiiがバカ売れし一気に据え置きの主役の座を奪っていったため、絶好調だったPS2と比べると今一つ地味な印象も拭えなかった。
そんな私が購入したのは2008年8月の事である。と言っても、ゲーム目的ではなく遂にHD DVDとの雌雄を決したブルーレイ目当てだ。その程度なので、出来る限り安く購入したかった私は、近所のお店で中古品を購入した。もちろん、すでにプレミアがついていた初代モデルではなく、PS2との互換性を廃した40GBモデルである。さらに、まだ薄型テレビ購入前であったので、ブラウン管HDテレビにD端子接続である。もちろん1080i対応であるとは言え、32インチでは迫力不足は否めなかった。
ブルーレイ目当てと言う事で、当然専用ソフトすら購入していないが、ゲームに関してだけ言えば、一応初代PSとの互換性はあるので、正直それで良いと思っていた。しかし、最初に起動した「グラディウス・デラックスパック」をプレイした直後、その需要もなくなる。理由は簡単、PS2のグラIII以上に遅延が酷かったからである。もちろん、PS3のアケコンまでは購入していなかったので、コンバーターを使用してのものだったが、あまりにも酷い遅延だったのでこれはゲームにならない、と思いすぐにプレイするのをやめてしまった。コンバーターのせいかな、とも思ったものの、専用ソフトもないのに買ってもしょうがない、と思った私は諦め、ほぼブルーレイ専用機と化した。
まあ、前述のようにそれが目当てであり、それに加えまだゲーム熱がなかった頃でもあったのでそれでも全く問題はなかった。一応、PS3ならではのグラフィックも堪能したい、と思ったが、結局買ったソフトはプロ野球スピリッツと、バーチャファイター5程度だった。当然、やり込む事もなく数回プレイしただけで飽きていった。
2009年冬に、往年のゲーマー待望の「ストリートファイターIV」が発売され、安くなった頃に購入したが、原点回帰みたいな部分があったのはストII世代としては嬉しかったが、リュウのジャンプの軌道に違和感ありすぎなのが気に入らず、こちらもやり込む事はなかった。しかし、それでもさすがにグラフィックは前世代機とはレベルが違うな、とは思ったものだった。
また、この1月には遂にパナソニックのフルHDプラズマテレビも購入し、ようやくHDMIで接続出来るようになった事もあり、やはりその美しさには圧倒されたものだった。さらに、運よく遅延も少なかったし、さらに残像感のなさも当時の液晶を遥かに上回っていた。当時の液晶はまだポータブルDVDプレイヤーのような画質、のようなイメージが強かったので、ゲーマーであればプラズマ以外の選択肢はなかったのではないだろうか。
しかし、それでもゲームに傾く事はなかった。理由としては、シューティングゲームに乏しかったからである。一説には「PS3のハードを活かせない2Dシューティングゲームはリリースすべきではない」との噂であったが、どうやらそれは都市伝説レベルの話であり、色々な話が歪曲されて生まれたものらしい。まあ真意はともかく、すでにPS3はラグステなどと陰口を言われていたように、ライバル機と比べても遅延が酷いというイメージがすっかりついてしまい、その影響からかメーカーもシューティングゲームには不向き、と言う認識をしていたのだろう。元々、どうしても遅延が避けられないというUSB端子を採用していた事からも、ある程度それは予測出来たのではあるが、まあそんな経緯もあってまともにゲームをプレイする事はほとんどなかった。
それでも、一応前述のストIVや、DL専売のナムコミュージアムなどの存在もあったので、2008年12月にリアルアーケードPROが発売されるとすぐに購入したのであるが、結局それでも遅延は避けられず、速攻ヤフオクで売り飛ばした。後々分かった事であるが、全体的にPS3のアケコンは遅延が酷く、そのRAP3に関してもかなり大きい部類であったらしい。それに加えて、初代PSでは内部遅延が発生、そしてディスプレイ自体のラグもあったのだから、それはシューティングゲームなどまともにプレイ出来ないのも当然だった。
しかし、2009年9月に、斑鳩やりたさにXbox360エリートを中古で購入するのだが、こちらも同じUSBを使用しているにも関わらず、極めて快適にプレイ出来た。それもあったか、シューティングゲームのリリースは360に集中し、完全に私のメインハードとなり、実質セガサターンの後継機とも言える存在となった。同年5月にWiiも購入していたが、こちらもパッケージソフトは少なかったものの、目当てだったバーチャルコンソールが充実しており、少なくともPS3よりかは起動回数は多かった。
その後、PS3にもPCEアーカイブスが配信開始され、こちらはストレージに余裕がある事もあって、天外魔境IIや、イースIIIなどWii未配信のゲームも配信されてかなり期待していたのであるが、コナミによるハドソン買収の影響もありあっと言う間に提供終了してしまった。もっと続いていればCD-ROM2のゲームもさらにリリースされていただろうと思うだけに、これは非常に残念な結果となってしまった。
結局、そのままPS4へと移行、こちらはアケアカやさらに周辺機器も充実していた事により、後方互換性が皆無であるにも関わらず、メイン機として今なお活躍している。これでもうPS3は完全にお役御免、と思われたが、たまに初代PSをプレイしたい衝動に駆られる事があった。当時購入した初代の実機はもうピックアップがイカれていて使い物にならないのであるが、その代わりに近所のハードオフで状態が良いものを購入していた事もあり、実機かつブラウン管のプレイも全く問題なかった。しかし、やはりいくらRGB出力とは言えブラウン管は今や小さすぎ、かつメモリーカードの入れ替えも面倒と、さすがに今となってはかったるい。そこで、シューティング以外であれば遅延は大丈夫、かつDLであればディスクの入れ替えも不要、と言う事でたまにではあるがPS3も起動する機会が増えていった。
そして、当時の課題だったアケコンも、PS4時代となり圧倒的に操作遅延が少なくなり、そして旧パンテラやオブシディアンはPS3にも対応していた。それでプレイしてみたところ、もちろん初代PSの遅延は避けられないが、心なしかゲームによってはマシな感じがした。そして、PCEアーカイブスに至っては、ほとんど違和感なくプレイ出来るレベルだった。「これは使えるかも?」と実感した私は、PS3版の「雷電IV」や「ケツイ」なども試しに買ってみた。それで試した所、やはり思ったほどの遅延はなく、十分快適にプレイ出来るレベルだった。両者ともXbox360、後者はさらにPS4版でさらに完璧なバージョンがリリースされていたとは言え、これで「PS3だから遅延は避けられない」と言うイメージは払拭されていった。
確かに初代PSのシューティングをプレイするのはかなり苦しいが、それでも初代のソフトがHDMIテレビでプレイできるのは、実機を用意するしかないセガハードと比べたら大きなアドバンテージである。PS5においても、PS3以前との後方互換性がない以上、初代ソフトが起動するというだけでも今の自分にとっても十分すぎるほどの存在価値がある、と言うものだ。因みに、初期モデルは譲渡してしまったので、その後最後期のモデルを購入したのだが、トップローディングかつトレイが手動、さらに本体が傷つきやすくしかも安っぽい、と言うのはいくらHDD容量があっても不満が募り、結局1年経たずに中期の250HDDモデルを買いなおしてしまった。こちらはフロントローディング、かつ縦置きも違和感なく本体も後期モデルに比べたら傷つきにくく、2010年製造の割には美品で満足している。なので、これから買う人も、こちらのモデルにした方が無難だろう。いずれにしても、これからも手放せないハードである事は間違いない。