洋楽と英語。 | ONCE IN A LIFETIME

ONCE IN A LIFETIME

フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

私が人生の中において、「英語の歌」、すなわち洋楽と言うものをはっきりと認識したのは、かの「ロッキーIII」の主題歌に起用され、世界的な大ヒットを記録したサバイバーの「アイ・オブ・ザ・タイガー」である。映画ももちろん大ヒットを記録したのであるが、1982年公開のこの映画は当然リアルタイムでは知らないので、その曲そのものを初めて耳にしたのは、1980年代にテレビ東京にて放映されていた「世界のプロレス」のエンディングテーマとして使用されていた時だ。

 

この番組自体は録画はほとんどしていなかったし、当然レコードなども所有はしていなかったので、週1回しか聴くことのない楽曲だったのであるが、それでも非常に印象に残り、姉からもこれは有名な曲、と言うのを聞いていたので、と言う訳でこれが初めて私の中で題名と楽曲が一致した洋楽であった。

 

しかし、それが初めてはっきりと認識された洋楽であったのは間違いないのであるが、それ以前もいくつかの洋楽がプロレスラーのテーマ曲に使用された事があったので、題名だけはいくつか目にしていた。その筆頭と言えばやはり”仮面貴族”ことミル・マスカラスのスカイ・ハイである。元々は日テレがマスカラスの来日の煽り用のイメージソングであったらしいが、この流れで入場曲に採用され、これをきっかけにリバイバルヒットを記録したという。

 

元々は香港とオーストラリアの合作映画である邦題「スカイ・ハイ(原題・The Man from Hong Kong)」に使われた楽曲なのであるが、ここ日本においてはマスカラスのテーマ曲、と言う認識の方が圧倒的に上である。しかし、私がプロレスを見始めた時はすでにマスカラスブームはとうに過去のものとなっており、題名こそ知ってはいても実際に耳にしたのはかなり後の事であったかと思う。その後、久々の来日を果たしたのであるが、中継では当然フルコーラスは流れないので、完全に耳にしたのは高校生になってCDを買ってからであった。しかし、そのCDはあいにくカバーバージョンであり、当然歌詞もないので意味が分からない。1990年代になってようやくオリジナル盤が再販されたが、それはテンポの速いシングルバージョンであり、実は会場で使用されたバージョンとは異なる。

 

そして2000年代前半、遂にVAPから会場使用バージョンのアルバムロングバージョンが再販、ようやく完全オリジナルが聴けるようになったのであるが、歌詞はついておらず依然不明のまま。つまり、歌詞、そして実はこれは失恋を歌っているソングであった、と言う衝撃的事実を知ったのは割と最近の事であったりしたのだ。正直、かなりの部分が聞き取れなかったので、英語なのかどうかも分からなかったのであるが、ジグソーはUKのバンドと言う事なので、当然全て英語であった。

 

と言う訳で、まあそういう長年に渡るいきさつがあったのであるが、今なおこのスカイ・ハイは、アントニオ猪木の「炎のファイター」と並び、プロレステーマ曲のパイオニアして大金字塔とされている。それ以外にも、日テレは楽曲のセンスが非常に良かった事から、ブルーザー・ブロディの「Immigrant Song(移民の歌)」なども非常に有名であったりしたのだが、全日本で流れていたのはインストのカバーバージョンであり、原曲を耳にする事はなかった。新日本ではレッド・ツェッペリンの原曲が使用されていたのだが、ほとんど記憶にない。

 

そのブロディとほぼ入れ替わりで日本に登場した、「ザ・ロード・ウォリアーズ」のテーマ曲として使用されていた、ブラック・サバスの「アイアンマン」も、当時非常に耳に残った楽曲であったが、当然これも実際にCDで聴けたのは90年代になってからであった。そして、YouTubeにおいて初めて知る事となったのだが、なんと全日本の会場で使用されていたのは、ボーカル部分をカットした編集バージョンであった。自分としてはボーカル部分も覚えていたので、これは意外であったのであるが、おそらくプロモーションやもしくは世界のプロレスで使われていた時に馴染んだかも知れない。

 

その後はしばらく音沙汰はなかったのであるが、1990年代、高田延彦がロッキーIVの「Training Montage」をテーマ曲として使用していた事からそのサントラを購入し、映画を見ていないにも関わらず、これらの楽曲を繰り返し、特に自身のトレーニング中などはひたすらリピートしていった。特に印象深いのは、やはり1曲目に収録されている「Burning Heart」であろう。このCDは日本盤を購入したので、当然日本語訳の歌詞もついていたのであるが、日本のヒット曲と言えば恋愛を歌ったものばかりと言う事もあり、男の闘いを表現した歌詞には素直にかっこいいと思ったものだった。

 

そして、プロレス・格闘技関連以外で初めて洋楽のアルバムを買ったのは、サイモンとガーファンクルであった。当時、物議を醸し、もしネットがあれば大炎上したかも知れない曰くつきのTBSドラマ「人間・失格」の挿入歌として使用された「冬の散歩道」がきっかけだった。これをきっかけとしてベスト盤を購入したのであるが、実際に印象に残ったのは「サウンド・オブ・サイレンス」を始めとする、他のヒット曲群であった。

 

それからぐっと時は過ぎ、ネット時代になってからは、良い曲と思う度にYouTubeやiTunesなどで聴いていった。一時期レディ・ガガにかなりハマり、彼女のアルバムはほとんど購入して聞いていったものだった。特にTelephoneなどはかなりお気に入りであり、一時期は狂ったようにリピートしていったものである。当時はすでに2回目の留学を終えていた時もあって、歌詞もほとんど邦訳なしで理解出来るレベルでもあった。

 

もちろん、当時はすでに超有名人であった訳だが、まるで洋楽に疎い自分にとっては正直全く知らない存在だった。それでどうやって存在を知ったかなのだが、ある日、私が通っていた英語学校のメモラブルビデオがYouTubeにアップされているのを発見し、その前半に使用されていたのがパパラッチであったのだ。なんといういい曲だ、と思ったものの、その題名が分からない。そこで、必死にリスニングして、意味が分かった部分をググる、と言う手段を使い、そこでその曲名、そしてレディ・ガガと言う存在を知ったのだった。

 

それからは、邦楽自体サザンと桑田佳祐のソロ以外あまり聴かなくなった事もあり、洋楽も聴く機会が増えていった。そこで、小林克也さんのように、洋楽から英語をマスターした人が居るよう、英語学習に役に立つか否かであるが、ぶっちゃけ聴くだけでは絶対に覚えられないし、インプットもされないだろう。それは、一種のBGMとして脳が認識してしまうからであり、聞き流しがあまり意味をなさないのと同じである。

 

しかし、洋楽の歌詞と言うのは思いのほかシンプルなものばかりなので、ある程度の英語力、目安としてはTOEICリスニング400点台以上のスコアを獲得すれば、おそらくある程度は聞き取れる事が出来るだろう。子供の頃は全く意味不明、記号同然であった歌詞が、大人になった今となって聞き取れる、と言うのは素直に自身の成長を実感出来る良い体験でないか、と思う。