ブルース・リー生誕80周年記念Ultra Blu-ray BOXセット。 | ONCE IN A LIFETIME

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フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

昨年2020年は、我らがドラゴン、ブルース・リーの生誕80周年と言うアニバーサリーイヤーとなった。本来であれば、香港・ビクトリアハーバーにてイベントが開催されていたに違いないが、当然それは無理と言う事で、世界中のファンが自分たちのやり方で祝う、と言う形に終始した。

 

で、これまでの記念イヤーにおいて、大体何かしらの形で映像メディアが復刻されてきたのであるが、概して日本に関しては香港オリジナル盤に字幕を付けただけのやっつけ仕事が多く、他国に比べて日本はやる気ねえな~と言う印象しかなかった。しかし、パラマウントが日本における販売権利を取得してからはそれは大きく一変する。70周年のBOXはやはりそのやっつけレベルであったものの、多くの日本のファンの不満の声が聞こえたか、2012年にオリジナル英語音声どころか、日本劇場公開版復刻、さらに「ドラゴン怒りの鉄拳」と「死亡遊戯」に関しては、日本劇場公開版プリントの収録と言う、歴史的快挙まで成し遂げたのだ。

 

2016年には「ドラゴンへの道」の日本劇場プリントも遂に発掘され、ようやく輸入盤に頼ることなく、最高のバージョンを日本版で堪能できる事になった。これにて20年近くに渡る、世界最高のバージョンを求めて世界中のバージョンを探し求める旅にも終止符が打たれた訳であるが、気が付けば世間はHDどころか4Kが主流になりつつ時代、遂にブルーレイの画質では物足りなくなるという時代が到来していた。

 

そこでブルース・リー生誕80周年の昨年、それを記念して日本のツインが香港フォーチュンスターによる4Kプリントを輸入、かつそれに日本オリジナル編集による日本劇場公開版音声をダビングさせたバージョンが、小規模ながら全国の劇場にて公開された。そのUHDバージョンが、このタイトルにもある記念BOXである。

 

私自身はこれまで無数のバージョンを購入してきたのだが、HDながら同じく4Kプリントを使用しているクライテリオン盤の画質があまりにも素晴らしく、また音声などのオプションも充実していたため、Amazon価格でも25000円ほどするこの日本版BOXの購入は考えてはいなかった。しかし、ここ最近劇的に値下がりしたため、購入に踏み切った、と言う訳だ。

 

映像ソースは同一、かつ40年以上前の映画と言う事もあり、ぱっと見だけではさほど差はなく感じられるのであるが、やはりしばらく見続けていると明らかに4Kの方が解像感が高い事に気づく。音声は全てに日本劇場公開版収録であり、それだけでも十分なのであるが、あまり聞くことはないとは言え、ここはやはりエクストリーム版のようなさらに充実した音声が欲しかったように思える。

 

で、そのUHD盤のみではなく、エクストリーム版も同梱されているのであるが、これに関しては抱き合わせと言う意見もあり、個人的にも不要だと思っている。しかし、フォーチュンスターとの契約上、日本独自の編集盤を売る際でも、必ずフォーチュンスターの原盤も同時収録、と言う縛りが日本ではあるために、それは避けては通れない道なのだ。とは言っても、現在のUHDの相場は6000円ほどするため、それを考えれば同梱されているとは言え妥当な価格にも思える。

 

また、Amazonの低脳レビューにおいて、なぜ「燃えよドラゴン」はないのか、と言うのが散見されるが、普通に考えてワーナーのタイトルが同梱される訳ないぐらいは理解してもらいたい。確かにクライテリオン盤には存在するが、これまで色んなバージョンが再販されている訳だし、いちいちBOXに拘る理由が分からない。ブルース・リーのファンともなればそれなりに大人であるはずなのだが、所々知的レベルが低い書き込みが拝見されるのは非常に残念な話である。

 

もはや完全なコレクターズアイテムであり、同梱されているブックレットも大したものではないので、正直エクストリーム版で十分、そして視聴環境が整っていなければ強くお勧めはしかねるBOXだ。しかし、現在英語音声が収録された完全ネイティブ4Kのディスクはこの日本版しか存在しないので、いち早くそれを楽しめる日本のファンは幸せだ。発売前からAmazonのレビューで不満を唱えている人たちも、そのぐらいはしっかりと認識してもらいたいものである。